7-17 ライド・オン
「なにぃ? オメガタイタンがハリウッドで映画化だとぉ?」
タイチの耳にそのニュースが飛び込んできたのは、今から二年前のことだった。小学六年生のクリスマスにスマホを買い与えてもらったカナタが、初めて見たネットニュースから持ってきた情報だった。
かつて昭和男児の心を鷲掴みにした、日本ロボットアニメの祖とも言える、伝説の作品。それをハリウッドで実写リブートしようと言うのだ。
「うん。父さん、好きでしょ」
「おう。それは、見に行かなきゃだな。いつ公開だ?」
「二〇二七年の一〇月だって」
「――――まだ先だな……」
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そして現在、クリスマスの夜に戻り、
「オイオイマジかよこれ!」
「うわぁ父さんいつの間に?!」
知らぬ間に、タイチが戦場まで来てしまっていた。
「いやー、急に地震が来て、ビビって通りまで出てみたらよぉ、オメガタイタンが立ってたんだぞ!? テンション上がって来ちまった! すまん!!」
「えぇ……じゃあ、チハヤのところに行ってて」
カナタはチハヤとラーシャが寄っている道の端を指差して言った。
「ラーシャー。保護対象一人追加~」
「りょ、了解しました……」
さて、話を戻そう。
「誰がrideする?」
「乗って動かさないといけないのか」
巨大ロボットとは、そういうものだ。特撮ヒーローだと、三人乗りや五人乗り、果ては一二人乗りなどあるが、このオメガタイタンに関しては右半身と左半身で二人乗りらしい。
「俺が行こう」
「父さんは引っ込んでて。危ないから」
「てかおめーら、こいつの動かし方分かるのか? 俺は分かるぜ」
「俺も分かるから。誰にアニメとファンブック全部見せられたと思ってんの」
「じゃあ一人目はmr.カナタだな。二人目は……」
タイチ以外に操作が分かる者、乗りたい者が居なかったため、公平にじゃんけんをした結果、マキナが乗ることになった。
「私にできるかなぁ……」
「よし! 乗る二人が決まったら、手をつないで『ライド・オン』と叫ぶんだ!!」
彼の気分は既に司令官ポジションだ。
「えっ?」
やっぱり、今朝のことが引っかかる。カナタは、きっと私のことが本気で好きだ。それも異性として。何ヶ月も前に彼の部屋を訪れたとき、私の姿が描かれたものがたくさんあったこととも、繋がってくる気がする。今はそんなことを言っている状況ではないことはわかってる。けど……
「ん」
カナタは彼女の右手を握った。
マキナの手を握れることなんて、そうそうない。というか自分が握っていいのか疑問にも思えるが、今はそんなことを言っている場合ではない。余計な考えは排除排除。
「いくよ」
「う……うん」
二人は息を吸い。
『ライド・オン』




