11/42
第1話
紀貫之が八〇にして、歌の極みに達した後、祟りと怨霊の噂が広まる世に、また一つ、乱の予兆が現れた。
羅城門。
平安京の正面門である。
気霽れては風新柳の髪を梳り、氷消えては波 旧苔の鬚を洗う
気霽風梳新柳髪。氷消波洗旧苔鬚。
時の右宰相の父の友人で、師である都良香が羅城門のことを読んだ時、下の句はどこかから返って来た。
道真は下の句は鬼が言ったのだろうと言った。
以来、羅城門には鬼が棲むと言われる。
都の正面玄関になり、人通りが多い門だ。
そこへ、チントン・・・と、一斉風靡した新興宗教の行列が、神輿を担ぎ、入れろと近づいて来ていた。




