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虹の彼方と異世界クロスオーバー 〜アニメの勇者+αと共同生活はじめました〜  作者: 高橋聖
第七章 クリスマス編

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7-14 聖夜決戦①

 この世界の文化を知るために、マキナたちは世界中の昔話や童話などを度々見たりしていた。その一つが、サンタクロースにまつわるものだった。白いヒゲを生やして赤いスーツの、クリスマスイブの晩にソリに乗ってプレゼントを配って回る太ったおじいさん。

 のはずなのだが、目の前にいたのは異様なまでに細身で、巨大で、背中から腕が沢山生えていて、真っ黒な顔に巨大な目が二つだけの、プレゼントというより絶望を配って回りそうな『怪物』だった。サンタクロースに共通する特徴といえば、血のような赤色の帽子とスーツだけだった。


「来るぞ! 避けろ!!」


 今度はビームが四人分、真っ直ぐに飛んできた。速いが直線にしか飛んでこないので、避けるのは容易だ。容易だった、最初は。

 サンタクロースデーモンの特徴の一つである、背中から無数に生える『腕』。当たり前だが、一つの腕につき指は五本ある。なので、一度に大量のビームを撃つことも可能、というわけだ。


「そろそろ避けるのもキツくなってきたわね……」


 息を切らしながら、そうマキナ。ビームが家々はもちろん、インフラを破壊しすぎないように、軌道も意識しながら回避しているので尚更だ。


「クソっ! 近づけねぇ」


 すると、そこに助け舟の如く、タカトのCODEブレイドが飛んできた。ブレイドは的確にサンタクロースの頭を貫いた。しかしながら絶命には至らない。彼がブレイドが飛んできた方向に注意を向けている隙に、タカトは地面に落ちたブレイドを回収した。


「変……身……!」


 彼はブレイドに差した鍵を捻り、CODE:センチネルに変身した。

 変身はハロウィンでのクラハ戦以来。チャンスが無かったというのもあるが、それほど今回のデーモン怪人が強敵だと見積もられているということだ。


 センチネルは、飛び交うビームの森を駆け抜け、サンタクロースに近づく。反復横跳びの要領で真後ろに回り込み、無数に生える腕の半分近くを切断した。だが、それに意味はさほど無かった。斬ったその瞬間から、またにょろにょろと生えてくるのだから。


「気色の、悪い……」


 首を三六〇度回して、センチネルの相手に一〇〇パーセントのリソースを割き始めたサンタクロース。大量の腕を用いて、ヤマタノオロチが猛攻しているかの如く、センチネルを追い詰める。


 ――――斬れども斬れども、キリが、無い。


 その隙に、マキナは屋根の上からサンタクロースデーモンを狙っていた。


 「Lamina Venti/風の刃」


 杖を振り下ろすと同時に、風の刃がサンタクロースの腕を断ち、道路に、花壇に、ブロック塀に、傷跡を残した。


「ぐっ……」


 思わず彼女は片膝をつく。魔力消費が激しかったのだ。

 だがその時、


『マキナサマーっ!』


 二コーラーの声がした。どこからだ? 赤と緑に点滅する光が見えた。春晴家の方向から、ドローンが飛んできた。


『二コーラードローン、ただいまサンジョウしました! はい、すぽーつどりんくです。ヨニンでマワしノみしてください』


 ありがたいことに、一・五リットルの大容量パックを持ってきてくれた。それにしても、まるでクレーンゲームのような配給方法だ。


「よく持ってきてくれたわね」


『ええ! メザめたカナタサマのシジです』


「カナタが……目覚めた?」


 その時だ。


「うおおおおおおおおおおおお!!」


 なんか、うっすら聞こえる。

 道路の向こうが、一瞬光ったような気がした。次の瞬間には、金色で、サンタクロースと大差ない細さのコスモが、サンタクロースの頭に片足をめり込ませていた。


「やっと来たか」


 セルアは剣を片手に呟く。


 春晴カナタ、もといゴニンコスモ:スピード+。寒空の下に、堂々参上である。

 首根っこからいくつも垂れ下がる長いヒラヒラの一つに掴まった、まるで走り出した犬に引っ張られた飼い主のようなことになった挙句、目を回した冬雪チハヤを添えて。




 忘れた頃にやってくる、デーモンコアに隠されたシステム『コアスイッチ』。今回の発動条件は『春晴カナタの参戦』だ。 


 ガリガリだったサンタクロースデーモンの体は、まるでビニールトイに空気が入っていくように膨らみ始め、マッチョの、まさに『巨人』になった。


「俺が来た途端にこれって……」


 次の瞬間、サンタクロースは地面に力強い拳を突き立て、ひどく強い衝撃波を起こした。円を描くように広がった衝撃波に、コスモは、センチネルは、セルアは、ゴルダンは、ラーシャは、マキナは、地面に叩き付けられた。

 それに巻き込まれたチハヤは頭を打って、目の回りから解放された。


「いったぁ……ここどこ?」


「チハヤ……気がついたなら、早く逃げて」


 そう言われても、急に目の前に現れたヒーロースーツの人物に、驚かずにはいられない。


「うわぇ!? ……あ、えーと、カナタ!」


 彼女は、カナタがスピード+に変身して走り出す場面に、立ち会っていたのだ。あっけなく、カナタはヒーローバレしてしまった。いや、わざとバラしたのである。


「これどーゆー状況?」


「いいから早く・・・」


 その時、サンタクロースのビームがコスモの背中を焼いた。


「あっちぃ! よくも焼いてくれたな俺の背中!!」


 怒りでズンズン歩き出したコスモの向こうに、チハヤは目撃する。サンタコスのマッチョ怪人に加えて、自分が漫画やアニメで何度も見たキャラクターに酷似した立ち姿の、幼馴染の同居人たちを。


「…………えっ?」

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