033
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20時36分
弐波家、大広間
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【佳穂】
「今度は村役場に、ですか……⁉」
【老婆】
「……ああ、昨日ン夜に忍びこんだらしい」
「ふざけた真似しよって……」
【契二】
「手口は前回の……学校の時と同じでしょうか?」
【老婆】
「そーさね」
「窓ォ切ってそっから中に入ってきよった」
【佳穂】
「じゃあ、今回も特に盗られたモノとかは――」
【老婆】
「ない。部屋ン中をメチャクチャに荒らされただけだ」
「だから盗人っちゅーと少しちがうな……」
「別の目的で、動いとる」
【契二】
「……もしかして、何かを調べてるんでしょうか?」
【老婆】
「ああん?」
鋭い目で契二を睨みつける老婆。
「ケージィ、お前ウチの島になんぞやましいとこがある言いたいんか、おお?」
【契二】
「い、いえ、そうじゃないです……!」
「ただ、何も盗られてないとなると、それくらいしか思い当たらなくて……」
【老婆】
「……ふん、まあいい」
「こっちに関しちゃ今夜から青年団を見回りに出すことにした」
「だから他のモンも、何かあったらせいぜい手ェ貸してやってくれ」
老婆は座敷に集った一同を見回す。
一〇名程度の集団だ。皆、多かれ少なかれ島の基幹を担う重鎮たちである。
だがそれでも、上座につき場を仕切るのは、今にも朽ち果てそうな枯れ木の如き老婆だった。
他の者は皆、その顔色ばかりを気にしている。
【老婆】
「それとな、今夜はもう一つ話しときゃならんことがある」
「ここ最近なってなんだがなぁ……」
老婆が物々しい声色で切り出した。
「 藤代ンとこの娘を見たっちゅーヤツが何人かおる 」
老婆を除く全員が息を呑む。
その顔はまさしく。
幽鬼とでも出くわしたようなソレだった。




