↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・魔法エンジニアですが、AI相棒と修理工房を始めました  作者: マグガネ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/25

第八話

今、俺は二階に続く階段の前まで来ている。


階段の横にあるスイッチを押してみるが、電気が通っていないので明かりはつかない。


また、築年数から言っても、魔法が使われている可能性も低い。


階段前から二階を見ると、まだ昼だというのに暗く、奥まで見通すことができない。


「よし。クロエ。この家はやめておこう。絶対に」


玄関に向かい、靴を履こうとする。


あんなに暗いところで幽霊なんかに出会ったら、俺はその瞬間、心臓まひで死ぬことになるだろう。


俺はまだ生きていたい。


そのための戦略的撤退なのだ。


これは。


「マスター」


涼やかな声が、俺の耳に届く。


「……なんだ?」


「行きましょう。まだ推測の域を出ませんが、この現象の原因は、魔法が考えられます」


魔法?


「クロエ、どうしてそう思ったんだ?」


「はい、マスター。この家は築13年と、比較的昔に作られています。そして、魔法が登場したのが、その翌年です。そのため、この家には魔法が使われていないことが分かります」


「確かにそうだな。じゃあ、やっぱり幽霊の仕業なんじゃ」


「いいえ、マスター。何度も言いますが、それはあり得ません。先ほどの続きになりますが、一階を見て回ったときに、何か所か新しくなっている部分が見受けられました」


「新しくなっていた部分?」


思い出してみるが、どこにもそんな場所はなかった気がする。


だが、なんとなく負けた気になるので、知ったかぶりをしておくか。


「ああ、あそこのことか」


「マスター。今、右上を見ましたね。この右上を見るというのは、心理的に嘘や……」


「ごめんなさい! 適当こきました!」


やっぱり、人間素直が一番だな。


「それで、新しくなってたのって?」


「はい、マスター。キッチンです。キッチンのコンロには、魔法が使われています。そのため、建築してから最低一度は、改築が加えられています」


言われて、思い出した。


そういえば、キッチンのコンロに魔法が使われていた。


コンロを変えるためには、これまで使っていたものを取り外し、ガスなどの処理をしてから、新しいものを取り付ける。


そうなると、大掛かりな工事になる。


「そういえば、そうだったな」


「はい、マスター。また、風呂やトイレにも、見た目には分かりにくかったと思いますが、魔法が使われていると考えられます」


思い出してみると、確かに違和感があった。


トイレのタンクは小さかったし、風呂も……。


まあ、なんか違和感があった。


「それで、何でこの現象が魔法だと推測できるんだ?」


「はい、マスター。あのコンロの魔法は、実用化された初期の製品です。この時期に作成された製品は、まだ技術が成熟しておらず、故障や不具合が多数報告されています。そのため、二階にも何か魔法製品が設置されていて、それが不具合により何らかの音が発生し、それがうめき声に聞こえたのではないかと推測されます」


そう言えば、俺が会社で作っていた製品も、初期の頃はたびたび誤作動が起きて、レポートが上がってきていた。


その中に、異音が発生する、というのも多数あった。


その修正に苦戦したことを、覚えてる。


同僚と言い合いになったこともあった。


でも、あいつは俺が悪くて謝っても、そんなことか、じゃあ後で晩飯でも奢ってくれと、あっけらかんと言って笑ってたっけ。


「それではマスター。二階を調査してみましょう」


その声が、思い出に浸っていた俺を現実に引き戻した。


幽霊は怖いが、魔法となれば話は別だ。


これは、俺の得意分野だ。


恐れる必要なんてない。


俺は、二階への一歩を踏み出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。