優先順位
大切なものと、大切でないもの、大切だけど他のものよりは大切でないもの。
何かをしようとするとき、何かを選ぼうとするとき、人は何かを捨てなくてはいけない。
だから、人は優先順位をつける。
何が必要で、何が必要でないか……
そして、その順位がその人間を規定する。
1273番ーー
手元のパネルに映る数字を何度も見つめる。
装飾も何もない数字は変わる様子もない。
1273番、それが現時点でのわたしの順位。
この国でわたしは1273番目に大事な人材。
全国一斉の総合能力検定で、1273位だった人間。
全人口一億人以上の中で、1273番というのはきっと好成績なんだろう。
若さによる加点分もあるけれど、家族の皆は一族の誇りだとか言っていた。
父や母は年を取りすぎているから、ついに上位50%から転落してしまった。
姉は生まれつきの病気のせいで、いつも底辺ギリギリの順位だ。
だから、家族の中でこの宇宙船に乗れたのは、わたし一人だけだ……
窓の外にはもう地球はなく、遠い彼方で燃え尽きているだろう。
上位の10000人しか載せられなかったノアの箱舟は、人間が住める惑星を目指して宇宙を彷徨っていた。
可能性がある惑星に着き、住めないと分かるたびに次の候補の惑星へ行くのに必要な十分な食料等が確保できるように、優先順位が低いものから順に廃棄していくことを繰り返した。
そして、十日前、17番目の候補惑星が居住不能とわかり、1301番以下の優先順位の人間が廃棄された。
その中に友人もいたが、どうせわたしより低い人間なので仕方がないと思う。
けれど、次の惑星が居住不能なら、次に棄てられる中にきっとわたしも入る。
それが怖い。
わたしは1273番だから。
もうすぐいらなくなるーー
18番目の惑星が居住不能とわかった。
けれど、次の19番惑星はすぐ近くの惑星であったので、1274番のやつまでの廃棄で済んだ。
安堵したが、わたしより優先順位が低い奴が宇宙船の中から消えた。
わたしはこの空間の中で一番必要のない人間になった。
また、19番惑星の可能性はだいぶ低いようで、わたしのことを皆ゴミか何かのように扱いだした。
確かに、わたしは1273番だから、もう死ぬのだから、何の役にも立たないのだから、ゴミだ。
けれどーー
そういえばわたしは、本当に1273番なのだろうか?
1273番ーー
手元のパネルに映る数字を何度も見つめる。
装飾も何もない数字は変わる様子もない……
けれど……手をかざしてみて、右のほうを隠してみる。
「あっ!」
1番になった。
2と7と3が見えなくなって、1番になった。
わたしは1番大事なんだ。
優先順位1番なんだ。
わたしは制御室に入り宇宙船内の酸素管理のパネルを前にしながら、優先順位1番のわたしを殺そうとする全ての人間を殺そうと誓った。




