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ふぁでぃす・ばでんでぃん! ~バッドエンドからはじまるループもの~  作者: 作一生一
ミズコガエシ編

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*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━*

 7月5日(月曜日)、16時21分

 帯渡島(おびとじま)小中学校、廊下

*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━*

 

 ……なかなかに精神的にくるモノがある。

 

 転校初日のこの日。

 

 俺はn=0とまったく同様に、アツシと脱走し、つかまり、そしてサヤカ先生のきっつーいお説教を拝聴(はいちょう)するハメとなった。

 

 もちろん、その目的は前の世界の再現である。

 

 ただ、一言一句かわらぬお小言をちょうだいするというのは結構酷(コク)で、しかもサヤカ先生は頭に血がのぼると同じ話を繰り返す悪癖(あくへき)持ち。

 

 俺は途中から、半(なか)ば本気で〝また時間が巻き戻ってるのではないか?〟とする疑念をいだきつつ、ハラハラしながら話を聞いてた。

 

 だがようやくソレも終わり、職員室を出て、教室からカバンを回収し、そのまま幽鬼(ゆうき)のような足取りで昇降口へと向かう(これだけは演技でなく素(す)だ。それくらいサヤカ先生の説教はしんどかった)。

 

 やはりこの時間は西日がキツイ。制服にべっとりと汗がにじむ。

 

 しかし、気を抜いてはならない。

 

 今日一番の重要な出来事は、こ(・)の(・)あ(・)と(・)だ――

 

【俺】

「ん?」

 

【ミコト】

「あ」

 

 そこでミコトと鉢合わせた。

 

 下駄箱が並ぶ、昇降口の前。

 

 まるで。俺のことを待っててくれたみたいに。

 

【ミコト】

「ハツホさんに頼まれたんだよ。オマエが道に迷わないよう一緒に帰ってくれって」

 

 ……今ならわかる。

 

 コレはきっと、ミコトがとっさについたウ(・)ソ(・)だったのだろう。 

 

 実際、前の世界でハツホに訊(き)いた時、アイツは妙な反応をしていた。

 

【俺】

「いや、さすがに迷わねーよ。朝だって普通に来れたんだし」

 

【ミコト】

「どーだか。迷わなくともどっかでフラフラ道草食うかもしれないじゃん。オマエ、この後お店の手伝いなんだろ」

 

 ミコトは本当に、俺を待っててくれていたのだ。

 

 ただソレを真っ向から認めるのが気恥ずかしく、こうしてウソをついたのだろう。

 

 今、前の世界の再現という名目で、演技を――ウ(・)ソ(・)を(・)つ(・)き(・)続(・)け(・)て(・)い(・)る(・)俺(・)だ(・)か(・)ら(・)こ(・)そ(・)、気(・)づ(・)け(・)た(・)こ(・)と(・)だ(・)。

 

 ……なんとも皮肉な話である。

 

【ミコト】

「だからほら。早く行くぞ」

 

【俺】

「おう」

 

 だが本題はソレではない。

 

 こ(・)こ(・)か(・)ら(・)だ。

 

 ここからが、重要なのだ。

 

【俺】

「…(・)…(・)?(・)」

 

 下駄箱で外靴へと履き替える際、ふと違和感を覚えたような――演(・)技(・)。

 

 意識して一歩後ずさり、下駄箱を少し広めの視点でとらえる――演(・)技(・)。

 

【俺】

「なあミコト、これって――」

 声を掛けて振り返り、

「~(・)~(・)っ(・)⁉(・)⁉(・)⁉(・)」

 皿のように目を見開いたミコトにたじろぐ――演(・)技(・)。

 

【ミコト】

「……ああ、それ? 去年いた人のだよ」

 

【俺】

「去年いた……? もう卒業したってことか」

 

【ミコト】

「うん、まあ………………そんなとこ」

 

 平静を装(よそお)って前の世界の会話をなぞりつつ、俺は必死でい(・)ま(・)目(・)に(・)し(・)た(・)情(・)報(・)を脳内に刻みつけていた。

 

 あの、六(・)人(・)目(・)の(・)上(・)履(・)き(・)。

 

 その踵(かかと)のところに書かれていた名(・)前(・)。

 

 藤(・)代(・)結(・)――。

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