爆風野球
てっぺいが、「やろうぜ~」と言いながらバットを手に持ち素振りをはじめた。
みんなもグローブとバットを手に取り集まりだす。
(`・ω・´)「吾輩も加わるであります。」
ジンチ「手無いのに何ができるんだよ。まさか手でも生えてくるんか?」
(`・ω・´)「まさか生えてこないであります。」
オニAI戦車は、ピッチャーマウンドまで移動した。
(`・ω・´)「吾輩の大砲の中に、ボールを入れてほしいであります。」
ボールを入れやすい様に大砲をジンチの方に向けた。
ジンチは、軽く手首のスナップを効かせてボールを大砲の中に投げ入れる。
オニは投げ入れられたボールが跳ね返って出てこないように、一度大砲を上に向ける。
てっぺい「へー大砲ぶっ放してボール投げようってか。面白いやんけ」
キャッチャーミットを手に持った子が、慌てたように両手をブンブン横に振って言う。
「ちょっと待てや、大砲の弾飛んで来たら、俺が危ないやん」
(`・ω・´)「問題ないであります。弾が入っていない空砲で飛ばすであります。」
「そうなんか?・・・本当に?マジで大丈夫なんやろな?」
不安な声から怒りの声に変わってゆく
ものすごく不安そうに顔をしかめながら、ゆっくりとしゃがんで、キャッチャーミットを構えた。
てっぺいが、バッターボックスに立ち、バットをブンブン振り回してから構える。
オニAI戦車は、キャッチャーミット目掛けて大砲を向ける。
ウイーン、ガラン、ゴットン
自動装填装置が作動し大砲に弾が込められる。
(`・ω・´)「いくであります。」
裕子は疲れて脱力していたが、その言葉に裕子は、ハッと気づく「まって、やめなさいコラー」
裕子は、渾身の力でダッシュしキャッチャーの子とバッターボックスのてっぺいを一気に突き飛ばした。
ドッカーン
大砲を容赦なくぶっ放した。
強烈な爆風が裕子の背中をかすめ通る。
爆風は、バックネットを支えているコンクリートブロックに大きなヒビを入れた。
メキッ ボコッ ゴロゴロゴロ
ヒビはさらに大きくなり音を立てコンクリートブロックが、ゆっくり崩れだす。
子供達「・・・・?」
バックネットは、ゆっくり向こう側に傾きだす。
ジンチ「崩れるぞー」
子供達「うわー逃げろー」
バキバキバキ ガッシャーン轟音が響き渡り、バックネットは崩壊した。
子供たちは大混乱、子供同士でぶつかり転ぶ子もいる。
砂埃が立ち上がり崩壊の音が山々に木霊した。
( ;゜Д゜)「・・・」オニAIも言葉を失っていた。
あれから何分経っただろうか、やがて辺りが静まり返る。
子供達のほとんどは、運動場から出て行ってしまった。
運動場が静まり返った頃、ゆうこは立ち上がった。
キャッチャーの子も、てっぺいも逃げたのだろう姿が見えない。
怪我をしていなければいいのだが。
ひろき君は、ひなみちゃんに覆いかぶさり怪我をしないよう、抱きかかえていた。
(;・ω・)「えっ・・と・・」
裕子「あんた何やってんのよ。馬鹿なの?」
(; ・`д・´)「吾輩・・・も、申し訳ないであります。」
裕子「それで済んだら警察いらないわ。」
校庭の入り口から、大人が走り寄ってくる。
男「お前たち何やってるんだ!」
裕子は、肩越しに怒声を聞く。
その大きな声に、反射的に振り返った。
顔を見ると男は、ひろき君の父親だった。
裕子「これは、あの~・・えっと。」
出す言葉が見つからない。
全く勘弁してほしい。
この戦車が来てからロクな事が無い。
ひろき君の父親は、あたりを見渡してひろき君がいる事を確認する。
ひなみちゃんを抱っこしている、ひろき君の手首を掴んで乱暴に引きずる。
ひろき君「いてて」
父親「お前は家にかえって勉強でもしていろ。おいそこの女とバカでかい危険物、大人しくそこで待ってろよ。」
きつく指をさしながら言う。
手首を掴んでいた手を放したと思ったら、ひろき君の髪の毛を掴んで引きずった。
ひろき君「ひなみまたな。姉ちゃんも付き合ってくれてありがとな。」
恐怖でひきつった顔で無理やり笑顔を作りながら、引きずられる。
ひなみ「まっておじさん、お兄ちゃんに乱暴しないで。」
ひろき君を追いかけながら言う。
父親「あ゛ーん」
乱暴にひなみちゃんに威嚇する様に、言い払った。
ひなみちゃんは、怖くてその場で立ちすくんでしまった。
ひろき君「いい大人が、ひなみ相手にすごむなや。」
親父「チッ」
父親は、 舌打ちをして固く握った拳をひろき君に振り下ろした。
しかしその拳は止められた。
裕子がその拳をキャッチしていた。
昨日の様子を見て、あらかじめ真後ろに付いて警戒していたのだった。
裕子「あんたねえ。こんな事して・・・まったく・・その髪の毛を掴んだ手を放しなさいよ。」
急な怒りのせいで、言葉がうまく出ない。
親父「うるさいんだよ。おまえ、俺の教育方針に口出しすんじゃねえよ!」
裕子「こんなのが教育であるはずないよ。放せつってんのよ!あんたは、この子をストレス発散の道具にしてるだけでしょ。大きな声出して、支配欲を満たして気持ちよくなっているだけでしょうよ。」
親父「子供も生んだこともない小娘に何が分かるんだよ。」
裕子「あんたも子供生んだこと無いでしょうよ。」
そりゃそうだ。男なんだから
親父「は?」あきれて手の力を無意識に抜く。
思わず ひろき君の頭が解放された。
呆れられても、言い負ける分けにはいかない。
裕子「悔しかったら生んでみろってのよ!」
もっと何か言いようが有るだろうに、自分の語彙の無さに落ち込んでしまう。
父親「バカなのか!すっこんでろ。」
そう吐き捨てるとひろき君の後ろ襟首を掴んで、運動場から出て行こうとした。
運動場の入口から、てっぺいが駆け寄りひろき君の親父に詰め寄る。
てっぺい「コラ!放せよ暴力野郎。子供殴るしか脳がねえのか!」
必死に食ってかかっていった。
親父「俺はお前の親でも担任でもない。お前相手に説教も時間の無駄だ消えろ!」
てっぺい「ひろきの妹はひなみだ。ひなみの兄貴は俺だ。だから兄弟みたいなもんだ。兄弟に手上げられて黙ってらんねえ。」
(`・ω・´)「そこの親父大砲で吹っ飛ばしたいであります。」
てっぺい「おお、やったれ。」
親父「なんだと!誰を吹っ飛ばすって?朝から爆音出して、バックネット吹っ飛ばすだけでは物足りないか!この危険物が。」
裕子「オニは黙ってなさいよ。ややこしくなるんだから。」
(´;ω;`)「グスン」
てっぺい「弱っ」
父親「女と危険物、おまえらのせいで平穏が遠のいたんだ。こらしめてやるから、ここで待ってろよ。」
親父は、ひろき君の襟首をつかんでいた手を放し手首につかみ変えて強引に引っ張って運動場を出て行った。
両手で頭をかきながらしゃがみ込む。「あいつ警察でも連れてくる気よ。もうどうしたらいいのよ。」
てっぺいもその場で、あぐらをかいて座り込んだ。
てっぺい「兎に角よ、あの親父とヒロを一緒にいさせるのは、あぶね~わい。まだヒロの心強いけど。そのうち折れちまうぜ。」
裕子「児童相談所でも相談してこようか。」
てっぺい「わしらの言う事なんか聞いてくれっかいや」
オニAI戦車は、運動場の入口の方角に向きを変えた。
(`・ω・´)「吾輩ひろき殿が心配なので、家まで行ってセンサーで様子見てくるであります。」
裕子「様子見てどうするのよ。」
(`・ω・´)「現場においては、臨機応変であります。」
てっぺい「またぶっ放すんか?」
(`・ω・´)「吾輩の大砲がひろき殿を救うなら事と次第では、でも後々迷惑がかかるので、バックネットの二の前は避けるであります。吾輩直せないでありますからな。」
オニは、ひろき君の後を追って、運動場の入口へ向かって行った。
裕子「あ~あ、あのバカ戦車に任せてたら、次に何があるか分かったもんじゃない。」
てっぺい「この場で座っててもらちが明かねえ。行っか!」
ひなみ「わたしも」
てっぺいは立ち上がると、「お~い戦車、俺らも乗っけてけ~、一緒に行くわ。」
てっぺいと、裕子、ひなみの3人はオニAI戦車を走って追いかけた。
その声にオニAI戦車は、運動場の入口で停止してハッチを開いた。
(`・ω・´)「みんなが居てくれると、たのもしいであります。」
3人でオニAI戦車に乗り込んだ。
てっぺい「ひろきん家、知ってんのかい。」
(`・ω・´)「足音たどれば分かるであります。」
裕子「高性能マイク搭載してたんだったね。」
3人はオニに乗って、ひろき君の家に向かった。




