036
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(4時間前)
13時22分
帯渡島小中学校、中学教室
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【俺】
「いいか」
「あのゲームはな、後半はマインスイーパだと思え」
「とにかく爆弾に気をつけんだ」
「爆弾処理だよ爆弾処理」
「じゃねーと、一生かかってもクリアなんてできねーぞ」
【アツシ】
「爆弾!」
「そーじゃ、そーなんじゃ!」
「いきなりあのヘルメットみたいな髪の女が爆弾つけてきよったと思ったら――」
【俺】
「美樹原愛な」
【アツシ】
「それが爆発して、どんどん連鎖しだして――ああっ!」
【俺】
「突然ボンバーマンみてーになんだよな……」
【アツシ】
「そっからじゃ、藤崎さんが急に冷たくなったのは……!」
「……返せぃ! オレの三年間を返してくれぇーい!」
「うわぁああああっ!」
ガバッと頭を抱え机にヒジを打ちつけるアツシ。
【俺】
(まさかここまでだだハマりするたぁーな……)
昨日、帰りがけにプレステごと貸した〝ときめきメモリアル〟の話である。
聞けばアツシは、あれから一睡もせずにプレイし続けたんだとか。
【俺】
「あとなぁ、最初っから藤崎詩織に挑むのはやめとけ」
【アツシ】
「はぁ⁉」
「なんでじゃ! おまえ、オレの藤崎さんに何か文句でもあるんか⁉ おおん⁉」
いつからお前のになったんだよ……。
【俺】
「単純に一番むずいからだよ。あん中で」
「俺も何週かして慣れてからやってみたけど、アイツだけ別のゲームみてーな管理が求められたぞ」
「ありゃ完全にラスボスだラスボス」
なにせ容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能と非の打ちどころがないヒロインだ。
なので攻略には必然、プレイヤー側でもすべてにおいてで最高水準が求められる。
【アツシ】
「じゃが、じゃが……!」
「ううぅ……」
【俺】
「てかそもそもピンク髪なら他にもいんぞ?」
「古式ゆかりとか朝日奈夕子とか」
「出てこなかったか?」
【アツシ】
「 ⁉ 」
「………。………………。………………………。」
「そ、そういう問題じゃないんじゃあ……!」
【俺】
「ウソつけ。お前今、絶対ぐらついてたろ」
【アツシ】
「うう、うう、うううううぅ……!」
【俺】
「いやまあ、お前の決意がそこまで固いんなら止めねーけどよぉ……」
「ならまずはこれだけでも覚えとけ、な?」
「爆弾の処理は――」
そこから俺はゲームの楽しさを損なわない範囲でアツシに攻略のコツを教えた。
ちなみに今は昼休み中である。
中々に人を選ぶ内容なので、俺はボリュームを抑えたヒソヒソ声で話していたが、アツシは、
【アツシ】
「ぬわぁにぃー⁉」
「じゃ、じゃあ他の子ともデートせんといかんのか⁉」
「わざわざ爆弾を落とすためだけにぃ⁉」
この通り、しばしば暴走している。
【俺】
「バ、バカ。声デケーって」
【アツシ】
「お、おう。すまんかった」
【俺】
「……ともかく、俺が伝えられんのはここまでだ」
「あのゲームは、そもそもがそーいうゲームになってる」
「もっと割りきれ。な?」
「じゃねーといつまでもたってもクリアできねーぞ」
【アツシ】
「う、ううむ……!」
脂汗をにじませ考え込むアツシ。
昔から妙なところで生真面目なんだよな……。
繰り返しになるが、コイツがこんなにハマるとは思ってもみなかった。
俺としてはアツシとゲームの話をできて楽しいが、しかし、ここまでのめり込むとなると、コレはコレで問題があるかもしれない。
【俺】
(なんたってコイツにはちゃんとしたカノジョがいるんだしなぁ……)
俺はふとこわくなって、教室の反対側にいるレイコたちのほうをチラッと覗き見る。
そこにいたのは、
【レイコ】
「 ~~~っ!!!!!! 」
神話の怪物、メドゥーサの如きすさまじい表情でこちらを睨めつけるやべー女。
………。
………。………………。
………。………………。………………………。
これは。
やっちまったかもしれねぇ……。




