第19話 孤軍奮闘するセーグネル
「ハウンド二等兵!」
負傷した隊員を避難させたセーグネルは自身の小銃を携え、後に残ったカウルとシーナのもとに向かった。
「あっ、ハートクレア准尉!」
セーグネルに気がついたカウルが顔を上げる。セーグネルは見ていなかったが、カウルはいつの間にかシーナを半壊した左の掩体まで引き寄せていた。
「スレヴィアス上等兵は!?」
セーグネルはカウルにシーナの安否を尋ねる。
「あっ、えっと……」
「外傷は!?」
カウルの返答はしどろもどろとして要領を得ない。切迫した状況に、悠長な問答をしている暇はないので、セーグネルはざっとシーナの容態を見た目で判断した。
──怪我はしてない。
外傷はなく、シーナも気を失っただけのようだった。
(どうする──)
気を失ったままのシーナをこの場に置いておくのは危険だ。
アビィ同様、シーナを艦内に運び入れるしかない。
「ハウンド二等兵!彼を中に──」
そう途中まで言いかけたセーグネルだったが、そのとき視界に、遠くから飛来する敵機──戦闘機に遅れてやってきた敵の雷撃機の姿が目に入った。
「っ!」
通常、雷撃機の抱える航空魚雷は、目標まで千メートルほどの距離で投下される。
敵をこのままその距離まで近づけてしまっては、『アマネ』が危険に晒されてしまう。
「ハウンド二等兵、そのままここにいろ!!」
「え──」
今この時、シーナやカウルに構っている暇はない。
セーグネルはカウルにそれだけ言うと、彼らを置いて銃座の機銃に向かった。
「くっ」
ジオが離脱し無人となった銃座についたセーグネルは、機銃の横に機銃と一体となって据えられた、機銃弾の弾帯が入った弾薬箱に手を当てる。
セーグネルの手のひらから、光の粒子が放出され、機銃弾が連なる弾帯に吸い込まれていく。
──敵を近づけるわけには……!
機銃の弾薬に『心』を込めたセーグネルは、機銃の銃把を握り、照準を敵雷撃機に向ける。
ダダダダダッ!ダダダダダッ!
機銃の銃口が火を吹いた。
機銃は弾帯を瞬く間に吸い込み、銃口から弾丸を吐き出していく。
セーグネルは反動に照準を狂わされないよう、小刻みに射撃を中断させながら、敵雷撃機に機銃を射かける。
──だが、
ブウウン。
唸りを上げるプロペラの音が、セーグネルの頭上から聞こえてきた。
「っ!」
見上げると、敵の戦闘機の一機が『アマネ』の上空を通過し、旋回して再びこちらに機首を向けようとしていた。
ブウウン。ブウウン。
その一機だけではない。続けざまに二機目、三機目と、敵の戦闘機が『アマネ』の上空で弧を描いて旋回し、それぞれが攻撃態勢を取ろうとしている。
──機銃掃射の第二波が来る。
「くうっ!」
ダダダダダッ!ダダダダダッ!
セーグネルは機銃を空に仰がせ、銃口を敵の戦闘機に向けて発砲した。




