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「待て少年! 何をする気だッ!」
俺はミランダの制止を振り切り車両まで走りだした──。
ミランダの声に反応する余裕は俺にはなかった。
もしもあれが人だったのなら……。
そう思った途端に身体が勝手に動き出していた。
「牽制射撃! 少年に奴らを近づけさせるな!」
後ろからミランダの怒号が響くと同時に目の前の生物達に銃弾の嵐が無数の風穴を穿つ。
しかしその弾痕はみるみると塞がってゆく……。
俺は銃撃の隙を突いて二体の生物の真横を通過し、乗り捨てられた無人の車両までたどり着く──そこにいたのは目元を真っ赤に腫らし涙を流した一人の少女だった……。
そして俺は少女みて咄嗟に記憶を呼び起こした。
ポニーテールでスカートを履いた女の子……。
この子が朋也の言っていた女の子なのだろうか。
「だ、大丈夫!? 怪我はない?」
慌てて少女の元に駆け寄りしゃがみ込んだ瞬間、少女が懐に飛びついた。
「お兄ちゃん、パパとママをたずけてぇ!!」
少女の泣き叫んだ声が辺りにこだました。
「パパとママはどこ──」
少女に話しかけた時、ミランダの大声が聞こえ俺は車両の影から頭を出した。
「少年! 早くそこから逃げろ!」
大声を上げるミランダ。そして横目にこちらに近づく二体の影が映った。
まずいッ!!
俺は少女を抱え上げようと少女の身体に手を回した時だった。
少女が暴れ出し服の袖をぎゅっと力を込めて握った。
「パパぁぁぁ!! ママぁぁぁ!!」
少女は大粒の涙を流しながら二体の生物に視線を向けていた──。
まさか……。
唖然として声がでなかった。
いや……。そんな、そんなわけがあるわけがない……。
顔を後ろに向けて二体の生物に視線を向けた。
俺の目に男女の姿を象った二体の生物が映り込んだ……。
「そんな……」
こんなの残酷すぎるじゃないか……。
運命はこんな小さい子からも大切な人を奪い、そしてそれだけでは飽き足らずに化け物なんかに変えてしまうか……。
俺は拳を握りしめ運命の理不尽さを心の底から憎んだ。
男女の姿をした生物はあと僅かの距離まで迫っていた。
すると後方から断続的な銃声が鳴り始めると共にミランダがこちらに向けて駆けてくるのがわかった。
ミランダは化け物に接近し〇距離で自動小銃を構え撃ち放った。
乾いた銃声と共に化け物に超々至近距離で銃撃が行われる。
「パパとママを虐めないで!! パパとママが死んじゃうぅ!」
涙で顔を濡らした少女は悲痛な懇願が耳元で響く。
「お願い!ウチ、いい子にするから、もうわがまま言わないからパパとママをもう虐めないで!お願い……」
俺は暴れる少女の身体を無言で抱きしめた。
ごめん……。
ごめん……。
俺は心の中でそう思いただただ少女を抱きしめてあげるしかできなかった……。
銃声が止むのがわかると俺は視線を後ろに向けた。
「…………!」
俺は絶句して言葉がでなかった。
化け物に大きなダメージは与えらた様子はなく化け物は何事もなかったようにミランダの首根を掴み頭上に掲げていた。
もがき苦しむミランダを見た瞬間、身体が熱を帯びていくのがわかる。
俺が……。
俺がやるしかないのか……。
俺がこの子のお父さんとお母さんと戦うしか……。
少女の抱いていた手を解き俺は少女に面と向かって呟いた。
「ごめん……」
涙を目元に溜めた少女が一瞬きょっとんとした表情を浮かべた。
俺は地面から瞬時に立ち上がり駆けだした──。




