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突撃!オニの戦車(`・ω・´)ゞヒノヤマノボレ  作者: つばき☆テルゾー
第2章 夜明けの咆哮は高らかに
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コマンダーキューポラの風

裕子はお礼の代わりに、ゴンゾの奥さんのお手伝いをした。

使った食器を洗い、はたきを掛け、ほうきで家中を掃き掃除し、洗濯ものまで手伝った。

洗濯が終り庭の物干しざおに洗濯物を掛けているとき、ひろき君が庭に顔を出した。

ひろき君「やあ、お姉ちゃん おはよう」

裕子「おはよう、早いのね」

ひろき君「うん、でも9時だよ。そんなに早くもないよ。」

裕子「え?そんなに時間経ってたんだ。」

朝の6時に朝食を食べ終わると、ずっと家事の手伝いをしていた。気が付けば朝の9時

そんな2人の会話を上空からの音が邪魔をする。

空を見上げるとヘリコプターがしきりに飛んでいる。

裕子「ヘリコプターうるさいね。」

ひろき君「うん、こんなん初めてや。なんなんやろか?」

無理もない。

裕子は昨晩通報しているし、朝の早くから爆音が鳴り響いたのだから。

警察、消防、自衛隊、マスコミが動いていても何の不思議もない。

裕子「戦車がいるから・・・かな?」

ひろき君「朝ぶっ放したのわしの家にも聞こえてきたわ。なんでぶっ放したん?」

裕子「目覚まし代わりみたいね。」

ひろき君「ふ~ん」

裕子が最後の洗濯物を物干しざおに掛け終わった。

ひろき君「姉ちゃん、学校の運動場で野球するんや。ヒマやったら見に来んか?」

裕子「え?」

ひろき君「あぁ~まあ・・ヒマやったらでいいし?」

裕子「うん、どうせヒマだし行こ!ちょっと待っててね。」

ひろき君は少しホッとしたように、ニッコリ微笑んだ。

ひろき君からしてみれば、見知らぬお姉さんとせっかく知り合いになれたのだから、ちょっとしたデートに誘ったのだった。

裕子もそれを察してOKした。

今日暇している同僚にガソリンを買ってきてもらう算段なのだが、どおせ昼頃になるだろう。

まだ時間はある。

洗濯かごを片付け、私物を自分の軽自動車の中に入れて、いつでも出発できる様に準備した。

玄関に回って、ゴンゾの奥さんを探した。

何気に玄関の表札を見ると、深山みやま 権蔵ごんぞうとあった。

裕子「へ~ みやま ごんぞうで、ゴンゾなんだ。」

たわいもない独り言

玄関前で掃き掃除をしているゴンゾの奥さんに話しかけた。

裕子「昨晩は泊めていただき有難うございました。」

裕子はゴンゾの奥さんに、頭をさげて丁寧にあいさつをした。

奥さん「いえいえ主人のあんな楽しそうな姿、久しぶりに見ましたよ。またご縁がありましたら立ち寄って下さいね。」

裕子「本当に助かりました。仕事の同僚が、ガソリン買ってきたら車で帰りますので、それまで車は停めさせてください。」

奥さん「ええ、いいですよ。」

奥さんに深々とお辞儀をして出てきた。

ひろき君は、道の端にしゃがみこんで手に持った石でアスファルトに落書きをしていた。

ハッキリ分からないが、オニ車を書いている様だ。

(`・ω・´)「・・・」

オニは5mも離れた所でひろき君の書く自分の姿を見守っていた。

裕子は、奥さんへのあいさつを終えると空を見上げた。

空は晴れ渡り

全ての生命に力を与える真夏の太陽

山間を流れる清々しい風

真っすぐ垂直に伸びる細長い変な雲!?

裕子「何だろ?」

ひろき君「なんかあった?」

裕子「ん?何でもない。ところでドコ行くの?」

ひろき君「学校の運動場行こ。」

裕子「うん」

ひろき君は、野球のバットにグローブを差し込み肩にかついだ。

裕子とひろき君は他愛の無い話をしていた。

裕子「小学校何年生だっけ?」

ひろき「今5年や」

学校は楽しい?

好きな子はいる?

だが後ろから不穏な振動が近づいてくる。

クローラーが80㌧の巨体を運ぶ音

後ろからガタガタ、ゴトゴトと軽い地響きを鳴らしている。

後ろを振り返ると、オニ車が車体後部から、水蒸気をモクモクと排出して、2人の後を追って来ている。

(´・ω・`)「2人で遊ぶなんてずるいでありますよ~。」

裕子「あんたは大人しくしてなさいよ。」

(`・ω・´)「吾輩、生涯に一度は子供達と野球をやってみたかったであります。」

さっき裕子とひろき君との庭での会話を聞いていたのであろう。

ひろき君「へえ、ポジションどうするんや?」

(`・ω・´)「ピッチャーするので、吾輩の剛速球を打ってほしいであります。」

裕子「あんたが、どうやって投げるのよ?」

(`・ω・´)「球ぐらい投げられるであります。早く行くでありますよ。2人とも吾輩に乗るであります。」

オニ車は停止すると、ハッチを開けた。

(`・ω・´)「さ~乗った乗った。」

裕子「嫌な予感しかしない。」

ひろき君は、さっさとオニのタラップを登りだした。

裕子「あ~んも~先に行っちゃうんだから。」

あの年頃の男の子は、乗り物対して好奇心が強い。

裕子「仕方なく乗るけど、今朝みたいにぶっ放さないでよね。」

(`・ω・´)ゞ「了解であります。」

裕子もオニに乗り込んだ。

裕子「あんた道は、分かるの?」

(`・ω・´)「カーナビも搭載しているのでバッチリ、ちなみに所要時間5分でありますよ。」

80トンの機体はクローラーを回すたびに酷い騒音と振動、乗り心地の良いものではない。

鉄がぶつかる音とクローラーが地面に叩きつけられる音が反響する。

裕子「しっかしうるさいし、揺れるわね。」

思い起こせば、昨日は土の斜面を登る所だけ乗っていたが、道路に着いたら軽自動車に乗ってハンドルを握っていたので、舗装道路の上でオニAI戦車に乗るのは始めてだった。

ひろき「長く乗ると気持ち悪くなりそうや。」

(´・ω・`)「こればっかりは、どうにもならないであります。しばしじっと我慢の子であります。」

裕子はモニターが並んでいる席に座った。

席の前には、エレベーターに付いていそうな、矢印のマークの形をしたボタンが上下用2つ付いていた。

裕子「このボタンなあに?」

(`・ω・´)「上を押してみるといいであります。」

裕子がボタンを押すと、モニターを残して、席だけが床ごとエレベーターの様に上がりだした。

上を向くと主砲塔の天井のハッチが開き顔を外に出した。

風が心地よく顔をすり抜けて行く

(`・ω・´)「そこはコマンダーキューポラといって、外を見ながら中に指令を出すところであります。」

風が裕子の顔を一気にすり抜ける。

裕子「へ~なかなかいい眺め」

(`・ω・´)「そこからの眺めは最高でありますからな。そこから顔を出さずに、外を見ることも可能でありますよ。下矢印のボタンを1回押してみるといいであります。」

裕子は言われたとおりに下向き矢印のボタンを押してみた。

席が少し下がり、目線にはガラス張りの小窓が四方八方に設置されていた。

コマンダーキューポラとは、日本語に訳すと”司令官の溶鉱炉”となる。

そこから戦車長が熱く頭をカッカさせながら、指令を出すのでその様な名前がついたのだろう。

戦車なら主砲塔の上に必ずと言っていいほど設置されているものであり、

そこから顔を出して指令を出したり、危ない時には顔を出さずに小窓から外を見れるようになっている。

ガラスは、頑丈にはめ込まれていて、とても分厚い。

尾高博士が、改造した時に付けられた物だろう見た目でわかるほど新しい。

ガラスには傷も無く外がハッキリ見える。

裕子「へーここから、外見るんだ。」

(`・ω・´)「耐熱ガラスで厚みも30センチであります。」

ひろき「ゆうこ姉ちゃんずるい、わしにも見せて」

裕子「うん分かった変わるね。」

裕子は下ボタンを押し席をおろして、ひろき君と席を変わった。

5分なんてあっという間だった。

ひろき君がコマンダーキューポラから顔を出すと学校の運動場に着いたところだった。

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