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虹の彼方と異世界クロスオーバー 〜アニメの勇者+αと共同生活はじめました〜  作者: 高橋聖
第七章 クリスマス編

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7-15 聖夜決戦②

 今回の、対サンタクロースデーモンの戦略はこう。スピード+のコスモとゴルダンがレーザーを誘導し、タカトとセルアの二つの剣と数多の魔術で武装したマキナがその隙に間合いを詰める。まあコスモも、ちまちま援護射撃をしたりするのだが。

 そして、今逃げ出しても危ないので、チハヤはラーシャが警護する。




 作戦は順調に進んだ。確実に、じわじわとではあるがサンタクロースを追い詰められている。


「合図で、同時攻撃、だ」


「了解っ」

「了解した」


マキ「いっ」


セル「せーのー」


センチ「で!」


 三人は飛び上がる。合図でタイミングを合わせ、鉄の剣が、CODEブレイドが、鋭利な木が、サンタクロースの首を貫く。その瞬間にサンタクロースから、金属が擦れるような、痛がるような鳴き声が上がった。

 動きが止まった隙を見て、マキナは魔術「filum/糸」を用いると同時に、スピード+のコスモに掴まって、サンタクロースの周りを回り始めた。


「えっ?」


「ちょっと……お邪魔する……わよ」


 この期に及んで彼女はまだ、彼と目を合わせられずにいる。


「……もういいわ、ありがとう……ちょっと肩、借りるね」


「えっ? ちょっ……」


 マキナはコスモの肩に立ち、強く蹴って飛び上がる。そのまま勢いに乗って、今度は腕と胴を、まるでスパイダーマンがスイングするように、縛り上げた。バランスを失ったサンタクロースは、その場に倒れた。


 糸が嫌で嫌でたまらないのか、芋虫の如く激しく身をよじる。


「強さの割に無様だなぁオイ」


「同感」


「さて、これからどう処理しようか」


 まるで空気が抜けるように萎んで、サンタクロースは元のガリ細に戻りつつある。抜け出さないように、マキナはその都度しっかり糸をきつく締め直した。


 セルアは、切腹する武士を介錯するように、サンタクロースの首に剣を押し当てた。


 だが、まさにこのタイミングで、スピカ・ターヴォの隠されし爆弾が炸裂する。


『『発重力ォ:lique……factio/シ夜状……イヒ』』


「え?! 何てぇ??」


 カナタは煽るように聞き返す。だが、そんな彼の、サンタクロースを覗き込む彼らの背後を、まるで槍のように、棘のように変化した電信柱が、狙う。


「みんな! 後ろっ!!」


 倒したサンタクロースに近づこうとしていたのか、ラーシャに羽交い締めにされていたチハヤが叫ぶ。


「えっ?」


 刹那、電信柱は彼らに向かって突進を始めた。


「『発動:Defensio automatica latus/広域自動防御』」


 周りにいた仲間全員をカバーし、守るように展開されたセルアのバリアは、電信柱を打ち落とし、破壊するまでの相変わらずの硬度を誇った。だが、


「ヒュッ……」


 普段なら五分持つはずのタイムリミットが、防御範囲を広げたせいか、一瞬になってしまっていた。


「スポドリ……屋根の上……ッ!! もう! 私のバカぁ……」


『トってキます!』


 どこに隠れていたのやら、二コーラードローンは飛び出した。


「今のうちにセルアを安全なところに!」


 セルアに代わり、マキナは一時的に司令塔となる。

 近くにいたセンチネルが真っ先にその指令を受け、自身よりも体の大きいセルアを無理やり小脇に抱えて、徒歩一〇秒弱のラーシャのところへ無事送り届けた。


「魔力切れ、だ」


「分かりました」


 その時、二コーラードローンもスポーツドリンクを持って到着する。

 確認したら、センチネルは戦場へ戻っていった。


「助かりました。二コーラーさん」


『いえ! どうってことありません』


 ラーシャはキャップを開けたその瞬間に、飲み口をセルアの口に突っ込んだ。気管に入ってしまいそうな勢いで吸い込まれていくが、まだ目覚めない。


「スポーツドリンクで魔力って回復するんですか? その……ラーシャ・マグナ、さん」


「――――はい、その通りです。……ですが、どうしてその事を? それに、私の名前を?」


「……だって、アニメで見たんですもん。あでも、魔力も魔術も、ラーシャさんたちだって、本当は現実には……」


 『あにめ』とは、カナタがよくスマホで見ている、リアルとは違う質感の『映像』。映画と同じで、そのほとんどが作り話、嘘、フェイク、エンターテインメント、実在しないものだ。それに、自分や自分たちが当てはまるのだろうか。どういうことなのか全くもって理解できない。


「ラーシャ……さん?」


 呼ばれてハッと我に返る。


「すみません。……後でそのお話、しっかり聞かせてください」


「分かりました……」


 その時、セルアが咳込んで目を覚ました。意識が飛んでいた間にゴクゴク液体を流し込まれていたのだから、そりゃあびっくりもするだろう。


「ナイス……連携」


 彼は地面に転がったボトルを拾い上げて、ラーシャに渡しながら言った。固有魔術を発動してからここに至るまで、大方予想はついたのだろう。

 一・五リットルあったスポーツドリンクは、すでに残り三分の一を切っていた。


「これは……持久戦になりそうだな」


「ですね」


 彼らは戦場を俯瞰して見てみた。第一ガリガリ形態に戻ったサンタクロースは、ジョンソン/プロトデーモンの固有魔術『manipulatio gravitatis/重力操作』、シャークデーモンの固有魔術『liquefactio/液状化』に、過去の戦闘中には使用されなかったウエスタンデーモンの固有魔術『Ignem moderare/コントロール射撃』、そしてこの世界線のカナタは相対していないティラノサウルスデーモンの固有魔術『Dentes magni/大牙』の、四つに加えて、サンタクロース自身の固有魔術『Iaculatio laserica/レーザー射撃』の合計五つを駆使して攻撃を加えてくるのだ。

 コスモたちも、これには大分苦戦している。『liquefactio/液状化』と『manipulatio gravitatis/重力操作』のコンボ技でアスファルトの底なし沼にはまりそうになったり、弱ってなお数を増したレーザーに尻を焼かれたりと、中々の押され具合だ。


「救護ありがとう。行ってくる」


「ええ。がんば・・・」


「頑張ってください! セルアさん!!」


 ラーシャを遮り、チハヤがエールを送った。


「ああ」


 騎士セルア・レイズは、戦場に舞い戻った。

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