涙をこえて
(;*´∇`*)「吾輩、おなかいっぱいになったであります。」
オニ車の給水が完了した。
裕子「よかったわね。じゃあ行くよ。」
ホースを引っ張り、水中ポンプを川から引き上げた。
すると、上流の方から沢山の魚がすごい勢いで、逃げてきた。
裕子「何これ。」
ひろき「この魚、手づかみ出来そうやんか。」
魚が逃げて行った後には、死んだ魚が流れてきた。
水面から湯気が上がっている。
裕子は好奇心から、水面を触ってみた。
裕子「熱つ!」驚いて、手をひっこめる。
沸騰した熱湯の川になっていた。
(`・ω・´)「先ほどの火砕流が、川の水を熱湯に変えてしまったでありますかな。」
ひろき「ひなみが心配や早く行こ。」
裕子「そうね。」
(`・ω・´)「吾輩フルパワーで行くでありますよ。」
裕子とひろきは、オニ車に乗り込んだ。
裕子とひろきは、前の方の席に並んで座った。
モーターがうなりを上げて、谷を登って行く。
道まで出て、道なりに進む
ガタガタとうるさく、クローラーに揺られながら、ひろきは、妹の安否を願って手を合わせる。
そのまま5分以上も走っていた。
ひろき「ひなみな、俺の妹やん」
裕子「うん。」
ひろき「俺の父ちゃん病気で死んでもうて、母ちゃんがあの暴力野郎と再婚してしもうたんや。」
「そしたら、ひなみを養子に出して俺と母ちゃんが、あの暴力野郎と暮らすことになってしもうて」
「しばらくしたら、母ちゃん頭おかしくなってしもうた。父ちゃん死んだ時にもう、なってたんかもしれんけど」
裕子「・・・うんうん」
ひろき君の心境の吐露に言葉を失う。
裕子「でも、ひなみちゃんが引き取られた先に、てっぺい君が居て今はお兄ちゃんにもなってるんだよね。」
ひろき「そうや」
裕子「なら、ひなみちゃんの心配だけは、必要ないね。守ってくれそうだし」
ひろき「いや、あいつは、まだまだやん現に今助けに行かんといかんのやから」
裕子「ハハハ、それもそうか」
ひろき「ひなみの今の親父は、死んだ父ちゃんの兄貴でかっこいい人やぞ」
裕子「へー、ひろき君もその人尊敬してるんだね。」
ひろき「尊敬っつーか、まあね」
(`・ω・´)「軍曹殿!外を見るであります。」
裕子「軍曹殿って言うのやめて!」
そう言うと、コマンダーキューポラに登って外に顔を出した。
アスファルトが真っ黒になっており、火山灰や多数の石が散乱していた。
道の端に丸焦げになったバンが1台
どうやら火砕流に巻き込まれたらしい。
裕子は慌てて、飛び出した。
(`・ω・´)「外はまだ高温なので、外に出ては危険であります。」
そんな事聞いていられない。
裕子は、バンに駆け寄った。
窓ガラスは、全て割られ冬に屋根からぶら下がっている氷柱の様になっていた。
中には真っ黒な人形の様なものが、置かれている。
いや違う人形じゃない。
人が黒焦げになっていた。
後ろの席に座っていた2人は抱き合っていた。
運転席に座っていたであろう人は、床に伏せて何かを抱きかかえている。
あまりの光景に、涙が頬をつたう。
床に伏せた人物が抱えている物が気になる。
車のドアのロックを外す。
ドアを開けて、布に包まれた端を手でたくし上げると、緑の迷彩色のランニングシューズが見えた。
見覚えがある、特徴的な靴
たしかジンチ君
足首も見えたが、もう手遅れだった。
消防士の思いもむなしく、ジンチ君も息絶えていた。
裕子はしゃがみ込み、その場で泣いてしまった。
ひろき「姉ちゃん大丈夫か?」
ひろき君は、オニ車から降りようとしていた。
裕子「来ちゃダメ。」
裕子は涙を吹き、車のドアを閉めてオニ車に戻った。
戻るとひろき君が心配そうに、覗き込んできた。
ひろき「泣いてたやん。どうしたん?」
裕子「人がね。あの中で・・・」
ひろき「そうか。怖いな。」
ジンチ君が、あの中で亡くなっていたなんて自分の口から言えなかった。
オニ車は走り出した。
裕子も泣くのをやめ、涙を拭いて前方を映すモニターを眺めていた。
またしばらく走っていると、直角のカーブが見えてきた。
カーブを曲がると、見慣れた顔がいた。
てっぺいとひなみの父、銀平だった。
ひろきは、急いでコマンダーキューポラに登り、外に顔を出した。
ひろき「銀平おじちゃん、俺行ってくる。ひなみとてっぺい乗せて帰ってくるから待っといてや」
ひろきは銀平に手を振った。
銀平「ひろきか!頼んだぞ」
銀平も手を振ってひろきに答えた。
(`・ω・´)ゞ「・・・」
オニは何も言わず、回転砲塔を回して画面を銀平に向けた。
オニは回転砲塔を前に向けると火事になった森へ突入していった。




