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睨みを効かせた彼女が俺の目の前で足を止めた。
対面するとさっき迄感じた威圧感が急激に増したのがわかる。
目から発する威圧感去ることながら身長がとてつもなく高い……。
実際、190センチはあるんじゃないか……。と思えてくる。
そんな彼女は視線を朋也に向けると朋也の下にしゃがみ込んだ。
「これはひどいな……」
ハスキーな声でそう言った後に彼女は立ち上がった。
「衛生兵はいるかぁぁぁぁ!!!」
「ひぃ……」
辺りに轟いた咆哮。
彼女の轟かせた大声に身体が一瞬にして竦み上がった。
俺は横目で恐る恐る朋也の顔を覗った……。
「……は、はい!!」
1人の兵士が大急ぎで駆けてきた。
それはもう必死の形相で……。
直立した兵士は彼女に敬礼を向けた。
俺は気付いていた……。
呼ばれた兵士の顔が若干引きつっていることを。
標的の対象から外れた俺は安堵し、しみじみ思う。
この人も怖いんだ……。
呼ばれた兵士が朋也の容態をみると彼女に向き直った。
「早急に手術が必要だと思われます」
「そうか。この近くに搬送できる病院はあるか?」
「いえ……。この状況ですと緊急のオペはどの病院も無理かと思われます」
「わかった……。とりあえずこの3人はあの場所に運ぶ。その後、怪我をした彼をヘリでオペが可能な米軍基地まで移送する」
「かしこまりました!」
敬礼をすると兵士は足早に車両へ戻っていった──。
朋也が担架に乗せられ車両に乗せられいく。
遠藤も隊員に車両に乗るように指示がされ、俺は2人の乗る車両とは別の車両に乗るように言われた。
遠藤が車両に乗り込もうとした時、急に引き返し、目の前で立ち止まる。
「……え?」
彼女は少しの間キョロキョロした後にゆっくりと口を開いた。
「あ、あの……。助けてくれてありがと……」
そう口にした彼女は急ぎ足で車両に乗り込んで行った。
助けられて良かった……。
俺は車両に乗り込む遠藤の後ろ姿を見て心の底からそう思った。
俺は車両の横で足を止めた……。
「少年……。なぜ、乗らない」
急に声が聞こえ慌てて声のした方角を見遣る。すると突き刺さるような視線が俺を睨みつけていた。
「こ……」
俺は慌てて口を押さえた。
ころされる……。なんて言えるかッ!
「こ……? なんだ……」
ギラつく彼女の目が俺の目を真っ直ぐに捉える。
足が震えだしそうになるのを必死に堪えた。
「いぇえ…………。なんでもないです……」
声が裏返ってしまった。
冷や汗が額から流れだすのが分かる。
しかし彼女は俺の言動に追求することなかった。
「そうか、それならいい……」
その言葉を聞いて、俺はゆっくりと吐息吐いた。
「用を足すなら急げよ」
彼女が踵を返した時、俺は決意を固めて声を絞り出した。
「いや……、あの……。すいません! 俺は、乗れません!」
「……何だと?」
振り向いた視線が今までとは比べようもない恐怖をいだかせた。だがここで引くわけにいかない……。
「あの2人と一瞬にいた女の子がいるんです。でも朋也達とははぐれてしまったみたいで……。俺はその子を探さないと……」
俺は彼女の威圧に抵抗し必死に理由を述べた。
すると彼女の右手が俺に向かって動きだした。
な、殴られるッ……。
俺は目を閉じて身構えた。
彼女の手が頭に触れた。その直後、彼女は乱雑に俺の頭を掻き回した。
「ふへぇ?」
「心配するな少年。その役目は私達にまかせろッ。 だから安心して車両に乗り込めッ」
目を開けるとクシャっと笑った彼女の笑顔が目に飛び込んだ。




