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未定  作者: 悠木サキ
19/66

第19話 孤軍奮闘するセーグネル

「ハウンド二等兵!」

 負傷した隊員を避難させたセーグネルは自身の小銃を携え、後に残ったカウルとシーナのもとに向かった。

「あっ、ハートクレア准尉!」

 セーグネルに気がついたカウルが顔を上げる。セーグネルは見ていなかったが、カウルはいつの間にかシーナを半壊した左の掩体まで引き寄せていた。

「スレヴィアス上等兵は!?」

 セーグネルはカウルにシーナの安否を尋ねる。

「あっ、えっと……」

「外傷は!?」

 カウルの返答はしどろもどろとして要領を得ない。切迫した状況に、悠長な問答をしている暇はないので、セーグネルはざっとシーナの容態を見た目で判断した。

──怪我はしてない。

 外傷はなく、シーナも気を失っただけのようだった。

(どうする──)

 気を失ったままのシーナをこの場に置いておくのは危険だ。

 アビィ同様、シーナを艦内に運び入れるしかない。

「ハウンド二等兵!彼を中に──」

 そう途中まで言いかけたセーグネルだったが、そのとき視界に、遠くから飛来する敵機──戦闘機に遅れてやってきた敵の雷撃機の姿が目に入った。

「っ!」

 通常、雷撃機の抱える航空魚雷は、目標まで千メートルほどの距離で投下される。

 敵をこのままその距離まで近づけてしまっては、『アマネ』が危険に晒されてしまう。

「ハウンド二等兵、そのままここにいろ!!」

「え──」

 今この時、シーナやカウルに構っている暇はない。

 セーグネルはカウルにそれだけ言うと、彼らを置いて銃座の機銃に向かった。


「くっ」

 ジオが離脱し無人となった銃座についたセーグネルは、機銃の横に機銃と一体となって据えられた、機銃弾の弾帯が入った弾薬箱に手を当てる。

 セーグネルの手のひらから、光の粒子が放出され、機銃弾が連なる弾帯に吸い込まれていく。

──敵を近づけるわけには……!

 機銃の弾薬に『心』を込めたセーグネルは、機銃の銃把を握り、照準を敵雷撃機に向ける。

 ダダダダダッ!ダダダダダッ!

 機銃の銃口が火を吹いた。

 機銃は弾帯を瞬く間に吸い込み、銃口から弾丸を吐き出していく。

 セーグネルは反動に照準を狂わされないよう、小刻みに射撃を中断させながら、敵雷撃機に機銃を射かける。

──だが、

 ブウウン。

 唸りを上げるプロペラの音が、セーグネルの頭上から聞こえてきた。

「っ!」

 見上げると、敵の戦闘機の一機が『アマネ』の上空を通過し、旋回して再びこちらに機首を向けようとしていた。

 ブウウン。ブウウン。

 その一機だけではない。続けざまに二機目、三機目と、敵の戦闘機が『アマネ』の上空で弧を描いて旋回し、それぞれが攻撃態勢を取ろうとしている。

──機銃掃射の第二波が来る。

「くうっ!」

ダダダダダッ!ダダダダダッ!

 セーグネルは機銃を空に仰がせ、銃口を敵の戦闘機に向けて発砲した。


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