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突撃!オニの戦車(`・ω・´)ゞヒノヤマノボレ  作者: つばき☆テルゾー
第3章 山に轟けオニの咆哮
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火事の森

消防車が2台と消防署のバンが1台

頂上村に向い、サイレンを鳴らして猛スピードで駆け上ってゆく。

さらにその後ろには、一台の軽トラックが、追随して走っている。

軽トラックには、ひなみの父が乗っていた。

すれ違う軽トラックの中をチラチラと覗き込む。

銀平(ひなみ父)「親父はまだ、降りてきてないのか。」

谷の上の道を10分も走れば道が直角90度に折れ曲がったカーブがある。

その先には森が広がっている。

カーブを曲がった所で消防車が立往生していた。

銀平は車を止めると、降りてその様子を見に行く。

銀平「何かあったのか?」

そう言うなり絶句した。


森が火事になっている。

火は完全に燃え広がり、鎮火には到底時間のかかる事だろう。

消防隊長「道を開けるんだ。もしかしたら、火の中を突き切って車が突進してくるかもしれんぞ。」

消防車は道を開けるように、道の両脇に移動した。

それにならって銀平も車を道の端に寄せた。

消防隊員はホースを伸ばして消火作業の準備に入る。

隊員の1人がホースを構える。「準備できました。」

消防隊長「放水開始!」

ホースから水が勢いよく出てくる。

もう一人もホースを構えて消火活動に入る。

銀平は消防隊長に詰め寄る。「ちょっと俺をこの森に通してくれ。車で突っ切りたい。」

消防隊長「無理だ。軽トラックでこの中を突き切ったら、ガソリンタンクが爆発するぞ。」

銀平「それでも、行かないと俺の息子と娘がまだ、頂上の村に取り残されているんだ。」

消防隊長「少し待ってくれ、この火を消してから前に進むしかないんだ。」

銀平「それでも!」

ホースを持った隊員が叫ぶ「中から何か来ます。」


火事になった森に意識が集中する。

エンジン音が聞こえる。

おそらく車だろう。

隊長「道を開けろ!」

水を止めて、道の端に移動する。

1台の白いバンが、火だるまになって突き切ってきた。

森を抜けると同時に、急ブレーキをかけて90度のカーブ手前で止まった。

"ボン、ボボボン"

火が付いたタイヤが4つとも破裂した。

音に驚いて伏せる。

隊長「車を冷やせ。窓に当てるなよ。」

ホースを向けて、放水した。

手早く車を冷やすと、中から人が飛び出してきた。

隊員は、慌ててホースを横に向ける。

中から出てきたのは、4人家族だった。

家族が飛び出すと同時にガソリンの臭いが広がる。

家族の父「気化したガソリンが、車内に充満してる。下手したら爆・・・」

ドカーン

そう言っている間に車が爆発した。

爆風と爆音で、全員後ろにのけ反り倒れた。

隊員の一人がホースを手から放してしまって、ホースが暴れだす。

暴れた消防のホースを2人係で取り押さえるが、2人ともなぎ倒される。

隊長は消防車に駆け寄って、水を止めた。

隊長「無事か?」

隊員「無事です。すみません。手を放してしまって。」

隊長「問題ない。ケガが無いなら車を完全に鎮火させろ。」

手早くバンの火を消した。


ジンチ「あぶなかった」

バンから出てきたのは、てっぺいの友達のジンチと、その家族だった。

銀平「おい、ジンチ君かい。」

ジンチ「へっ」

顔や手足に真っ黒いススが付いたまま、フラフラして立ち上がる。

ジンチ「うっす。てっぺいの父ちゃん。」

銀平「なあ、てっぺいは、見てないか?」

ジンチ「必死やったし回り見えんかった。」

銀平「そうか・・・」

気まずい空気が流れる。

銀平「気を付けて降りるんやぞ。」

ジンチ「うん」

ジンチは、何か言いたかったが気の利いたことが思いつかない。

気休めなんて言える場合ではないのは、小学生でも分かる。

何も言えない自分を恥じて、その場から逃げるように母親に駆け寄った。

ジンチ「立てる?」

家族4人で集まってケガはないか、安否を気遣っていた。

隊長「おい山渕、家族をふもとまで送ってやれ。」

隊員山渕「はい、行ってきます。」

隊員山渕は消防署の赤いバンに4人家族を乗せて、走り出した。

隊長「行って帰ってくるには、20分ぐらいで出来るだろう。よし消火再開だ。」

隊員「はい!」


ジンチ達を見てさらに銀平の不安は増すばかりだった。

銀平「俺一人が行っても救助を待つ人間が1人増えるだけじゃねえか。」

想像するだけで、結果が見えてしまう。

軽トラックに、飛び乗る。

森を抜ける。

軽トラックが燃えてしまう。

手も足も出ない。

今にも軽トラックに、飛び乗って走り出したい衝動を必死に抑えた。

地面に拳を叩きつける。

ここに立っている事しかできない自分を恥じて、悔し涙を流しながら、その場にしゃがみ込み肩を震わせた。

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