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この世界はすでにエンドロールを迎えている  作者: 文月 イツキ


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012 薄明を告げる混光

前回までのあらすじ


辛辣な言葉の真意を聞き、安堵したのも束の間、穏やかな夜は二人の乱入者によって終わりを迎える

「まさか気付かれるとは……」

「コーヒーブレイク中に覗き見とは変わった趣味をしている」


 端から会話する気などないと言わんばかりに、白昼に晒された闖入者たちに目もくれない。


「お前ら、黒玉と燐灰石だな」

「ッ!?」


 その名を聞いて、戦えない俺も思わず身構えてしまう。

 フェスタの仲間を襲った二人組。


『アパタイト 称号『殉教者』

クラス:教団幹部 能力:『欺瞞』

記石:『燐灰石アパタイト

武器:洗礼兵装カトラスⅡ


 俺の視界に目の前の男、アパタイトの情報が表示される。……本名なのか。


「……」

『ジェット 称号『復讐者』

クラス:教団戦闘員 能力:『忘却』

記石:『黒玉ジェット

武器:洗礼兵装カトラスⅡ


 隣の寡黙そうな男の情報も表示され、二人の素性があけすけになる。……教団?


「我々は──」

「御託はいい、お前らの用件もどうでもいい。ここは禁域、無許可での立ち入りは何人たりとも許されていない。それに……お前ら自分の立場が分かってんのか?」


 フェスタは白衣の胸ポケットから細いノック式のペンのようなモノを取り出す。ペン先に光が点いて初めてそれがレーザーポインターであることに気づいた。


「さぞ、御大層な用向きがあるんだろうが……申し開きは司法の前でしろ。これは『投降勧告』従わないなら『武力行使』だ」


 フェスタはノールックでポインターをジェットの胸に当てる。さながら、スナイパーが射撃を警告するかのように。


「武器と記石を地面に投げ捨て、両手を後頭部に回せ、それ以外の行動は全て抵抗の意志とみなす」

「お待ち下さい、我々は貴方様の神体を迎えに参じまし──」

「ラヴィ、やれ」

「ドゴォ! キキーッ!」

「え?」


 ──ドゴォッ!! バキバキバキッ!! キキーッ……!


「ええぇぇぇぇ!!!!」


 ……冗談だろ。


 白装束の二人は突然動き出したキャンピングカーに撥ねられた。

 世界衝撃事故映像かよ。


「カイトスアタック一丁上がりぃ」

「よくやった、今のうちに縛り上げるぞ」

「……」


 言葉が出なかった。

 いや、もうちょっと……倒すにしても、プロセスとかあるでしょ。


「大丈夫ッスよ、カイトスは装甲車ばりに硬いんで、人撥ねたくらいじゃ凹んだりしないッスから」

「心配してるのはそこじゃないです」

「問題ない、死んでないからな。カイトスは特別仕様だから、轢こうが撥ねようが骨折すらしねぇ、まあめちゃくちゃ痛ぇだろうけど」


 そそくさとフェスタは気を失った二人から記石を回収し、その辺の木に括り付ける。


「もうちょっと……あるでしょう……能力バトルとか……」

「効率を考えれば今のやり方が一番スマートだろ、それに能力なら使ってたぞ、ラヴィが今の今まで眠りこけていたように『混光』の力で錯覚させていたからこそ、先の不意打ちは成功した」

「地味な上にずる賢い……」

「頭脳プレーと言え」


 そりゃそうだよな……能力とか以前に車とか銃がある世界なんだから、能力にこだわる必要性はないよな。


「荷物が二つも増えてしまった」

「荷台に押し込めばいけるッスよ」


 跳ね飛ばされた二人はもはや人とすらカウントされていない……。


「気に病むことはねぇ、先にウチの連中に問答無用で斬り掛かってきたのはコイツらだ、同じく問答無用で返り討ちにされても文句は言えねぇだろ」

「それは、そうなんですが……」


 なんというか能力バトル的なロマンも何もあったもんじゃないな。


「良いんですか? 敵の目的とか、なんで襲われたとか知らないままで」

「どえせ神の亡骸を回収しに来たとかそんなとこだろうさ。そんなことより」


 今のイベントを『そんなこと』扱いなんだ。


「話が脱線したな」

「えっと……なんの話でしたっけ」

「お前がこの世界に来てから初めて出会った相手は誰かって話だ。私の仮説だがおそらく……こいつらだ」


 こいつら、『見知らぬ』白装束の二人組、ジェットとアパタイト。


「いやいやいやいや、こんな人たち知りませんが」

ジェット(こいつ)の能力を忘れたか?」

「……あ、いやけど……」


 『忘却』……まさか!


「いや、けど、なんで?」

「今から忘却の運命を断ち切る。そうすれば、色々思い出すだろう。お前がこの地に『降り立った瞬間』の記憶を」


 そう言って、フェスタが拾い上げた黒玉に炎が灯る。

 煌々と”石が燃える”不思議な光景に目を奪われながら、飛び散る火の粉のように、ぼんやりとしていた記憶が呼び起こされる──


 

アーカイブファイル 012

フォルト移動式拠点『カイトス』


仰々し名前だが、見た目は普通のバンコン(9人乗りのバンをキャンピングカー仕様に改造したもの)

世界中を旅して回るフォルトにとって重要な移動手段であり、ラヴィとレオによって大事に整備されている。


フェイタルに襲われても大丈夫なように頑丈に作られており、対戦車ライフルでも多少凹むくらい。

寝泊まりできるが女性陣のみで男性陣はテントと住み分けられている。

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