014
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(3時間前)
12時46分
帯渡島本道、ナナマート南店付近
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まさに青天のヘキレキというヤツだった。
【俺】
「ブフォ⁉」
俺は思わず飲んでいた〝力水〟を吹き出す。
「レ、レイコってあのレイコか⁉」
【アツシ】
「この島じゃレイコは他におらんじゃろ」
【俺】
「あのレイコと⁉ お前がか⁉ 付き合っとんのか、今!」
【アツシ】
「お、おう」
照れてながら頬をかくアツシ。
「去年の春からじゃ……!」
【俺】
「ひぇ~、おっどろいたな~! あのレイコと、アツシが、ねぇ……ひぇ~!」
【アツシ】
「そう何度も言わんでええじゃろ……!」
朝に教室から脱走した俺とアツシは、その後、気の向くままにあちこちへと足を延ばし、今はこうして島に二つしかない総合商店〝ナナマート〟で昼メシと飲み物を買って、近くの木陰で休んでいた。
んで、その間。あれやこれやと積もる話をしている内に、自然かつ必然的に話はワイ談方面へと逸れ、そこで発覚したのがこの衝撃的な事実だった。
アツシとレイコが付き合ってる。
【俺】
「よくもまあ、あんなおっかねえ女を手なずけたもんだなぁ、おい……尊敬しちゃうぜ」
【アツシ】
「そう言うな。アイツもああ見えてカリカリしとるだけじゃない。ちゃーんと、女らしいとこもある」
【俺】
「ほう、というと? 具体例をあげて説明してくれたまえよ、キミ」
【アツシ】
「目つきがエロくなっとるぞ」
【俺】
「いーじゃねえか、へるもんでもないんだし! ……んで? どこまでいったんだよ、お前ら。なあ」
【アツシ】
「……むふふふ。聞きたいか?」
うぐぅ……!
自信たっぷりなその態度。これだけで聞かずともわかってしまう。
コイツ、すでに一線を越えてやがる……!
俺より先に〝オトナ〟になっちまったんだ……!
チクショー、チクショー……ッ!
俺は心で血の涙を流しつつ、それでも身体は素直にアツシの武勇伝に聞き入っていた。
【アツシ】
「と、まあそんなとこじゃ。……いやー、あん時はいつオヤジたちが帰ってくるかとヒヤヒヤしたのう!」
【俺】
「うう、ううう、うううううう……!」
【アツシ】
「んで? おまえの方はどうなんじゃ、ナタロー。向こうでボインボインなパツキン美女でもつかまえたんか」
どうもコイツはステレオタイプ的な幻想を抱いてるな……。
アメリカ人の全員が全員、ブロンド青目の白人なわきゃあない。んなモン地域によっちゃあむしろ少数派なくらいだ。
ま、それはともかくとして、
【俺】
「……言わねーでもわかるだろ? このみじめな反応からよォ……」
「この一五年、磨きに磨き続けてるよ……ピッカピカのドーテーをな……」
思わず〝どよーん〟と死んだ魚の腐臭じみたオーラを出す俺。
それを見たアツシは「やべえ、地雷を踏んだ!」のような顔をしてあわてて取り繕う。
【アツシ】
「……ガ、ガハハ! まあナタローだってきっとすぐに、じゃろう!」
【俺】
「根拠のないなぐさめはやめてくれ……余計みじめになるぜ」
【アツシ】
「んなことないじゃろ。なんたって、おまえにはミコトがおるんじゃし」
【俺】
「あん? なんでそこでアイツの話に――」
【レイコ】
「先生、あそこです。あそこに逃げ出したバカ二匹がいます」
【サヤカ先生】
「 いよっしゃああああああッ!!! 」
次の瞬間、サヤカ先生の真空飛び膝蹴り二段返しが俺とアツシの顔面にさく裂ゥーッ!
【サヤカ先生】
「 ダァーッ! 」
高々と拳を天に突きあげる先生。
俺たちは死んだ。




