6-4 beforeハロウィン
今日は一〇月三一日、ハロウィンだ。カナタがいつも、主に映画館を利用している市内のショッピングモールでも、『仮装でお菓子をもらおう!』な子供向けイベントが開催されていた。
その裏で、カナタは映画館の八番シアターから出てきた。
「あ~、面白かった『キラーパンプキン』。ハロウィンの日限定のリバイバル上映とは、映画館も考えるな~。今度ブルーレイ買お」
ぶつぶつ呟いているうちに、彼は映画館を出て、モール中心部にある吹き抜けのホールエリアにやってきていた。
そこが、上記のキッズハロウィンイベントのメイン会場となっていた。モンスターや人気アニメキャラの仮装、コスプレをした子どもたちが、パンプキン柄のマスクをつけた係員の前に列をなしてお菓子を受け取っている。
「おー、やってるやってる」
カナタも、小さい頃に海賊のコスプレをしてこのイベントに参加したことがある。それを、思い出していた。
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それから八分ばかり経った頃。春晴家では、マキナが落ち着きを忘れてリビングを右へ左へうろうろしていた。
「どうしたのマキナちゃん。そんなにソワソワしちゃって」
サユコが聞いた。
「あー、それが……届かないんですよ、ハロウィンの衣装」
ハロウィンの衣装、と聞いてサユコは思い出す。
「カナタに頼んで買ってもらってたやつね。確かに、まだ届いてないわねぇ……」
その時のことだった。玄関のチャイムが鳴り響いた。インターホンでマキナが確認すると、宅配の制服を着た男が映っていた。
「はーい、今出ます」
大きめの段ボール箱を受け取ったマキナ。二階にいる仲間たちを吹き抜けの下から呼んだら、リビングに戻ってガラステーブルの上に両手の箱を置く。
「おー、やっと来たか」
先陣を切って箱を開封したのはゴルダンだった。
「えーと俺のは……あった」
彼が手に取ったのは狼男の仮装衣装だった。
次にセルア。彼のはフランケンシュタインだった。
お次はラーシャ。彼女のはシスター風……
「いえ、骸骨のお面も買ったので、これで死神です」
組み合わせ技で死神だった。よくみると、組立式のプラスチック製の鎌もあった。
最後はマキナ。彼女が選んだのは、キョンシーだった。
全員が買ったものを手に取り、箱の中身が残すところカナタの分のみになったその時、タイチがカナタを連れて帰ってきた。
「あ! 届いたんだ」
「そうそう! ほんとうにギリギリだったわ」
盛り上がる中、
「……買う必要あったのかね、これ」
タイチが何気なく呟いた。
「? なんでなんで?」
カナタは尋ねる。
「こいつらさ、もとの世界にいた時の服持ってんじゃん」
「うんうん」
「今どきの日本のハロウィンなんて、ほぼコスプレ大会みたいなもんだろ。別にそれで行っても、違和感なくねーか?」
「いや」
カナタは反論する。
「逆にそれだからこそ、古風というか原点的なハロウィンコスチュームってわけ!」
「そういう意図があったんなら、まあいいか」
タイチは両手を叩いて「さあ!」と仕切りなおす。
「そろそろ出るか。夕方になるにつれて混みあってくるからな、さっさと出ちまおう」
ハロウィンイベントに特段興味は無いサユコを除く六人は、駅に向かうために車に乗り込んで、家を発つ。
とその前に、
「着替えていった方が、よくないか?」
セルアが言った。
「「「「「確かに」」」」」
さてさて、一旦家に戻って各自選んだ衣装に着替えてから、彼らは気を取り直して家を出発した。
道中、車の中で海賊コス姿のカナタは思い出す。
「あ、そういやリゲルは?」
「研究があるから行かないんだって」
マキナの答えにある通り、リゲル・ルゥアは地下室に昨日の夜から籠りっぱなしで、ハロウィンイベントにも行かないとのことだった。
彼らは目指す。車と電車を乗り継いで、いざ、ハロウィンの渋谷へ。
つづく!!




