トゥー 2
なぜみんな私を疑うの?
トゥーは他の者たちに比べ、ツヤとの握手を極めて短時間で切り上げると、数歩後ずさりし、再び全員へ向けてとびきり温かな微笑みを投げかけた。
トゥー「みんなとお会いできて本当に嬉しいよ! 僕が君たちの担当になるからね! いつでも気軽に話しかけてくれていいし、一緒に冒険へ出かけることだってできるよ!」
ウイタ「あの……トゥー様?」
トゥー「なあに?」
ウイタ「その、差し支えなければ、どのような真髄をお持ちなのでしょうか? ヌツクキ様より、何か特別な真髄をお持ちだと伺いましたので」
トゥー「あ、興味を持ってくれてありがとう! 僕はねー」
パシッ!
ルーサー「見れば分かるだろうが、おい!」
ルーサーが突如として背後から現れ、トゥーの頭を容赦なく叩きつけた。
トゥー「あたたた……痛いよ、もう!」
トゥーはその場にかがみ込み、さかんに頭を撫でさすっていた。
ルーサー「そう泣き言をこぼすんじゃないよ!」
トゥー「僕はただ質問に答えようとしていただけじゃないか!」
ルーサー「そうだとしてもだ! 相変わらず子供っぽい振る舞いをしおって!」
一行はこの二人の関係性に全くついていけず、呆然とするしかなかった。
ルーサー「まあいい。こいつは『仁愛』の真髄の保持者だ」
ニーチェ「待って待って待って……あんた今、あのヌツクキ様でさえ絶賛していたオユコ最強の勇者で、しかも『仁愛』の真髄を持つお方のお頭を叩いたわけ?」
ルーサー「大袈裟に騒ぐんじゃないよ。ほんの軽い一撃だろうが」
ルーサーは手振りで叩く仕草を再現してみせた。
トゥーはほうほうの体で立ち上がると、後退してウイタの背後へ隠れた。
トゥー「僕には全然軽く感じられなかったけどね!」
ルーサー「黙りおろせ!」
ナツキ「……ということは、それほどお強くはない、ということでしょうか?」
ルーサーは不意に冗談を収め、厳しい面持ちとなった。
ルーサー「冗談ではない。本気で強いのだよ。ここにいる全員を相手に回したところで、その気になれば容易く捻り潰されるだろうね」
しばしの静寂が場を包み込んだ。
ニーチェはトゥーに向かって歩み寄った。そのまま彼を引き寄せると、その頬を小突いた。
ニーチェ「じゃあ、なんで今はこんな風にしてるわけ?」
ルーサー「まさにそこが気に入らないのだよ! この戯けは常に優しく、柔らかく、呑気に満ち足りている! 見ているだけで反吐が出るわ。何よりタチが悪いのは、怒らせることが不可能な点だ! 仲間に一度たりとも声を荒らげたところなど見たことがない」
ニーチェは再び彼の頬をつついた。
ニーチェ「ふーん……」
トゥー「だって僕は、あの愚かで野蛮な大男たちみたいに、恐ろしい姿や力で周囲を支配するような者にはなりたくないんだ。僕は今のままで十分さ」
ルーサー「冒険の最中や、それこそ闘争の渦中では全くそんな甘い面影はないのだがな、ガキめ!」
トゥー「ガキって呼ばないでよ!」
その愛らしい声に、一行からはクスクスと笑い声が漏れた。
ルーサー「無駄口はここまでだ。さっさと仕事を果たしなさい。その連中に手札の見方を教えるのだ」
トゥー「あ、そうだった」
トゥーは懐から自らの手札を取り出した。
トゥー「よし、説明するね。階級として示されている数値は、君たちが達成した冒険の規模に応じて上がっていくんだ。最高が百で、最低が零だよ」
ウイタ「それは勇者の方々にも適用されるのでしょうか?」
トゥー「ううん、勇者には一から八までの数値が与えられるんだ。一つの段階から次へ進むには、最大で二つの『印』を得る必要があるよ。例えば僕の階級は、武人ならびに勇者の段階で『七+』なんだ。もう一つ『印』を得られれば、第八段階へ進むことができるんだよ」
ニーチェはトゥーの手札を覗き込んだ。
ニーチェ「剣術の極意、百階級の冒険者……それに攻撃と防御の法術も……こんなにたくさん……」
トゥーは頬を赤らめ、慌てて手札を懐へ仕舞い込んだ。
トゥー「うん、まあね……えへへ」
ナツキ「まあ……本当に、お強いお方なのですね」
ウイタ「ですが、勇者様であるとおっしゃっていませんでしたか?」
トゥー「うん。けれどね、冒険者が十分に鍛錬を積み、資格を備え、強くなり……そして何より本人が望めば、誰であっても勇者になることができるんだよ」




