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ミランダに対する恐怖が再び湧き始めた時だった……。
室内に一人の兵士が入室し、ミランダに敬礼する。
ミランダは俺の肩から手をどけて兵士に向き合った。
俺は不意に訪れた救済に安堵し内心ため息をついた。
「負傷者の学生を輸送する準備が整いました」
「そうか。わかった……。少年、友を見送ってくるといい。この状況だ。しばらくの間は会えなくなるだろう……」
そう言葉を発したミランダの顔は何故だか遠くをみているように感じられた……。
「君、ヘリの所まで少年を案内してやってくれ」
「はっ! 了解しました。さっ、こちらへ……」
兵士はミランダに再び敬礼をし、俺を扉の外へ導いた。
俺はミランダに一礼し、部屋を後にした──。
兵士に案内されたのは空間は全面を壁で覆った場所だった。
日の光が遮断された空間に数台のヘリが置かれている。
辺りを見回していると一台のストレッチャーが場内に運び込まれた。その後ろには遠藤の姿もみてとれた。
俺はストレッチャーに歩み寄った……。
ストレッチャーに仰向けになった朋也が俺に視線を向ける。
俺は朋也に声をかけようと口を開くが何を話せばいいか途端にわからくなり、開けた口をゆっくり閉じた。
朋也も何か話そうとしていたが俺と同じく口を噤んだ。
こんな時、なんて声をかければいいのか……。
思考しているうちに時間が過ぎ、待ちかねた黒人の兵士が口を開いた。
「そろそろ時間だ。何かあるなら端的に話してくれないか?」
「あ……」
慌てて何かを話そうとした時……、朋也がゆっくりと声を発した。
「ありがとう……。本当にありがとう大地……」
穏やかな笑みを浮かべた朋也の言葉……。
朋也の言葉がゆっくりと胸に落ちていった
俺は朋也の温かなその言葉にゆっくりと頷き返した。
「話せる時が来たらでいいんだ……。いつか、さ……、話してくれよな?」
「ああ……、わかった」
朋也に何かを言いたいのにまだ言葉が浮かばない……。
焦った俺の口から出た言葉は至極当然の内容だった。
「朋也……、ちゃんと足治してこいよ……」
「もちろん……」
不意に出た言葉に朋也は笑みをうっすらと浮かべ頷いた。
俺は朋也の前に拳を掲げた。
朋也は何も言わずに俺の拳に自分の拳を小突き合わせた……。
「もう、いいか?」
隣にいた兵士が俺の肩を軽く叩いた。
朋也はヘリに乗せられていく……、すると朋也が慌てて声を出した。
「大地! もしあの子を見つけたら助けてあげてくれ。ポニーテールのスカートを履いた子だ」
俺は朋也にうなずき返した……。
黒人の兵士がヘリに乗り込みヘリの扉を閉めようとした時、「……私も連れていってください」後ろにいた遠藤がそう言った。
黒人の兵士は困ったような顔して後ろの遠藤を見つめている様子だった。
しばらくすると「わかったボスに聞いていみる」と言って根負けしたようすの兵士は無線を手に取った。
少しの間を置くと兵士は無線を耳から外した。そしてため息をついた後にOKと気の乗らない返事を遠藤に返した。
辺りからブザー音が鳴り始めると上の方から日の光が漏れ始める。
頭上を見上げると天板が横に開閉し空が現れ始めた。
そしてサイレン音が鳴り始め、床が迫り上がっていく。
地上に到達するとヘリは空に高々と舞い上がっていった──。




