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レジでの支払いが必要なくなる食料品店Amazon Go がもしも本サービス始まって近い将来日本に上陸したら  作者: 鯣 肴


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第二話 動画キューアンドエー? マイベストセレクション!

 もう何度も見ている。当たり前すぎる質問、バカ過ぎる質問も沢山紛れているが、その中から私は、気に入ったものに再び目を通していた。






【Q10:店内で開けて食ってしまえば問題ないぜぇ。Hahahahaha!」


 謎のアメリカンテイスト。何度見ても新鮮なものだ。さてと。私はスクロールし、A10とタイトルが付けられた動画を再生する。


【A10:ばれねえとでも思ったのかぁぁぁ(ニヤリ)。】


 謎の日本っぽい要素が追加されていた。ニヤリ、とか。きっと、ソフトなイメージにしつつ、この店舗で問題なんて起こらないし、起こそうとしても失敗する、バレると言いたいのだろう。


 再生された動画を見る。


 映像は、目の前の店舗で撮影されたものではない。海の向こうの店舗のものだ。目の前の店舗とは違って、店は広い。そして、周囲の壁は透明でもない。棚が無人店舗専用のものであるだけで、全ての商品が専用棚に置かれているだけで、まるで、見かけはアメリカンなスーパーマーケットそのものだ。


 カメラは、棚と棚の間の通路の間に立つ、ちょっと、悪そうな顔つきをした青年を映し出していた。


「Hahaha,このスーパーには欠陥がある。俺様はそれを見つけた。それは、これだぁぁぁ!」


 すっ。


 彼はその辺りの棚から、酒のボトルを取り出した。


 スマホに登録されている個人情報より、年齢制限は満たしているため、難なくそれを手にすることができた。


 ちなみにこれ。年齢制限を違反していれば、取れない。棚が商品を固定し、取れないようにするのだ。


 彼はその瓶の栓を噛みながら引き抜き、豪快にその中身をラッパ飲みする。


「Hahaha! こうすりゃ、タダで食べ放題、飲み放題だぜぇ!」


 彼はその瓶を投げ捨て、真っ直ぐと歩いていき、出口へと向かう。


 ゲートを潜ろうとした彼は、そこで、ゲートに捕えられた。


「Oh! どうしてだぁ! 俺の作戦は完璧だった筈だぁぁぁ! 何故だああああああああっ!」


 彼はやがて、システムによる通報によってやって来た警官たちに連れていかれた。


 情けなくうなだれる彼を背景にしつつ、ナレーションと文字が表示される。


『このシステムに穴なぞありません。あったとしても、すぐに埋めます。だから、犯罪なぞ、無駄なのです』


【極秘のシステムにより、商品の店内での開封は感知されます。このシステムに穴はありません。】


 そこで映像は終わった。






 次はこれ、だ。


 私はスクロールして、その質問を表示させる。


【Q16:店ごと窃盗してやるぜぇぇ! それならどうしようも無いだろう?】


【Q17:無駄です(ニヤリ)。】


 見るからに盗賊団という恰好をした覆面の、手袋の、男たち。深夜に男たちはやたらめったら大きい、大型トラック10台分くらいの荷台の面積のある、装甲車のような、よく分からない、巨大な何かに乗って現れた。100人以上は優にいる。


「野郎ども。さあ、やるぞ!」


 やたらダンディーで図太い低いかけ声とともに、彼らは動き出した。


 そこから映像は早送りされている。


 そこに映る店舗は郊外というか、山の中といってもいいような、辺境にあり、深夜に人は訪れないらしい。店舗の大きさも、アメリカにしてはかなり小さかった。


 彼らは車で店内に突っ込み、壁の一角を破壊し、警報鳴り響く中、大量の商品棚ごと、商品を運び出し、超巨大な乗り物の荷台へと乗せていく。


 全てを運び出すまでにかかった時間は僅か5分程度。異常な速度で仕事を終えた彼らは、あらかじめ持ち込んでおいた電磁波発生装置を使用して店舗に存在した棚含む設備の電子装置を全て壊し、立ち去っていった。


 そこで早送りは止まる。


「完全犯罪成し遂げたぜ」

「某大企業、しょべえな」

「ざまあ」

「次はあそこ狙おうぜ」

「裏市場で一儲けだ」


 等々。荷台の中で、多くのむさくるしい男たちの歓談が続く。


 だが、それは終わる。


「警察だ」


 そう、拡声器で大きく拡張された音がする。窃盗団たちの巨大車は止まるしかなかった。周囲は、大量のパトカーと戦車に囲まれていたのだから。


 彼らは抵抗することなく、投降した。


 彼らのリーダー、最初にダンディーな図太い声で掛け声をかけた男が、その警察や軍の集団の最も偉そうな立場の男に尋ねた。


「どうしてバレた?」


 迫真の声で尋ねる窃盗団の長に対して、正義の代表は答えた。


「地図機能で、お前たちはマークされていたのだ。だから、お前たちは、あの場から離れて僅か6分6秒で包囲された、というわけだ。この近くの軍基地で、戦車隊の訓練がされていたから頼んだら合流してくれたのだ。お前たちがあの場に現れた地点から監視は続いていた。間違いなく犯罪を冒すと分かっていたから、その時から動き出していた、というわけだ。我々には数十分の時間とお前たちの位置情報、犯罪を犯している間の映像があるのだから。こうなるのは当然の結果、というわけだ。」


 窃盗団の男はその場で崩れ落ちるようにうなだれた。


 そこで映像は終わる。






 と、まあ。こんな風に、小規模から大規模まで網羅された、しょうぼないものから、複雑まものまで、穴なく、あらゆる犯罪、不具合が起こせない、成功しない、という映像が、バカバカしいものから真面目なものまで色々な形で提示されているのだ。


 ただ、娯楽として見るにしても面白い内容である。某動画サイトと連動していたが、再生回数はバグっているのか、と思えるほど多かった。


 色々と味のある映像なのだ。当然である。で、この映像が、人々のこの、革命に対して、意識を寛容にさせる役割を果たしているのだ。


 サービスを直接使用する、買い物に来る消費者たちにも。サービスを導入する、経営者たちにも。


 うまくできているものだ。私は関心して、アプリを閉じた。


 スマホの画面には、6時55分、と時刻が示されていた。あと5分でオープンだ。だから私は顔を上げた。

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