18
誰かが笑っているような気がする。
女の子……? が笑っている。
その子は俺の手を引いて無邪気な笑みを浮かべると俺の名前を呼んだ……。
目を開けて視界に入ったのは見知らぬ天井だった。
夢を見ていたのだろうか……。
俺は不思議な感覚を覚えた。
どこか懐かしい感覚。
夢に見た女の子の顔はよく思い出せない……。だけど何故かその女の子ことはよく知っているように思えた。
「目が覚めたようね」
「えっ?」
横に誰かがいる。
俺は視線を声のした方に向けた……。
目に映ったのは俺と同い年ぐらいの女の人だった。
ロングヘアの黒髪に整えられた顔だち。落ち着いた表情……。俺を見据えているその目からは冷気さえ感じた……。
彼女の醸し出す雰囲気は容姿や出で立ち以上に歳上に感じられた。
「……あの、あなたは?」
「私は花山院綾乃。ここの施設の管理しているわ」
俺はじっと彼女を見つめた……、見つめていた。
「私の顔に何かついているのかしら?」
眉ひとつとして動かさない彼女。
「い、いえ……。俺とあまり歳が変わらないように見えるのに施設の管理とかすごいなって思っただけで……」
「ここは私の会社なの。だから私が管理をしていておかしいことはないでしょ?」
「え? あなたの?」
「ええ、そうよ。私の親族が作った会社。実質今は私が管理しているの」
「あなたってすごいんですね」
「一ついいかしら……」
「はい?」
「私の名前はあなたではないわ。先程名前は述べたはずよ。人が名乗ったらその名前で呼ぶ。常識ではないかしら? 馬鹿でもわかることよ?」
その言い回しはわざとなんだろうか……。
「ご、ごめんなさい。俺が馬鹿でしたね……。花山院さん…」
「分かってもらえて嬉しいわ。あと綾乃で結構よ。あなたのことは何て呼べばいいのかしら? 愚昧とでも呼べばいいのかしら」
「ぐまい……?」
「あらごめんなさい。知性が足りてない人にはわからないことだったわね」
絶対にわざと馬鹿にしてやがる……。
「……青空大地です」
怒りが溢れるの俺は必死なって堪えた。
「……そんなことよりイッ!」
身体を起こしそうとした瞬間、全身に激痛が走った。
「まだ安静にしていなさい。あなたの肉体には多大な負荷が掛けられた後なんだから……」
肉体に負荷……。
一体この人は何を言っているんだ……。
疑念が頭に浮かんだ瞬間だった……。目元から涙が込み上げた。
無惨な姿になった母親、見る影もなくなった父親。
あの時の記憶が一斉に頭の中に流れ込んだ。
「ご両親のことは残念だったわね」
その言葉が現地味を実感させ、より一層に胸を締め付けた。
どうして母さんと父さんが死ななきゃいけなかったんだよ……。二人が何をしたって言うんだよ……。
死という概念が頭に浮かんだ時、不意に頭をよぎった疑問……。
なんで俺は生きてるのだ……。
あの時、俺は首を締め上げられてそれから……。その後の記憶が全くなかった……。
じゃあ俺はどうしてこんなとこにいるのか……。
俺は顔を上げて彼女をみた……。
「あの化け物はどうなったんですか……」
「あなたが殺したわ。その手で」
「……俺が? どうやって殺したって言うんですかッ! 俺はあの時、あの化け物に殺されたはずなんですよ!?」
「アースドライブの力を始動させたのよ」
「アースドライブ……」
この人は何を言ってるんだ……。
彼女の口から聞き慣れない単語が飛び出した。




