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虹の彼方と異世界クロスオーバー 〜アニメの勇者+αと共同生活はじめました〜  作者: 高橋聖
第五章 タイムスリップ編

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5-7 牢獄

「オラッ、ここに入れッ!」


 四人が押し込まれたのは、七王子宿の北の外れにある屋敷の中に設置された、木造り格子が付いた四畳程度の広さを持つ牢屋だった。


 施錠されて早々、四人は大きなため息を同時に一つ。


「なーんでこうなっちゃったかなぁ……」


「戦いを見た近所の人が、田んぼ荒らしだと思って岡っ引を連れて来たらしい」


 リゲルを除く三人は再びため息を吐き、彼をじっと見つめるようになった。


「何だよ。meが何かしたか?」


「いや。リゲルさんが魔術を使えたら、こんな牢屋すぐに脱出できただろうな、と」


 マコトが言った。


「反魔術カルトでsorry」


 そう投げ捨てるように言ったリゲルに対し、「誰もそこまで言ってない」とレイカが否定した。


「実際、魔術を使わなくてもこの牢屋は壊して脱出できそうなんだが……問題は奪われた持ち物だ」


「うん。チェンジャー、チェンジガン、釘原さんと月海さんの拳銃と刀と警棒、それとリゲルのウエストポーチ。これ全部取り返さなきゃだよね」


「そうだ。ところがそれがどこに保管されてるやら見当がつかない」


 四人はまたまた大きなため息を吐いた。


「とりあえず、奉行所送りになる前に見回りシメて脱出しよう」


 マコトのその提案に、全員が力の抜けた声で「お~」と返事をした。



 **********



 夜。月明かりが窓から差し込み、牢の中を照らす。


 四人全員が、寝苦しい環境ながらも寝入りかけた、そんな時だった。建物の壁の木の板を、外側から軽く叩く音がした。続いて「おーい、いるか?」と、ここ二日で何度も聞いた男の声が、耳に入ってきた。

 その声に、全員が目を覚ます。


「一ノ瀬さん?!」


「ああ俺だ」


「どうしてここに?」


 カナタが尋ねた。


「ちょっくら千人同心の用事でな」


 勘十郎は少し間を起き、口を開く。


「今回の件は悪かった。おいらももう少し上手く弁明できたらよかったんだけどな…………で、これからお前らを助けに行く」


 牢の中の四人の頭に、物騒な牢獄破りの風景が思い浮かんだが、勘十郎の「なに」という言葉でそれも薄れゆく。


「力ずくじゃあないさ。一同心の立場でどうにかなるかは分からないが、話をつけてみる」


「お願いします! 今はあなただけが頼みの綱です」


「おう。任せとけ」



 

 三〇分が経った頃だろうか、未だに戻ってくる気配はない。もしや成功したのではないか、とは全員が思ったはずだが、外からこっちに向かって聞こえてくる足音と、開口一番の「すまねぇ」で一転、諦めモードになった。


「無理だった……」


 その報告に、マコトは覚悟を決めて口を開いた。


「そうでしたか。では、この建物の構造を、教えてもらえますか?」


「ま、まさか力ずくで脱獄するんじゃねぇだろうな?!」


「申し訳ありませんがその通りです。我々ならきっとやれます」


「バカ言うな! もしそれで捕まりでもしてみろ! 打首もあり得るんだぞ!?」


「安心して。俺たち本物の未来人。必ず逃げれる算段も技もあるから。ねっ」


 そう言って現実世界の頼れる大人二人の方に目をやったが、不思議と逸らされて目は合わなかった。


「――――分かった。この建物の構造、教えてやるよ。まず・・・」



 **********



 二〇分後、建物の中は深夜にも関わらず大騒ぎとなっていた。なんでも、捕らえて収監されていた不審者が看守を気絶させ、牢を破って逃げ出したらしい。


「こっちには居ない!」


「あっちを探せ!」


 合流した二人の警備の男は、まっすぐ廊下を走って探し回る。


 そんな彼らが気にすら留めずに通りすぎた壁に、逃げ出した四人は隠れていた。


「hey、どうだmeがinventedした透明マントは」


「最っ高に隠れやすいよ」


 流石は科学者、といったところだろうか。魔術でカバーできそうなところでも、科学の力で道具にしてみせる。しかも人数分を携帯までしていたとは。


「これからもお役立ちtoolがwantなときは、いつでもtell してくれ」


 それからも四人は隠れながら進み、一つの鉄でできた扉の前で足を止めた。


「ここが押収品保管庫だね」


「ああ、その筈だ」


 レイカが扉の錠前部分にスタンバイ。持ち合わせていたスパイ道具の一つ「なんか鍵ピッキングするやつ」を用いてロックを解除した。


「入るぞ」


 こっそりと扉を開き、保管庫に侵入する。中に誰もいないことを確認し、忍び足で進む。


 そして、木箱の上に探していた物たちがあった。


「見つけた。おーい、こっちにあったよ」


 カナタが小声で三人に呼び掛ける。


「よくやった」


 四人は各自の持ち物を取り、装備する。あとは建物を出て、本来の目的を完遂するのみ。


「nowが九日のnightだ。ms.スピカがzombieをsettingしたのは、遅くとも一〇日のnight。そろそろ張り込んでなきゃbadかもな」


「よく分かるもんだね」


 そう小声で情報共有をしているうちに、四人は建物の裏口にあたる戸の前に到着した。ここから出れば、もう自由の身だ。


 カナタがそーっと戸を引いた次の瞬間、戸のすぐ外が爆発。衝撃で吹き飛ばされた戸ごと、カナタは奥の壁に打ち付けられた。


「大丈夫か?!」


 心配したマコトが駆け寄る。


「なんとか……」


 その時だった。煙の中から、余裕のある乾いた足音が聞こえてくる。誰だ。その疑問が全員の脳裏を通過していく。

 やがて姿を見せたのは、今朝カナタと戦っている最中に逃げたと思われた、処刑人タカトであった。


 彼の姿を確認したマコトとレイカは、すぐさま拳銃を向ける。だがそれは、タカトの眼中には全く無かった。さしずめ、「拳銃程度で私を殺せるものか」と言っているようなものだろう。


「立て、春晴カナタ。迎えに来てやったぞ」


「迎え……?!」


「ああ、決闘のな」


 そう返したタカトは、クククと不気味な笑いを浮かべた後、昂って口を開いた。


「ここで、この時代で、私とお前の一ヶ月に及ぶ因縁に、決着をつけようぞ」

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