表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふぁでぃす・ばでんでぃん! ~バッドエンドからはじまるループもの~  作者: 作一生一
ミズコガエシ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/65

053

 昔、昔のそのまた昔。

 

 この島は無人島だった……らしい。

 

 当時はまだ帯渡島(おびとじま)の名もなく、周辺の激しい海流から、一度入ったら出られない〝帰らず島〟としておそれられてたとか。

 

 この海流は〝帯走(おびばし)り〟と呼ばれ、人を容易に呑みこむ荒々しさの反面、よい潮目(しおめ)を作ることでも知られており、近隣の島々の漁師にとってはきわめてハイリスク・ハイリターンな環境となっていた。

 

 ある日、その帯走りにヨビトという若者が挑む。

 

 だが、結果は惨憺(さんたん)たるモノ。帯走りの厳しい流れの中、船は大破し、ヨビトは海に放り出される。

 

 その末に漂着(ひょうちゃく)したのがここ、帰らず島だ。

 

 半死半生のヨビトは、もはやここまでかと覚悟を決める。

 

 だが、次に目を覚ますと……見知らぬ女がそばにいて、岩屋(いわや)でヨビトを介抱(かいほう)してくれているではないか。

 

 人っ子一人おらぬはずの帰らず島に、女がいた――。

 

 その事実にヨビトはおどろくが、聞けばこういう話らしい。

 

 女の名はヤオ。かつてどこぞの集落を追い出され、この島に流れ着いたのだとか。

 

 ヤオは美しい娘で、傷ついたヨビト甲斐甲斐(かいがい)しく世話してくれた。

 

 ……男が一人、女が一人。そこに一度入ったら出られぬ帰らず島とくれば、先の展開などきまってる。

 

 ヨビトの傷が癒える頃には二人は夫婦となり、それから少しずつ島を開拓した。

 

 住む場所も岩宿から川のほとりへと変え、そこに建てた家でやがて八人の娘をさずかる。

 

 帰らず島は食べるものも少なく、けして楽な生活ではなかったが、どうしても食うに困った時には、ヤオが夜、海に出て貝や海藻をとってきてくれた。ヨビトは怪我が原因で足を悪くしており、その姿を直接目にしたワケではなかったが、ヤオの腕は確かなようである。

 

 そうしてヨビトは、ヤオや娘たちと一緒に(つつ)ましくも幸せな日々を送っていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ