034
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7月12日(月曜日)、8時25分
帯渡島小中学校、昇降口
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【ミコト】
「オマエ、昨日も夜遅くまで起きてたんだろ」
【俺】
「あん? なんでだよ」
【ミコト】
「だってほら。クマ。いつもよりヒドイじゃん」
「アライグマみたい」
【俺】
「アライグマ」
「いいじゃねーか」
「つぶらで愛くるしい瞳だろ。おおん?」
【ミコト】
「アホか」
月曜日。
今日も俺はミコトと一緒に登校していた。
別段わざわざ待ち合わせてるワケでなく、単に普通に家を出るとキタテンの辺りで自然と落ちあうのだ。
【俺】
「ふわぁぁああ……」
【ミコト】
「てかホントねむそうだな。いつごろ寝たんだよ」
【俺】
「……三時くらいだった気がする」
【ミコト】
「ソレもう今日じゃん」
「バカだろオマエ」
「それとも〝寝てない俺カッコイ~〟とか思ってんの?」
【俺】
「……うるへー」
「こっちにも事情ってモンがあんだよ」
【ミコト】
「へえ、どんな事情さ」
【俺】
「買って積んだままになってるゲームの消化とか」
現状、俺の手元にはそーいうのがたくさんある。
主にはこっちに戻って来る前に「せっかくだから……」と東京は秋葉原で購入したモノだ。
今年に入ってから全然買ってなかった反動で、ついついサイフのヒモが緩んでしまった……。
【ミコト】
「やっぱバカじゃん」
ミコトは一刀両断でそう切り捨てるが〝よほどアレなゲームでない限りエンディングまでやりきる〟が信条の俺としては、けっこう切実な話だった。
ああ、まとまった時間が欲しい……。
夏休みが待ち遠しかった。
【俺】
「でも寝てねーのは俺だけじゃねーぜ?」
あのバカは言うに及ばずだが、昨日は珍しく、
「叔父さんたちも帰ってくんのメチャクチャ遅かったんだよな。村会から」
ちゃんとは覚えてないが、二人が戻ってきたのはそれこそ日付が変わった後だった気がする。
「そのせいか今日は朝から疲れてるみたいでさ」
「タイヘンだよなー、オトナも」
【ミコト】
「そう、だな」
「うん……」
【俺】
「ん?」
何故だか少し俯くミコト。
俺はその反応が気にかかり、教室の前で思わず立ち止まるが、
【アツシ】
「 んナタロォォォオオッォォオオオッ!! 」
次の瞬間、壊れそうな勢いで開かれるドア。そこからフットボール選手よろしく俺にタックルしてくるアツシ。
見ればその様子は明らかにただ事ではなかった。
目はギンギンに血走った上に、俺以上の真っ黒なクマ。
間違いなく一睡もしてない人間のソレである。
ほとんど〝狂気に憑りつかれている〟と評しても過言ではなかった。
【俺】
「な、なんだなんだ⁉」
「おちつけよ、おい!」
「いったいどーしたんだよ、なあ⁉」
【アツシ】
「 藤崎さんが! 」
「 藤崎さんが振り向いてくれんのじゃぁぁぁああああ! 」
……どうやら最初からラスボスに挑んでしまったらしい。
まあ。
多くの者が通る道だが。




