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アースブレイブ ─ THE EARTH HERO ─  作者: 世界粒子
EP5-組織-
28/36

28

 睨みを効かせた彼女が俺の目の前で足を止めた。


 対面するとさっき迄感じた威圧感が急激に増したのがわかる。

 目から発する威圧感去ることながら身長がとてつもなく高い……。

 実際、190センチはあるんじゃないか……。と思えてくる。

 そんな彼女は視線を朋也に向けると朋也の(もと)にしゃがみ込んだ。


「これはひどいな……」

 ハスキーな声でそう言った後に彼女は立ち上がった。


「衛生兵はいるかぁぁぁぁ!!!」


「ひぃ……」


 辺りに轟いた咆哮(ほうこう)

 

 彼女の轟かせた大声に身体が一瞬にして(すく)み上がった。

 

 俺は横目で恐る恐る朋也の顔を覗った……。


「……は、はい!!」


 1人の兵士が大急ぎで駆けてきた。

 それはもう必死の形相で……。

 

 直立した兵士は彼女に敬礼を向けた。

 

 俺は気付いていた……。

 

 呼ばれた兵士の顔が若干引きつっていることを。


 標的の対象から外れた俺は安堵し、しみじみ思う。


 この人も怖いんだ……。


 呼ばれた兵士が朋也の容態をみると彼女に向き直った。


「早急に手術が必要だと思われます」


「そうか。この近くに搬送できる病院はあるか?」


「いえ……。この状況ですと緊急のオペはどの病院も無理かと思われます」


「わかった……。とりあえずこの3人はあの場所に運ぶ。その後、怪我をした彼をヘリでオペが可能な米軍基地まで移送する」


「かしこまりました!」

 敬礼をすると兵士は足早に車両へ戻っていった──。


 

 

 朋也が担架に乗せられ車両に乗せられいく。

 遠藤も隊員に車両に乗るように指示がされ、俺は2人の乗る車両とは別の車両に乗るように言われた。

 遠藤が車両に乗り込もうとした時、急に引き返し、目の前で立ち止まる。


「……え?」

 

 彼女は少しの間キョロキョロした後にゆっくりと口を開いた。


「あ、あの……。助けてくれてありがと……」


 そう口にした彼女は急ぎ足で車両に乗り込んで行った。


 助けられて良かった……。

 

 俺は車両に乗り込む遠藤の後ろ姿を見て心の底からそう思った。


 俺は車両の横で足を止めた……。


「少年……。なぜ、乗らない」


 急に声が聞こえ慌てて声のした方角を見遣(みや)る。すると突き刺さるような視線が俺を睨みつけていた。


「こ……」

 俺は慌てて口を押さえた。

 

 ころされる……。なんて言えるかッ!

 

「こ……? なんだ……」

 

 ギラつく彼女の目が俺の目を真っ直ぐに捉える。

 足が震えだしそうになるのを必死に堪えた。


「いぇえ…………。なんでもないです……」


 声が裏返ってしまった。

 冷や汗が額から流れだすのが分かる。

 

 しかし彼女は俺の言動に追求することなかった。

 

「そうか、それならいい……」

 

 その言葉を聞いて、俺はゆっくりと吐息吐いた。


「用を足すなら急げよ」

 彼女が踵を返した時、俺は決意を固めて声を絞り出した。


「いや……、あの……。すいません! 俺は、乗れません!」


「……何だと?」


 振り向いた視線が今までとは比べようもない恐怖をいだかせた。だがここで引くわけにいかない……。


「あの2人と一瞬にいた女の子がいるんです。でも朋也達とははぐれてしまったみたいで……。俺はその子を探さないと……」


 俺は彼女の威圧に抵抗し必死に理由を述べた。

 すると彼女の右手が俺に向かって動きだした。


 な、殴られるッ……。


 俺は目を閉じて身構えた。


 彼女の手が頭に触れた。その直後、彼女は乱雑に俺の頭を掻き回した。


「ふへぇ?」


「心配するな少年。その役目は私達にまかせろッ。 だから安心して車両に乗り込めッ」


 目を開けるとクシャっと笑った彼女の笑顔が目に飛び込んだ。

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