048
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19時17分
八尾姫神社、境内
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そこからはミコトと一緒に祭りを見て回った。
二人ともメシは抜いてきたので、出店でじゃがバタや貝のつぼ焼きなどを買って食べる。
これらの多くは青年団と農協・漁協がやってくれてるモノだ。その他にも一部の店が協力しており、SAKIやナナマートでも屋台を出してる。
……もちろん、叔父さんたちは並び歩く俺たちを一目見るなりいそいそと近よってきた。
ケイジ叔父さんは何度も何度もうなずきながらやたらと肩をベシベシしてきたし、カホ叔母さんにいたってはほとんど泣きそうになりながら『応援してるからね!』とか『なにかあったら相談にきてね!』と激励してくる。
ただまあ、ハツホだけは一昨日からまるで変わらぬゾンビのような惨状で店番をしており、まさしく〝心ここにあらず〟な有様だったが……。
【ミコト】
「な、なあナタロー」
「ハツホさん、どーしたんだ……?」
「なんかあきらかに様子がおかしいぞ……」
【俺】
「……そっとしておいてやれ」
「今のアイツを癒せるのは木綿のハンカチーフだけだ」
【ミコト】
「はぁ???」
その後はヨーヨー釣りやピンボールなどで遊び、わたあめとかき氷を買ってひと休み。
ちなみに途中、小学生の集団と出くわした際には「お前ロリコンじゃなかったのか⁉」などとたいへん心外なことを言われたので、紳士的かつ平和的な方法できっちりとカタをつけておいた。
いやぁ、やっぱ人類の偉大さは話し合いにあり、だよな。うんうん。
【俺】
「アッチもすげー盛り上がってるな」
【ミコト】
「はは、だな……」
角の一画は建前こそ〝休憩所〟だが、その実は酒盛り会場兼酔っ払いの隔離地帯である。
働きざかりからご隠居さんまで分け隔てなく、一緒になって仲良く酒をあおっていた。
【俺】
「あれ、あそこにいんのって……レイコのばーちゃんとおばさんだっけ」
【ミコト】
「ん? ああ、そーだよ」
「マサコさんとノリコさん」
【俺】
「たしか村長なんだよな? ばーちゃんの方が」
【ミコト】
「ただしくは〝前の〟だな」
「四年前に代替わりして、今はノリコさんが後を継いでる」
【俺】
「へぇ、そうだったんか……」
さすがにレイコの血筋の源流なだけある……。
ただ立っているだけなのに、ひしひしと重厚なプレッシャーを放っていた。
特にばーさんの方なんてホントすごい。ほとんど鬼かなんかのようである。
【俺】
「……?」
その鬼のようなばーさんがふと、意味深に目を細めた。
視線の先には、もう一回りか二回り年のいったじーさんがいて――
【俺】
「ん? あれ……マガツチさん、だよな」
島に戻った日、ミコトの次にでくわした人である。
【ミコト】
「あ、ホントだ」
「めずらしいな……これまで一回も来てなかったのに」
ミコトの言葉も納得だった。
なにせ狭い島である。俺もあれから、何度かあのヒトと顔をあわせちゃいるが、こっちからアイサツしてもほとんど何も返しちゃくれない。
やはり人間嫌いとか、ヘンクツとか、そーいった気難しいヒトなのだろう。
【俺】
「にしてもナニしてんだろうな。あんなとこで」
マガツチさんは酒盛りに加わるでもなし、祭りを楽しむでもなし、ただ遠巻きに眺めているだけだった。
「あ、いっちゃった……」
やがて踵を返し、そのまま神社を後にする。
【ミコト】
「どうしたんだろう」
「誰か人探しでもしてたのかな……?」
人探し――。
多分、ミコトのその言葉に他意はなかっただろう。
だがそれでも俺は、俺の脳は、つい反射的に昨日の光景を思い起こしてしまった。
【???】
「 ユイィィィイイイィイイイ! 」
「 ユイはどこォォオオオオオ⁉ 」
「 どこにいるのォォオォォッ⁉ 」
「 ウヮァアアアァアアァアア! 」
あれから俺は、一度として、ミコトにも他の誰にも、あのことを聞けずにいる。
理屈としては先日のアツシの時とまったく同じだった。
話したくないか、話せないか、そのどちらかしかありえない以上、俺の方から動くつもりはない。
――よほど切迫した状況にでもならない限りは。
【俺】
「うし……!」
俺は意図的に頭を切り替え立ち上がる。
「んじゃ次はあっちの方、行ってみようぜ」
言って、ようやく慣れつつあったミコトの手を取ろうとするが――、
しかし、
【俺】
「あ」
【アツシ】【レイコ】【シズク】
「………。」「………。」「………。」
そこでばったりと出くわす。
アツシ、レイコ、シズクの三人と。
【アツシ】
「………。………………。………………………。」
とりわけアツシは。
何故だか顔中にひっかき傷やら何やらでダメージを負っていた。
えっ。どーしたんだコイツ。




