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俺は朋也達を見送った後、簡易ベッドが置かれた狭い部屋に案内された。
しばらくの間、疲れた身体を癒やせとミランダからの言伝を兵士から受け取った。
ベッドに腰掛けると今までに感じたことのない疲労感に襲われ、俺はそのままベッドに身を預け目を閉じた……。
目を開けると視界に映ったのは長く続いた並木道だった。
遠くまで伸びる緑の道を高い場所から俺は見下ろしていた。
青く茂った木々の葉が風に揺らめき擦れ合う心地のよい音。
木々の隙間から漏れた日の光が俺の身体に光と影のまだら模様を作った。
「どうだ大地、高いだろ~?」
視線を下に向けるとそこには父さんの頭がみえた。
「うんっ!」
肩車をする父さんに俺は元気よくそう答える。
「だいちゃん。私の背よりも高いわ~」
横を向くとそこには左手を自分の頭の上に広げた母さんの姿が目に映った。
母さんに視線を向けると母さんは俺の頬に手を触れた。
「だいちゃんはどのくらい大きくなるんだろうね」
母さんの優しい笑顔が俺を見つめた。
母さんの手は柔らかく、とても、温かった……。
俺はゆっくりと目を開けた……。
目元から涙の滴が頬を伝う。
昔の記憶だったのだったのだろうか。
幼い頃の記憶が全くない俺にはよくはわからない。
だけど……。
とても、心地よくて……。
とても……。とても、懐かしかった……。
だがもう二人はこの世にはいない。
現実に戻ると今までに懐いていた感情が一気に悲しみに飲み込まれていった。
俺はしばらくの間、ただただ涙を流し続けた。
不意に物音が部屋の外から聞こえ始めた。
物音は大勢の人が廊下を駆ける足音のようだ。
音は次第に部屋に近づき、そして部屋の前を通過していく。
俺は手の甲で涙を拭いベッドから立ち上がった。
部屋のドアをゆっくり開けると武装した兵士が走り去っていく後ろ姿が目に映った。
何かあったのだろうか……。
不安に駆り立てられた俺は兵士達の後を追った。




