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運命の蒐集者

ゴォォォォォォッ!!!


レッドオーガの棍棒が振り下ろされる。


「カイルッ!!」


ダレンが叫ぶ。


避けられない。


そう思った、その瞬間だった。


世界から音が消えた。



ピタリ、と。


レッドオーガの棍棒が空中で止まる。


舞い上がっていた砂も。


流れていた水滴も。


すべて静止している。


「……な、に?」


カイルだけが動けた。


その目の前に、漆黒の画面が現れる。



《EX SYSTEM》


《適合者:カイル・ウォーカー》


《スキル未所持個体を確認》


《世界初の適合者》


《EXスキル付与を開始します》



「世界……初?」


画面がさらに変化する。



《称号獲得》


《無能なる器》


効果

・スキル獲得率100%

・取得スキルは全てLv.MAX

・EXスキル獲得確率大幅上昇



《ユニークスキル》


《運命の蒐集者》


Lv.MAX


効果


・敵撃破時、100%でスキル獲得


・一定経験値到達時、ランダムスキル獲得


・スキルレベルは全てMAX


・取得数制限なし


・所有者以外閲覧不可



《初回ボーナス》


スキルを3つ付与します。



ルーレットのように文字が流れ始める。


炎魔法。


身体強化。


毒耐性。


槍術。


弓術。


剣術。


数百、数千というスキルが高速で流れていく。


「な、なんだこれ……。」


そして止まった。



《獲得》


⭐EXスキル


《パリィ》 Lv.MAX



「パリィ……?」


説明が表示される。



相手の攻撃を完全に見切り、

成功時、衝撃を100%無効化。


タイミング成功率補正:極大



「強い……。」


だが終わらない。


再びルーレットが回る。



《獲得》


⭐ユニークスキル


《狩る者》 Lv.MAX



効果


・魔物への攻撃力200%上昇


・経験値取得300%


・魔石ドロップ率500%


・魔物への恐怖無効



「経験値……。」


そして最後。


ルーレットが黄金色に変わる。


洞窟全体が震えた。



《EXスキル》


《スキル100%獲得》


Lv.MAX



効果


敵が所持する通常スキルを100%取得可能。


※EXスキル取得不可


※対象死亡時のみ発動。



カイルは息を呑んだ。


「こんなの……。」


「世界が変わる。」


その瞬間。


画面が消えた。


時間が動き出す。


ドゴォォォォン!!


レッドオーガの棍棒が目前まで迫る。


「カイル!!」


ダレンの叫び。


しかし。


「見える。」


初めてだった。


さっきまで速すぎた棍棒が、ゆっくり見える。


(右へ半歩。)


身体が勝手に動いた。


ブォン!!


紙一重。


棍棒は空を切る。


「避けた!?」


ダレンが驚愕する。


レッドオーガも目を見開いた。


「グォォォ!!」


今度は横薙ぎ。


(ここだ。)


カイルは木剣を構える。


「――パリィ。」


カンッ!!!


甲高い音が洞窟中に響く。


次の瞬間。


レッドオーガの棍棒が大きく弾かれた。


「なっ!?」


ダレンは思わず声を漏らす。


「今のは……英雄級の受け流しだぞ……!」


レッドオーガの体勢が崩れる。


大きな隙。


「今だ!」


ダレンが飛び出す。


鋼鉄の拳がレッドオーガの腹部へ突き刺さる。


ドゴォォォン!!


巨体が吹き飛び、壁へ激突した。


「終わりだ。」


二撃目。


三撃目。


最後は全力の拳。


ズガァァァァァン!!


レッドオーガは断末魔を上げ、崩れ落ちた。


静寂。


ダレンは大きく息を吐く。


「助かった……。」


だが。


その直後。


カイルだけに、再び画面が現れる。



《討伐補助を確認》


《スキル抽選開始》



「え……?」


黄金色の光がレッドオーガから溢れ出し、カイルの身体へ吸い込まれていく。



《獲得》


《怪力 Lv.MAX》



効果


筋力5倍。


武器破壊耐性。


重量補正無効。



「また……増えた。」


カイルは自分の手を見る。


何も変わっていない。


それなのに。


身体の奥底から、とてつもない力が湧き上がってくる。


(これが……スキル。)


遠くでは、ダレンがレッドオーガの死体を見つめていた。


「初心者ダンジョンにレッドオーガ……。」


「何かがおかしい。」


その言葉を聞きながら、カイルは胸の奥で静かに誓う。


(もっと強くなる。)


(姉さんを守れるくらい。)


(いや――。)


(誰にも負けないくらい。)


洞窟の外では、黒いカラスが一羽、王都の方角へ飛び立っていく。


その目は、まるで誰かに報告するかのように赤く光っていた。



       

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