第九種接近遭遇
宇宙の彼方から現れたUFO。
人々の前に着陸したUFOからは三人の宇宙人が出てきた。
遠い星からやってきた彼らは、頭につけた翻訳機で地球人に語りかけ、交流を申し込んだ。
宇宙戦争も覚悟していた人類は、友好的な彼らに喜び、世界的な宇宙人ブームとなった。
彼らの歓迎会は盛大に行われた。
世界中の高級料理が振る舞われ、最高級のホテル、最高級の娯楽、最高の技術が集められた。
料理を食べ終わり、口を拭いたところで彼らのうちの一人が言った。
「おもてなしありがとうございました。我々、大使はこれで一時帰還しますが、最後にお礼として我々の技術で一つ願いを叶えて差し上げましょう。何がよろしいでしょうか? 返事は明後日の出発まで待ちましょう」
「地球温暖化をなんとかしてもらうべきだ」
「いや、何をするにも金がいるのだ。金を願うべきなのだ」
「何を言っている。必要なのは犯罪の撲滅だ」
「違う違う。大事なのは技術の進歩だ。そうすれば、全て解決する」
「いっそ、技術をくれと言えばいいじゃないか」
「そんな風に他人に頼っていてはいけない、我々が進化しなければならないんだ」
「貧困問題を解決すべきだ」
「諸君、一番の問題は環境汚染であるぞ」
「違う。世界から戦争をなくすのが、最優先事項だ」
「麻薬の問題もあるぞ」
「宗教的対立をなんとかできないか?」
「自然災害を撲滅するのが望むべきことだ」
「核戦争が起きてしまうのではないかという問題がだな」
「経済格差を是正することが必要なのだ」
一人の老人が重い口を開いた。
「みなの者……わたし達がこれらの問題を解決できないわけを考えてみた」
「それはなんだ?」
「人間のうちに、悪いことをしようとする者がいるから諸問題が起きるのではないか」
「悪い人間を消せと? そんなことが可能なのか?」
世界中で議論された末、悪い人間を消すことを願うことに決まった。
***
帰りの宇宙船の中、一人が呟いた。
「それにしても、変な奴らだったよな。自殺装置が欲しいなんて……」
人っ子一人いなくった青く美しい惑星はきらめく。
隊長が青い惑星を見ながら言った。
「まあ、あいつらが『猿』って呼んでいた方の種族と取引すればいいさ……どっちもそんなに違いはないだろう?」




