黎明
夢占いは信じていらっしゃいますか?
「そんな言葉で、私を説得できるとでも思ったわけ?」
ルーサーが不機嫌そうに目を細めて言い放つ。
「まあ、一応は。試してみただけだ」
「いいわ。全員起こして準備させなさい。ひょっとしたら、少しは手合わせしてあげるかもね」
ツヤは深く息を吐き出すと、こちらへ手を伸ばしているシンソの手を取り、彼が立ち上がるのを手助けした。
「分かった。それじゃあ、俺は女子たちの様子を見てくるから、お前らはルーサーさんの相手を頼む」
シンソは素直にコクコクと頷いた。一方のルーサーは、自分が男子部屋に留まっていることについて、何かぶつぶつと独りごちていた。
部屋を出た後、ツヤは背筋に走った微かな悪寒とともに思考を巡らせた。――最初のループを引き起こした原因は、すでに解決したのだろうか? それとも、彼らは未だにこちらを疑っているのだろうか?
これまでに起きた出来事を、いつまでも単なる「可能性」や「予知」として片付けることはできなかった。もしあれらが現実に起こり得る未来なのだとすれば、極めて凄惨な結果を招くことになる。結局のところ、どんな形であれ死は痛みを伴うのだ。さらに、その死を疑似体験することがもたらす精神的な代償は、肉体の痛みとはまた別の、あまりにも深刻な問題だった。
ツヤは決して冷酷な人間ではなかったが、かといって心温かい善良な人間であるとも言い難かった。加えて、これらの一連の出来事が彼自身の内面をどう変え、あるいは歪めていくのかは、全く予測のつかない精神的なギャンブルのようなものだった。
ツヤは女子たちの――より正確に言えば、サラマの部屋の前に辿り着くと、軽く扉をノックした。
「入って」
許可の返事を聞き、ツヤはゆっくりと中へ足を踏み入れた。ふと、心の中で『これからはあの忌々しい寝間着を着るのはやめよう』と決意した。着心地も悪ければ、見た目も決して良いとは言えない。なぜ突然そんなことを考えたのか自分でも不思議だったが、一つだけ確かなことがあった。後で全員に、あの寝間着は着ないようにと提案するつもりだ。
部屋の中では、サラマとウイタが静かに座り込んでいた。他の少女たちはまだ深い眠りの中だ。
「この無防備な姿を見て、変な気でも起こしてないでしょうね?」
サラマがからかうように言う。
「悪いが、少なくとも今のところ、幼馴染みの誰かにそういう感情を抱いたりはしてないよ」
するとサラマは、どこか悪戯っぽい、意味深な笑みを浮かべた。
「男って、みんなそう言うのよね」
ツヤは胡散臭そうに目を細めた。
「好きに解釈すればいい。だが、その勝手な妄想を他の連中に吹き込まないでくれよ」
サラマは下唇に指を当て、くすくすと笑い声を漏らした。
「ええ、分かっているわ。……この話の続きは、また後でね」
二人の間で交わされる刺々しい視線の応酬を断ち切るように、ウイタが口を挟んだ。
「あの……それで、本日はどのようなご用件でいらしたのですか、ツヤ?」
ツヤは視線を和らげ、ウイタの方へと向き直った。
「お前らが起きてるか確認しに来たんだ。それと、ルーサーさんが『自発的に』引き受けてくれた剣の訓練に、お前らも誘おうと思ってな」
「お姉ちゃんが……自分から自発的に何かを引き受ける? あなた、本当に人違いしてない?」
サラマが呆れたように言った。
ツヤが返答しようとしたその時、寝床にいたナツキが小さく背伸びをし、ゆっくりと瞼を開いた。そして、寝ぼけ眼の愛らしい声で呟いた。
「ツヤ……サラマさん……ウイタ……?」
「幼馴染み同士なのは知ってるけれど……本当に、あなたたちの関係性ってよく分からないわね」
サラマが首を傾げると、ウイタは困惑した様子で、説明するのも野暮だとばかりに小さくため息をついた。
「俺は出るよ。裏庭にいるから」
ツヤは部屋を後にし、階下へと降りた。酒場のカウンターにはすでに多くの皿が並べられ、食欲をそそる温かな料理の匂いが空間を満たしている。おそらく、ツクモがすでに起きて立ち働いているのだろう。
ツヤは勝手口から再び裏庭へと出た。そこには、先ほど別れた場所にいるニッツェが、仰向けに寝転がったままキクロを高く持ち上げたり下ろしたりして遊んでいる姿があった。彼女は可愛らしい声を上げながら、必死にキクロをあやそうとしている。
「えへへへっ! ……お前、本当に可愛い赤ちゃん(ベイビー)だなー!」
キクロはその姿勢のせいか、特に声を出して笑うことも、手足をバタつかせることもなかった。そもそも、彼は完全な赤ん坊というわけではない。それでも、二、三歳くらいの子供なら十分に喜ぶ遊びのはずだとツヤは思った。
ツヤは二人のそばへ歩み寄り、芝生の上に腰を下ろした。
ニッツェがキクロを構い続ける中、キクロはどこか達観したように、ただ無抵抗に宙を舞わされていた。ツヤがぼんやりと芝生を眺めていると、突然、扉が開いてキメントが裏庭に姿を現した。
ツヤがそちらへ視線を向けると、ニッツェも一瞬だけ顔を上げて確認したが、すぐに興味を失ったようにキクロの相手へと戻っていった。
「おはよう」
キメントは無言のままツヤの隣へ歩み寄り、静かに腰を下ろした。
「……おはよう。他の連中は、まだ起きてないのか?」
「何人かは起きてる。まあ、そろそろ準備してる頃だろうな。お前はどこへ行ってたんだ?」
「少し辺りを歩いておきたくてな。それと……」
「それと?」
キメントは片手を自身の髪にやり、短く息を吸い込んだ。
そして、いつも鉄面皮の彼にしては珍しく、その表情に微かな動揺を滲ませながら口を開いた。
「……夢を見たんだ。すごく奇妙な夢だった。それに、声も聞こえた」
キメントは酷く思い悩んでいる様子だった。それは極めて異例なことだ。何せ彼には、公式に『最も物事に動じない男』という異名がふさわしかったからだ。その徹底した無口さゆえに、彼が何を考え、何を感じているのかを読み取るのは至難の業だった。物心ついた時からずっと、彼はこういう人間だった。膝を擦りむいて血を流しても決して泣かず、その年齢に似合わずほとんどの物事に恐怖を示さなかった。彼の両親も心配して何度も専門家に診せていたようだが、その結果がどうだったのかツヤは知らなかった。
「……俺たちも、たまにそういうおかしな夢を見ることがあるからな」
キメントは物思いに沈んだように、しばらく押し黙った。
「ああ。だが……まるで現実そのものみたいだったんだ。……どう説明すればいいのか、自分でもよく分からない」
「分かった。……話す気になったら、いつでも教えてくれ」




