ダークマターの仲間
仲間意識といくつかのステップ
ツヤはゆっくりと重い瞼を開けた。視界はひどくぼやけていたが、数回瞬きを繰り返すと、ようやく周囲の景色が鮮明になっていく。
彼はなぜか、シャワーブースの中に横たわっていた。
すぐ頭上のシャワーヘッドから勢いよく冷たい水が降り注ぎ、ツヤの裸の身体を伝って床を濡らしている。彼は身を起こそうと、濡れた髪をかき上げた。身体は完全に全裸であり、冷水に濡れた髪が額や胸、肩にぴったりと張り付いている。
左側を見渡したツヤは、ここが自分の家のお風呂場であることに気づいた。ブースのガラス扉は固く閉ざされ、水は最高速度で彼の上に降り注ぎ続けている。
彼は痛む頭の後ろに手を当て、深く息を吐き出した。
「……一体、何が起きてるんだ?」
その呟きが狭いブース内に響き渡った、まさにその瞬間。
ガラス扉の向こう側に、あの悍ましい化け物が突如として姿を現した。それは扉にぴったりと張り付き、あの底知れない恐怖に満ちた異形の貌でツヤをじっと見つめている。
ツヤは恐怖のあまり激しく身体をのけぞらせ、背中をブースの壁に強く打ち付けた。荒い呼吸が漏れ、心臓が狂ったように脈打つ。空間を支配しているのは、ただ激しいシャワーの音だけだった。
すると突然、化け物は一歩後ろへと下がった。そして、ドロドロとした不快な肉擦れの音と、骨がきしむような不気味な音を立てながら、その姿を変形させていった。
現れたのは、ツヤと同じくらいの年齢、同じくらいの体躯をした、目元が切れ上がった黒髪の男子高校生の姿だった。しかし、その両肩の周囲には、まるで破裂したかのように不規則に飛び散った、二つの不気味な黒い球体がゆらゆらと浮遊している。
その少年のような姿になった化け物は、深く息を吸い込むと、ニヤリとツヤを見据えた。
「ようやくお目覚めか、ガキ」
彼は鋭く尖ったすべての牙を剥き出しにしながら、不敵な、そしてあまりにも不遜な笑みを浮かべてそう言った。
「お……お前は誰だ……? ここは、いったいどこなんだよ……っ!?」
「いい機会だからな、お前と少し話をしたいと思ってね、ツヤ……。すべてを説明してやるから、一言も聞き漏らさずに耳を傾けるんだな」
相手から明確な敵意や攻撃の気配を感じなかったため、ツヤは降り注ぐ水に打たれながらも、ブースの中でゆっくりと姿勢を正した。
「まず、俺の名はフィリップ。『黒の物質』――すなわちダークマターとして知られる存在であり、今日からお前の『核』となるものだ」
「核……? それがどういう意味だよ。それに、俺たちはどこにいるんだ?」
「ここは今、お前の精神世界の中だ。だが、お前自身は自らの『真髄』の中にいる……。この浴室はお前の精神であり、そのシャワーブースはお前の本質、感情、そして世界に対する見識そのものだ。このガラスの扉こそが、お前と俺を隔てている精神の境界線さ。降り注ぐこの水はお前が流す感情であり、その先にある鏡はお前の視界……。そして『核』とは、お前たちの世界において、人間の人格や感情、そして根源的な力の源に応じて彼らと一体化する、一種の『刻印』のようなものだ。まあ、お前たちの言う化け物のようなものだと思えばいい」
フィリップはゆっくりと床に腰を下ろし、あぐらをかいた。そして、なおもツヤを観察し続ける。
ツヤは自分を濡らし続ける水に視線を落とし、それから再びフィリップを見つめて、静かに言葉を紡いだ。
「じゃあ……俺とお前が適合したってことか?……じゃあ、あのピラミッドは何だったんだ? あの襲ってきた奴らは……?」
「あいつらはイタニリアの兵士どもだ。そしてあのピラミッドは、俺を中に閉じ込め、封じ込めていた俺の『器』だったのさ」
「なぜあの兵士たちは、俺がピラミッドを手にして『中身が空になった』と言った瞬間、急に襲いかかってきたんだ?」
「決まってるだろ? 今お前の目の前にいるこの俺は、この世界において最も強力で、最も危険な『核』の一つだからだ。そして、これほど長い間、俺と適合できる器を持つ人間なんて現れなかった。運がいいな、ガキ」
「……俺たちは、これからどうなるんだ? あいつらは俺たちをどうするつもりだ?」
フィリップは上体を前に傾け、片手を顎の下に添えた。その表情から笑みが消え、声のトーンが恐ろしいほど真剣なものへと変わる。
「まず、これまでの生ぬるい生活のことは忘れろ。それはもう終わった。新しい人生が始まるが、その人生はお前にとって、決して愉快なものじゃない……。俺はお前と共同戦線を張りたい。なぜなら、俺とツヤ、お前はもう一蓮托生だからだ、ガキ」
(――お前が死ねば、俺も死ぬ。お前が受ける感情的なダメージや精神の揺らぎは、そのまま俺にも影響する。だが安心しろ、お前だってそんな結果は望まないだろ? これからは俺を『相棒』として見るんだな。ここから先、お前を助けられるのはこの俺だけなんだからな)
「……つまり、ここでいくら泣き言を言ったところで、何の意味もないってことか」
ツヤは深くため息をつき、フィリップに向かって覚悟を決めた視線を向けた。
「本当に俺たちが似た者同士なら、うまくやっていけるよな?」
フィリップは再びニヤリと口元を歪めた。
「ククッ、その通りだ」
「……何をすればいい?」
「目が覚めた時、お前はおそらくクソみたいな監獄の牢獄の中で目覚めるはずだ。だが、すぐに尋問が始まる。あいつらは俺の行方を躍起になって探すだろう。いいか、もしその尋問の場で奴らとうまく渡り合えなければ、お前の友人たちは全員惨殺され、お前の中に俺がいることも暴かれる。少しでも疑われれば、お前に待っているのは死だ。つまり、選択肢は一つしかない」
ツヤは身を乗り出し、鋭く問いかけた。
「……何だよ、それは」
「俺を受け入れ、俺と完全に一つになることだ。お前の精神の門をお前に開き、お前の意識のさらに深い、最奥の底へと俺を隠匿しろ。そうすれば、奴らの目をごまかせるし、何も証明できやしない。おそらく、監視付きという条件で釈放されるはずだ」
ツヤは、シャワーの水が激しく打ち付けられているブースの床を見つめ、静かに思考を巡らせた。
自分のせいで、あの無辜の友人たちがこれほど凄惨な巻き添えを食らってしまったのだ。そして今、この状況を打開するルートは他に存在しない。それに、この化け物の提案は決して悪い条件ではなかった。
「……分かった。どうすればいい?」
フィリップは即座に立ち上がり、ガラス扉に手のひらを押し当てた。
「俺の手がガラスに触れている、全く同じ場所に手を当てろ」
ツヤは姿勢を正し、ガラス越しにフィリップの手がある場所へ自分の掌を重ねた。
「――少し、痛むぞ」
次の瞬間、ツヤは脳髄を焼き尽くすような凄まじい激痛に襲われ、水浸しの床へと崩れ落ちて悶絶した。
フィリップは、二つの世界の境界であるはずのガラス扉の隙間に力任せに両手をこじ入れ、圧倒的な力でそれを左右へと押し開いた。
ついに扉を完全に開放した彼は、ブースの内部へと足を踏み入れる。そして降り注ぐ水の中に腰を下ろし、深く息を吐き出した。
「これで俺たちは一つだ、ガキ……。あぁ、それと、そろそろお目覚めの時間だぜ」
フィリップがパチンと指を鳴らすと、世界は再び、一瞬にして深い闇へと包まれていった。
こんにちは、作者です!新しい章を公開しました。章の長さが少し短すぎるかなと思うこともありますが、あとは皆さんのご意見にお任せします!新しい章を楽しんでいただけたら嬉しいです!




