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ふぁでぃす・ばでんでぃん! ~バッドエンドからはじまるループもの~  作者: 作一生一
ミズコガエシ編

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063

*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━*

 7月21日(水曜日)、8時32分

 帯渡島(おびとじま)小中学校、昇降口

*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━*

 

 瑞古還(ミズコガエ)シの翌日、七月二〇日は海の日で休みだ。

 

 この島では例年、さらにその翌日――つまり瑞古還シから二日後の今日が終業式となっており、明日からはいよいよ夏休みである。

 

 ……だが。

 

 あれだけ心待ちにしていた夏休みを目前にして、俺の心は今、沈み込んでいた。

 

 海に落とされた鉄クズのように。

 

 深く、深く、沈み込んでいた。

 

【俺】

(アイツら……、いったいどーしちまったってんだよ……⁉)

 

 あの後。

 

 神社に一人残された俺はなすすべもなく、家へと帰った。

 

 それからというものの、アツシたちからの音沙汰(おとさた)は一切ない。

 

 昨日の夕方には我慢できず俺の方から電話してみたものの、露骨に居留守を使われた始末である。

 

【俺】

(イヤな予感がする……)

 

 ()()()()()

 

 それは、そう――()()()にも感じていたモノだった。

 

 大丈夫なのか。大丈夫だろう。いや、もしかしたら……ただひたすらに、そのせめぎあいだ。

 

 延々(えんえん)と思考が負のループに(おちい)ってしまう。

 

【俺】

(ミコト……)

 

 今日に限っては、アイツとも一緒じゃなかった。

 

 いつもみたいにキタテンの辺りで落ちあおうとしたが、いくら待っても姿を現さなかったのである。

 

【俺】

(多分、たまたま早めに家を出たかなんかだろ……)

(そうだ、そうにきまってる……)

 

 俺は自分に言い聞かせながら、靴を履き替え教室へと向かった。

 

 ……何故だか今日は、廊下がやけに長く感じる。

 

 まるで眩暈(めまい)がしそうなほどに長く長く感じる。

 

 たかだか数個の教室しかない、ちっぽけな校舎のはずなのに。

 

 となりにミコトがいないからだろうか。

 

 それとも――

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

【俺】

(なにを――なにを考えてんだ、俺は!)

 

 自分で自分が情けなくなる。

 

 どうしてこう、モノゴトを悪い方、悪い方にしか考えられないんだろうか。

 

 この炎天下にもかかわらず、痛いほどに冷たくなっていた汗は、俺の小心っぷりの証左(しょうさ)に他ならない。

 

【俺】

(そんなワケがないんだ、そんなワケが――)

 

 俺は自分に暗示をかけるように、心の中で何度も否定を繰り返した。

 

 もう、教室はすぐそこである。

 

 これ以上、足踏みしていられない。

 

 冷や汗で濡れた手を扉にかけ、俺はいざ、中へと入った。

 

 すると、そこには――

 

 

 

【ミコト】

「あ、ナタロー」

「……おはよ」

 

 

 

【俺】

(……なんだよ、いるじゃねーか)

 

 思わず膝から崩れ落ちそうになるくらい、心底ホッとした。

 

 ミコトである。

 

 ごく普通に、そこにいる。

 

 やはり、今朝(けさ)はたまたま早く登校していただけのようだ。

 

 それだけではない。

 

 アツシだっているし、レイコだってもちろんいる。

 

 シズクだけは姿が見えなかったが……なあに、アイツが遅刻しがちなのはいつものことだ。

 

 たぶん、今にも後ろから小さな身体でトコトコと駆けつけてくるだろう。

 

 このまま俺がモタモタしていたら、あのクソナマイキな口から罵詈雑言(ばりぞうごん)が飛びだしてくるにちがいない。

 

 そうだ。

 

 きっとそうだ、そのはずだ。

 

 俺はそう、思っていた。

 

 ………。

 

 ………。………………。

 

 ………。………………。………………………。

 

 俺はそう、()()()()()()()()

 

 だが。

 

 結局その日、いつまで()ってもシズクが姿を見せることはなかった。

 

 そしてソレは、()()()()()()()()()()()()()

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