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兵士達は車両倉庫へと続くあの重厚な扉の外へと消えていく。
扉の外へ出ると兵士達が駐車していた軍用車両に次々と乗り込んでいく姿が目に入る。その中にミランダの姿を見つけた俺は彼女の元へ駆け寄った。
「ミランダさん、何があったんですか!」
「ん? 少年か。綾乃達を迎えに向かわせた部隊から救援要請が入った」
「え……。それは綾乃さん達があの化け物に襲われたってことですか?」
ミランダの口から綾乃の名がでた途端、急に胸の奥を鋭利な刃物で突き刺されたような感覚に襲われた。
「通信が困難な状況にあるらしくてな……。詳しいことはわからない。だがその可能性は高い」
「…………」
言葉がでない。
綾乃さんとは会って日が浅いというのに何故だかとてつもなく胸が重い。
この感覚は一体……。
「そう心配するな少年」
視線を正面に戻すとミランダの落ち着いた笑みが目に入った。
「綾乃は無事に私が連れ帰る。君はここに残って無事を祈っていてくれ」
「え? それはどういう……」
ミランダから発せられた言葉は俺の想定外の言葉だった。
「私達は君の意向に従うと言ったはずだ。戦う意思の無い者を戦場に連れて行くわけにはいかない。ではな少年……」
ミランダが車両に乗り込もうとした時、胸の中の不安がより一層強くなっていく。
あの化け物と戦わなくても済む。
それは俺が望んだことだ。
だけどこの釈然としない気持ちは何なんだ。
あの化け物と戦いたくはないのに俺は一体何がしたいって言うんだ。
俺は、俺は……。
「ミランダさん! 俺も行かせてください!」
俺はミランダにそう告げていた。
すると彼女は真剣な眼差しで俺を見つめ返した。
「戦う意思の無い者が戦場に赴くということは死を意味する。少年は自分が何を言っているのかわかっているのか? 自分の命を捨てにいくと言っているようなものだぞ。君は自分の命を無駄にする気か?」
「俺の命なんてどうなったっていいんです。ただもう人があの化け物に殺されていくのをみたくない……。戦えなくても何か俺にできることがあるかもしれない。俺の命の代わりに人の命が助けられるならそれでいいんです……。だから俺を行かせてください!」
俺の言葉を聞いたミランダの顔色が一瞬にして豹変する。
「戯れ言をほざくな小僧!」
ミランダは勢いよく俺の胸ぐらを掴んだ
「自分の命が守れない者に他者の命が救えると本気で思っているのか!」
怒気を露わにしたミランダの威圧感に身が竦み上がりそうになりながらも俺は彼女の視線から目を離さなかった。
「あの化け物と戦うことはできないかもしれない……。でも俺にだって何かできることがあるかもしれない! ただ待っているだけなんて俺は嫌なんです!」
しばらくの間、俺はミランダの目を必死に見つめ続けた。するとミランダは勝手にしろと一言告げて胸ぐらを離した。そして彼女は俺に背を向けた。
「一つ、誓え少年……。何があっても死ぬな。命を粗末にする奴は私が許さん。いいな……」
「はい!」
俺の返事を聞いたミランダは「乗れ少年」と言葉を口にした後、車両に乗り込んだ。




