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虹の彼方と異世界クロスオーバー 〜アニメの勇者+αと共同生活はじめました〜  作者: 高橋聖
第四章 体育祭編

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4-6 体育祭準備①

体育祭は準備と練習をガチった奴が勝つ


らしい。

 カナタとタカトの決闘から、早一〇分。七王子西中学校二年三組は、体育祭のリーダー決めで三分していた。


 そもそも『リーダー』とは何か、知っておこう。六クラスごとで縦割りとなっている団の中で、三年生の男女二名が努める『団長』の下で動く、『クラスごとの団長』的な役職で、一クラスにつき一名選出することになっている。


「寿くん!」

「いや、エイタ!」

「いやいや、ケイマ!」


 などと、クラスの五、六ヶ所から、それぞれが思う候補者の名前が叫ばれている。


「寿はあの大柄な男、エイタは前の男、ケイマとは誰だ?」


 隣のタカトが聞く。


「ここから見て、一番右の列の一番前に座ってる人。石川ケイマ。クラス委員長なんだ」


「成程。で、何をこんなに言い合っているのだ。一番リーダーシップのある者、カリスマ性のある者を選べばいいだろう」


「みんなあるから意見割れてんの」


 その時、担任の曽根崎が手を叩き、論争を続ける一同の注目を集めた。


「タイムアップです。決まってないようですし、じゃんけんにしましょう」


 その提案を受けて、クラスからは文句を垂れるの声が上がってくる。だがそれも無視して、曽根崎は「最初はグー」と、拳を突き上げた。


「やりましょう。三人とも。ジャーンケーン、ポン!」


 《結果》

 エイタ:グー

 イオリ:パー

 ケイマ:グー 


「おおっ。と、いうことで、二年三組のリーダーは寿イオリくんに決まりました。拍手!」


 最初の一瞬、クラスは静寂に包まれていたものの、一人の小さな拍手を皮切りに、クラスの静寂は拍手で上書きされた。


 三組縦割り《黄団》二年リーダー:寿伊織



 **********



 一週間後、同じく五時間目。この時間は団単位で体育祭の競技練習、及びダンス練習となっていた。


 黄団は、校舎北がわの第二グラウンドに集まっていた。列の前にはリーダーと団長が出て、練習のチーム分けをしている。


「五人六脚の人は小野さんのところへ。綱引きの人は在原(ありわら)くんのところへ。大縄跳びの人は大伴(おおとも)くんのところへ・・・」


 ――――平安の歌人すぎない? うちの先輩方。


「おい、春晴カナタ」


 前にいたタカトが、振り向いてカナタを呼んだ。


「私たちは何をやらされるのだ」


「学年競技は『台風の目』。棒もってコーンの周りを回るやつ。だけど今日はやらない。個人のやつは……俺には分からないから先生に聞いてよ」


「そうか。貴様は何を?」


「俺は・・・」


 その時、「玉入れの人は僕のところに」と呼び掛ける黄団団長の(きの)の声がした。


「これ、玉入れ」


「ならば私もそこに加わろう。監視は近い方がいい」


「監視されるようなことをした覚えはない!」


 キッパリ言いきった。


「さ、行くよ」


 カナタはタカトを引き連れて、玉入れグループの一団に紛れて移動を始めた。


 この七王子西中学校の玉入れは、二ラウンド形式である。

 まず第一ラウンドは、とてつもない高さの籠にチームで協力して玉を投げ入れるシンプルなもの。続く第二ラウンドは『逃げる』籠に玉を投げ入れるというかなり特殊なものだ。


 その練習が、三年生の(きの)の下でこれから始まろうとしている。


 「よーい」


 直後に、ホイッスルが吹かれた。それを合図に、玉入れに参加する生徒は籠に向かって玉を投げ始めた。

 機械人間の肩の強さを活かしたタカトの投球を横目に、カナタも負けじと玉を投げようと構えた。だがその瞬間、「ひぎっ」という弱い声を漏らして、カナタは腕を上げたまま硬直した。

 その様子を見て、心配したエイタは声をかける。


「なぁ、大丈夫か?」


「つ……つった。肩、つった……」


「すみませーん! ちょっと休憩します!」



 **********



 エイタとビスケの二人に付き添われ、校庭の隅っこに来たカナタは、その場にゆっくりと腰を下ろす。


「二人ともわざわざありがと~」


「まさかカナタがここまで弱いとは思いもしなかったぜ」


「去年のソフトボール投げの時と比べたら、まだマシじゃね」


「あの時は全治一週間の捻挫だったからなぁ」


 昔話に花を咲かせている三人のところに、タカトが歩み寄ってきた。


「よもや、貴様があの程度でダウンしてしまうとは。我を追い詰めたあの姿は、一体どこへ行ってしまったのだろうな」


「追い詰めたって、喧嘩でもしたん?」


 ビスケが聞いた。


「そ、そうそう! 転校してきた日に校舎裏でちょっとドンパチ……」


「「意外~」」


「そう? 俺もやるときはやるよ?」


 カナタは拳を構えるポーズをした。刹那、四人は「あ」と、声を揃えた。


「治ったみたい」


「しゃあ。じゃあ戻るか」



 **********



 四人が練習の場に戻った頃、そこでは一人籠を背負った男子生徒と、残りの20人余りの玉を持った生徒による鬼ごっこが繰り広げられていた。

 「待てー」「止まれっ!」「おりゃっ」というような声が飛び交っている。


「おー、やってんな」


 その時、「君たち!」と、三年の玉入れ担当の(きの)が、立って見ているカナタたちに声をかけた。


「突っ立ってないで参加して!」


「「「へぇーい」」」


 その辺に落ちていた玉を手に取り、四人もランニング玉入れの一団に加わった。


「籠役足速ぇー」


「よし、ここらで一投……」


「カナタ、投げる時は肩の力を抜いて、ふんわり投げてみ」


 ビスケのアドバイス通り、籠に向かってふんわり投げてみる。しかし、放物線の果てにあったのは、籠の側面だった。


「あー惜し。でもつったりしてないだろ?」


「うん。スポーツ経験者はこの手のアドバイスが上手いなぁ」


「だろ?」


 エイタが言った。


「エイタは……教えるのは上手くなさそう。性格がら」


「なんだと~?」


「おい、ガキども。とっとと籠を捕まえてこい。玉を入れられないだろうが」


「あ? 誰がガキだって?!」


「転校生くん、俺ら同い年でしょ」


 エイタは今さっきのこともありカチキレながら、ビスケは鼻で笑いながら言った。


「これは籠捕まえないから。動いてるのを狙う競技だから」


「非効率的だな」


 タカトは回れ右をして、校舎のほうに歩きだした。


「ちょい、どこ行くのー?」


「寝る。今朝の体育のせいでバッテリーが上がっているんでな」


「――――なんか、独特な奴だな」


「「同感」」


 タカト一人が去っても、練習はまだ続くわけだ。三人は切り替えて、ランニング玉入れに再び加わった。



 **********



 その日の放課後。日も少しばかり短くなって、部活動を終えて帰る頃にはもう空の色は橙色に染まっていた。


 久しぶりに、カナタはチハヤと並び立って帰っていた。


「ねーねー。カナタは何するの? 体育祭」


「台風の目と玉入れ。それ今日タカトにも聞かれた」


「タカトって、緑髪の転校生の? 今日トイレの前ですれ違ったんだけど、なんか怖かったんだよね」


「その勘、正解。ちょっと凶暴な奴だから気を付けて」


「誰が凶暴だって?」


 ドスの効いたその声に肩を震わせた二人が後ろを振り向けば、そこにはいつの間にかタカトが立っていた。


「そもそも、我が()()しなければならないのも、貴様が世界の秩序を・・・」


「あ゛ーーーーーーーー!!!!!! えーーーーなんてーーーー????」


 カナタが大慌てでタカトの口を押さえる。それを目にしたチハヤは困惑顔を浮かべていた。


「ねえ、なんのこと?」


「チハヤは知らなくていいの。じゃ、そういうことで、また明日!」


 そう言って、チハヤを担いで後ろの荷物置きに乗っけたカナタは、全力でペダルを漕いでその場を後にした。


「逃げたか。ここらでもう一度処刑しておきたかったが、仕方ない。明日だ明日」


 その時、タカトは斜め後ろに建つ民家の屋根の上に、ただならぬ気配を感じ、思わず目を見開いた。


 「誰だ」と、振り向かずに言う。


「刃那伊地タカト、いや、TK-001だな」


「貴様、何故私の名を知っている。増援を要請した覚えは無い。もう一度だけ聞く、貴様は誰だ……!」


「『スカウトマン』いや『依頼人』とでも言えば正しいか。実は我々も春晴カナタとその一味を始末したくてな」


「――――ほう」


「報酬は弾む。それに、処刑の手助けもしてやる」


「――――話を聞こう」

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