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虹の彼方と異世界クロスオーバー 〜アニメの勇者+αと共同生活はじめました〜  作者: 高橋聖
第四章 体育祭編

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4-7 体育祭準備②

 タカトに謎の人物が接触してから、今日で一週間が過ぎた。九月ももうすぐ終わるというこの日に、カナタたちは体育祭で踊るダンスの練習をしていた。


 しかし、そこにタカトの姿は()()()無かった。


 ――――今日で一週間目、かぁ。何してんのかなぁ、アイツ。山籠もり修行とかは……ないか。


 踊りながらそう考えていたその時、思考に気を取られて振り付けを逆にしてしまったことに感づいた。


 ――――あらら。今はダンスに集中集中。ショーマストゴーオン……


 腕を振り、足でステップを刻み、全員でウェーブを作るようにしゃがみ、五歩前に動く。


 そんなこんなで、まだおぼつかないダンスを一曲分終えた一同。そこから流れるように、団長の紀のところへ集合がかかった。


「あのさ、非常に言いにくいんだけど……みんなやる気ある?」


 「えっ」という唖然とした声が、何人もの口から漏れた。


「振り付け、めっちゃずれてたしみんなバラバラだった。声も出てない。一応クラスで練習してるんだよね? なのになんでできないかな」


 彼の口から次々こぼれ出てくる失望混じりの愚痴を、他の生徒は何も言わずに聞くことしかできなかった。


「――――ごめん、こんなこと言って。ちょっと一人になりたいかも」


 そう言って、彼はその場をゆっくり離れていった。誰も、先生でさえ、それを止めはしなかった。


「――――どうする? これ」


「いや俺に聞くな」


「連れ戻した方がいいんかな」


「三年の先輩に任す?」


「「「うーん……」」」


 カナタ、エイタ、ビスケの三人が小声で話していたその時、列の前にいたイオリが立ち上がって口を開く。


「みんな。団長は俺たちのダンスの出来の悪さを嘆いていた。こうなってしまった以上、結果で伝えなければならないんじゃないか? 初日だから完璧じゃなくても良いとはいえ、もっと技術向上できるんじゃないか? 練習して、納得させようじゃないか」


「イオリ……」


「――――そうだね寿くん!」


 副団長を務める三年生の小野という女子が、彼の意見に賛成した。

 それに続くように、三年のリーダーである在原(ありわら)大伴(おおとも)らも賛同し、「練習して、結果で見せる」の輪は、瞬く間に団全体に広がった。


「よし! 団長見返すぞ!」


『おー!!』


 小野を中心に組まれた円陣で、彼らの士気は最高潮に至った。



 **********



 そして、二日後。五時間目の団練習が始まる前の昼休みに、カナタとイオリは三年三組の教室を訪れていた。目的は勿論、紀の説得だ。


「団長。俺たちあれから、放課後とか、使って沢山ダンスの練習しました。だから今日、見てください」


「――――知ってる。チラッと見えたし。楽しみにしてるから」


 彼はそう言って、ニマっと微笑んだ。




 ついに練習の時間がやって来た。


「ミュージック、スタート」


 小野のその合図で、陽気なヒップホップの音は始動した。


 最初の振りは、一年生の一部が一瞬遅れた。しかし、一昨日ほど酷くはない。

 続く振りは完璧に揃った。一矢さえ乱れていなかった。

 次のターン、これもピッタリ。

 腕を振り、足でステップを刻み、全員でウェーブを作るようにしゃがみ、五歩前に動く。それら全ての動きが、一昨日のそれとは桁違いに完璧だった。


 ――――これで魅せるんだ、団長を……!


 そうして、問題の一曲目はあっという間に終わった。

 紀は重そうに腰を上げ、団のメンバーの方にゆっくり歩み寄る。


「凄かった。よくできてたよ。」


 彼のその表情も、一昨日の真剣な顔とは打って変わって柔らかいものだった。


「俺の方も、あんな拗ねたみたいな態度とったことを謝りたい。……ごめんなさい」


「顔を上げてください、先輩。先輩のお陰で俺たちは一致団結し、たった二日でダンスをここまで完璧にできました。先輩も一緒にやりましょう、続きを」


「ああ!」


 イオリと紀の手は、固く結ばれた。それと同時に、空を覆っていた雲にも隙間ができ、陽の光が黄団を照らした。


「じゃあ次の曲、いってみよう! ミュージックスタート!!」


 団長は、天に掲げた右手の指をパチンと鳴らしてみせた。


「イキんなー!」


 小野からの厳しいながらも笑っている声に、彼も思わず笑みを浮かべた。



 **********



 それからさらに二週間後。時はついに、体育祭を前日に控える木曜日。校庭の一角で、カナタたちの所属する黄団は決起集会を開いていた。


「ついに明日、体育祭の本番だ。みんな――――勝つ準備はいいかー!?」


 応えるように、雄叫びが湧き上がった。


「黄団、勝つぞ!!」


『おおおおおお!!!』


 ――――勝つ、絶対に勝つぞ!


 この日のカナタの心の誓いは、いつになく固いものだった。



 **********



「本当にやるのか? この作戦」


 ああ、そうだ。約束通り報酬もやる。win-winというやつだろう?


「    は気に食わぬが、承知した」


 貴様に次ぐ作戦の要である彼女と、上手くやるのだぞ。


「分かっている」

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