退治
その宇宙船は、人々の夢を乗せて飛び立った。
そして、数万光年の距離を超え、遂に知的生命体がいる惑星を見つけた。
「隊長、水や緑もあります」
操作パネルから吐き出されるデータに驚きの声を上げる。
隊長はスクリーンに映し出された未知の惑星を見て興奮している。
「なんだと、まるで間違えて帰ってきてしまったかのように、そっくりじゃないか」
「ええ、あそこのあたりが私の故郷にあたるでしょうか」
「やっぱり宇宙人はいたんですね、感動です」
期待に胸を膨らましながら四人の宇宙飛行士は、未知の惑星の最も栄えている都市に降り立った。
しかし、出迎えたこの惑星の住人は醜悪な姿なうえ、ひどく不機嫌そうであった。
奇抜な色の肌は、見るだけで吐き気を催し、余分についている目はぎょろりと奇妙に動く。
片手につき三本も余分に指があり、うじゃうじゃと動いている。
一目見ただけで、不快感を覚えることは間違いなかった。
しかし、四人も星の代表のつもりで来ている。
失礼は無いようにと、それぞれ自分の国のやり方で挨拶をおこなった。
挨拶するたびに奇声をあげる住人たちは、まるで冷やかしているようにも感じられる。
それに対して住人の代表のような者が出てきて、口から不気味な液体を撒き散らしつつ、奇声を上げて四人を黒い腕で抱きしめた。
抱きしめたのだろうか?
自分たちの星の感覚で考えると歓迎と考えてもいいのかもしれないが、これは惑星間の問題である。
捕獲をしようという行為にも見える。
だいたい、抱きしめたときの顔が酷かった。
口を不自然な方向に歪め、不機嫌そうな顔になり、その表情を顔に貼り付けたように動かさないのだ。
一人が飛ばされた液体に触れた時だった。
「ぎゃっ!!」
触れた指先がジュッと音をたてて溶けたのだ。
「隊長、この液体は我々に非常に有害なようです」
突然の負傷に慌てたときであった。
そこにヘンテコな装置の切っ先を向けられた。
円錐型のような先に色々なケーブルがついている。
流石にこれに敵意がないと見做すのは不可能だった。
負傷した一人を背負って、住人たちの手を掻い潜って、宇宙船に命からがら戻った。
外では、獲物がいなくなったことに憤っているのか、ワーワーと不機嫌そうな声が大音量で響き渡る。
「駄目だ。友好的宇宙人であればよかったのだが……」
負傷した部下を労わりながら呟く隊長。
「では、プランBですか」
「ああ、仕方ないだろう。先住民全滅作戦開始だ」
敵対的宇宙人が存在したならば、殲滅し、移民用に転換しろというのが上からの命令だ。
友好的ならば、貿易を、とも考えられていたのだが……仕方はない
隊長は右手の全ての指を使って丁寧に核のスイッチを押した。
ーーその2本の指で、そして青い惑星をその1つの目で見つめた……




