みなさんお元気で!
ガラガラガラ ガーッ ガーッ ガーッ
先ほどまで、火砕流の轟音で気づかなかったが、動力部から変な音が出ていた。
裕子「ねえ、大丈夫なの?」
(`・ω・´)「このままなら、ふもとまで行けそうであります。」
裕子「遅くてもいいから、安全にね。」
(`・ω・´)「全力疾走であります。」
その時だった、何かがオニ車を襲う。
ガシャーン 強烈な振動と大きな衝突音が響いた。
一同は、足を取られその場に倒れ込んだ。
裕子「キャー」
一同から悲鳴があがる。
ヒューン 何か機械が、止まった音がした。
いきなり照明が消え、真っ暗になる。
スプリンクラーも止まった。
裕子「何が起きたの?」
(`・ω・´)「分からないであります。潜望鏡で外を確認して欲しいであります。」
裕子「うん。」
潜望鏡を覗くと、オニ車の動力部の上に大きな岩が乗っていた。
10トンはあるだろうか。
裕子「大変、動力部に大きな岩が直撃してる。」
(`-ω-´)「・・・そうでありますか。機関が停止してしまったであります。」
それでもオニ車は、いままでの勢いで、まだゆっくり進んでいた。
やがてメキメキと音を立てて、岩はオニ車の上から転がり落ちてゆく。
ひろき君は、真っ暗な中手探りで、一歩ずつ裕子に歩み寄り、隣に立った。
ひろき「外に出られんのか。」
裕子「まだ外に出たら危険だよ。石が降ってる。」
いきなりブザーが鳴りだした。
画面が消えて、(`・ω・´)←これも映らなくなった。
真っ暗な中、警音ブザーだけが鳴り響く
裕子「何、どうしたの?」
裕子「・・・」
全く返事が無い。
裕子「・・・」
裕子「オニ返事して!」
ひなみ「怖いよお兄ちゃん。」
てっぺい「ひなみ、こっちに来とけ。」
てっぺいは、ひろきの所に行こうとする、ひなみちゃんを抱き寄せた。
おじいちゃん達もお互いに体を預けている。
オニ車の中は真っ暗
ペダルを踏んでも潜望鏡は回転しない。
この間もオニ車は、勢いだけで進んでいる。
潜望鏡で、前だけなら見える。
外を見るが今のところは危険は無い。
だが、このままブレーキや方向転換が出来なければやがて、オニ車に閉じ込められたまま、崖の下まで真っ逆さまに落ちてしまうだろう。
一同は手に汗を握った。
ウィーンガッタン
クウォーン
なにやら、機械が作動した様だ。
照明と画面が点灯した。
(`・ω・´)「ビックリさせてしまったであります。」
一同は、安堵のため息をつく
裕子「まったくよ。」
オニ車の前方のセンサーは、壊れたままなので、そのままバックのままで進みだす。
そして、しばらく道なりに走っていた。
下り坂を道なりに進む。
5分も走っただろうか。
突然停止する。
(`・ω・´)「ここまで来たら、安全であります。一旦外の空気を吸っては、いかがですかな。」
てっぺい「よっしゃ、ここ暑いから。みんな早う出ようや。」
裕子「そうね。」
外に出ると、オニ車の機関が火事になっていた。
裕子「酷いことになってるじゃない。消火器無いの?」
(`・ω・´)「もう手遅れであります。早く外に出るでありますよ。発電機は完全停止、ラジエターもファンごと燃えてしまったであります。今はバッテリーの残りで動いていたであります。」
全員オニ車から、外に出た。
降り立った場所は、火事になっていた森の手前だった。
(`・ω・´)「ひろき殿、今は暴力親父から全力で逃げるであります。決着を付けるには、また大人になってからでも遅くないであります。いつまでも強く正しいままのひろき殿で、あって欲しいであります。」
(`・ω・´)「ひなみ殿、いつまでもひろき殿とてっぺい殿を支えて、いい子に育つでありますよ。」
(`・ω・´)「てっぺい殿、強い意思とリーダーシップでいつまでも、弱気を助け強気を挫くいい男になるであります。」
(`;ω;´)ゞ「みなさん、お別れであります。」
(´>ω<`)「軍曹殿、みなさんお元気で!さようなら」
その時だった。
バーン
バッテリーが膨れ上がり破裂して、盛大に黒い液体が噴出した。
裕子「みんな離れて!」
その勢いはすさまじく、モーターも吹き飛び部品が散乱する。
一同は、身を隠す事も出来ずに、その場に頭を抱えて地面に伏せるしか出来なかった。
小さな部品やボルト、ナットが降り注ぐ
音が止み、収まる。
伏せたまま、ゆっくりと顔を上げ周囲を確認する。
ひろき「オニが、死んじゃった。」
ひなみ「もうお別れなの?」
みんな、下を向いて誰も何も言えなかった。
突然すぎる分かれに、悲しみの実感が湧かない。
実感したとしても、悲しんでは、いられない。
裕子は、話題を変える。「みんな、ケガは無い?」
てっぺい「何ともないわ。」
ひろき「俺も、大丈夫」
ひなみ「なんともない。」
おじいちゃん「三途の川見えたわい。」
おばあちゃん「あんただけ、渡ってもええよ。」
森は一時的に消火できていたが、炎の勢いは増す一方だった。
森はまた炎に、包まれつつある。
クローラが音を上げて、回りだした。
前方には、火事が広がりつつある森
動力もブレーキも失った巨大な鉄の塊
下り坂になっている方へ勝手に動き出す。
その動きは徐々に勢いを増し、スピードを上げて行く。
森へオニの残骸がスピードを上げて突っ込んでいった。
勢いを増したオニの残骸は倒れた木々を弾き飛ばして進んでいった。
裕子「オニありがとう。あなたのおかげで、ここまで来れたよ。後は頑張るね。」
涙があふれてきた。
泣いてはいられない。
腕で涙をぬぐう。
この森を走り抜けなければ、ならないと覚悟する。
裕子は、胸に巻いていたコルセットを外して、おばあちゃんへ返した。
森の入口に立つ
裕子「オニが最後に作った道だよ。みんなで手をつないで走ろう。」
裕子を真ん中に、右手にひろき君、左手にひなみちゃん、てっぺいとおじいちゃんとおばあちゃん全員と手をつないだ。
そしてオニの後を追った。
全員で手を取って走っていると、ひなみちゃんが、遅れだす。
裕子「ひなみちゃん、おんぶするよ。」
ひなみちゃんに背中を向けて、腰を下ろした。
ひなみ「いい、私自分で走る。」
ひろき「そう言う事は、もっと大きくなってから、言うんや。今はおぶさっとけ。」
すかさず裕子をフォローしてくれた。
ひなみ「ええー、うーうん。」
少しぐずったが、裕子の肩に手をまわし、背中に身を預ける。
立ち上がって再び走り出した。
上辺の火だけが消えて、火の根っこが、まだくすぶっている。
オニ車が踏みつけて行った木の断面を見るとまだ中が赤々と燃え滾っている。
見ているそばから、木の断面に火が立ち上がる。
徐々に、ほんの徐々に火が大きくなっているのが分かる。
後ろから、横から炎のプレッシャーが増していた。
おじいちゃん「ひーひー、まだ森抜けれんのか。少し休まんか。」
てっぺい「何のんきな事言っとるんや。まわり見てみいや。火大きくなっとるやろ。今休んだら死んでまうわ。」
てっぺいは、おじいちゃんの手首を握りしめて、ぐいぐい引っ張る。
ひろき「おばあちゃん、もうすぐ森出るから、我慢やガンバって。」
おばあちゃん「もう充分頑張っとるわ。ひろきこそ足遅くなっとるぞ。体力無いんかい。ガンバれや。」
その言葉にひろき君は、ムスッっとする。
1キロメートルぐらいの距離
小学生でも、12分も走っていれば、抜けることが出来る。
森の出口が、見えてきた。
火の森を抜けた先には消防隊がまだ待っていてくれていた。
隊員「何か来ます。」
80トンの巨体は地響きをあげながら、突っ込んでくる。
隊長「さっきの戦車か?火だるまになってるぞ。道を開けろ」
隊長は渾身の声を張り上げた。
消防隊の真ん前をオニが突き抜ける。
森を抜けたオニは、火が燃え上がり、全身が真っ黒コゲになっていた。
カーブを真っすぐ突き切ってガードレールを突き破る。
オニ車は、そのまま谷底に転落し爆発した。
谷の上からでも回転砲塔が、吹き飛ぶのが見えた。
その後から、裕子たち6人は息を切らせて、森の出口で倒れ込んだ。
道の真ん中に大の字になって、息を切らせたままやっと声を出す。
裕子「これで全員退避完了です。」
隊長「よし、全員撤収だ。」
隊員達は、素早く裕子たち6人を消防車に乗せて、山を降りて行った。
裕子とひろき君は、消防車に乗った時、谷底にオニ車の残骸を見た。
裕子「ありがとう。さようなら」
ひろき「・・・さようなら」思わず手を降っていた。




