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ふぁでぃす・ばでんでぃん! ~バッドエンドからはじまるループもの~  作者: 作一生一
ミズコガエシ編

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 その頃。

 

 浜辺で事切れたはずのヤオが目を覚ました。

 

 アサカの凶行を知ったヤオは血相を変えて家へと戻る。

 

 しかし時すでに遅く、夫と娘たちは無残(むざん)亡骸(なきがら)と化していた。

 

 ソレを見たヤオは意を決する。

 

 

 

 ……ややあって、死んだはずのヨビトが目を覚ました。

 

 見れば胸の傷も(ふさ)がっている。

 

 それだけではない。

 

 娘たちもまた、()()が次々と息を吹き返したのである。

 

 だが……末っ子だけがいない。見当たらない。

 

 それに、ヤオもまた――。

 

 不安に駆られたヨビトは娘たちと一緒になって家を飛び出す。

 

 するとそこには。

 

 川辺(かわべ)仰向(あおむ)けに倒れ、その腕に末っ子を抱いたヤオがいた。

 

 だが――()()。その下半身が、()()

 

 ()()()()()()

 

 (かろ)うじて息のあったヤオは、ヨビトたちに気づくと、今にも消え入りそうな声で語りだした。

 

 (いわ)く、ヤオの正体は〝八尾(はちび)の人魚〟であり、生まれ持った命とは別に、その尾にはそれぞれ一つずつ命が宿っている。

 

 一度はアサカに殺されたヤオだったが、その内の一つを使ってよみがえり、家族の下に駆けつけたのだ。

 

 ヤオには一片の躊躇(ためら)いもなかった。たとえ己が持つすべての命を手放してでも、夫と娘たちを救うつもりだったのである。

 

 そうしてヤオは一つ、また一つと命の象徴たる尾を失いながらも家族を蘇生させた。

 

 だが。

 

 夫が一人と娘が八人。

 

 対するヤオは八尾である。

 

 だからどうしても末っ子だけは助けられなかった――。

 

 ヤオは最後にこう言い残す。

 

 すべての命を失った自分は間もなくして死ぬ。

 だからこのまま末っ子と一緒に川に流し、海へと(かえ)して欲しい、と。

 

 ヨビトは涙を流しながら感謝と別れを()げ、ヤオの言う通りにする。

 

 不思議なことに、川の水に混じったヤオの血は朝日を浴びて青く輝いていた。

 

 そのままヤオと末っ子がゆっくりと川の流れに乗ると、水辺では一斉に淡い青色の花が咲いていく。

 

 この花こそが瑞古草(ミズコソウ)であり、以後、ヨビトとその子孫の生活を長きに渡り支え続けた――。

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