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第21話 もう一人の英雄 

遠目に見える光。

それは中央防衛拠点から真上に上がった1機の起動鎧だった。

確かに起動鎧の装備の中には、そういった装備があるのは知っている。

最も、ほとんど直線にしか移動できないのが現状作られている装備だ。


だが、俺にはそれ以上にその起動鎧の存在が驚きだった。

遠目だったが、見間違えるわけがなかった。

「ば・・・馬鹿な。なんで、あの起動鎧が存在しているんだ!?」

あれは、特殊部隊が設立しているルートでは作られなかったはずだ。

しかもあれだけは作られてはいけない存在のはずなんだ。

『なに、あの起動鎧?あんな機体見たことないし、聞いたことないんだけど?』

『・・・あれ、装備持ってない』

ライムが知らないということは、代表会議では語られていない。

リースがそう言うが・・・あの機体に装備は必要ない。

『みなさん知らないようですが・・・ダイス、あの機体は一体何なのでしょうか?』

ユフィも知らされていないようだな。




だが、それについて説明している余裕がない。




『おい!その上空にいる起動鎧!すぐに起動を停止させて地上に降りろ!』

部隊員だけへの通信ではなく、広域通信でその起動鎧に呼びかける。

そして返ってきた通信は・・・予想していなかった人物からだった。



『・・・その声は、もしかしてダイス・カラーか?』



『俺を知ってる?というか今の声・・・まさか、シップ・カラーか!』

確か彼は騎士への昇格試験に落ちて、整備員の補充要員となっていたんでは。

まさか・・・あの基地にいた?

それより今は彼を止めることだ。

『そう、ダイスだ。それより、まずはその機体から降りるんだ。その機体は・・・』

『危険、なんだろ?知ってるよ』

・・・知ってる?彼は?

『なんで知ってるかとかは、今は時間ないからな。後で、俺の部屋にある私物を漁ってくれ。手紙があるからそれでわかるはずだ』

そんな話をしている間に、シップの乗る機体はその周囲に見えるくらいのマナの層ができ始めていた。

『お前・・・何をするつもりだ!?』

そう聞かずにはいられない。

今の状況なら、恐らくとはつくがそうなると思う。

だが、それをやるとなると。

『俺が何をするかなんて、この機体を知ってるならわかるだろ?』

『わかるから止めようとしている!』

『止めないぜ。今の状況を打開するなら、これが一番だろ』

『すまないが、俺たちにもわかるように話をしてくれないか?』

一緒にいる騎士団員から声が入る。

だが・・・もう遅い。恐らく、あの機体の準備は完了している。


『話をする必要はないです。これから、すぐにわかることですから。・・・すいません。騎士ではない俺ですが、この機体貰います』

そう言って、機体が徐々に前方に傾いていく。

『最後の最後まで問題の生徒で申し訳ございませんでした。・・・後のことはよろしくお願いします』

そして、彼からの通信が切れた。

もう・・・止めることはできないのか。

『ダイス騎士、あの機体は一体何なんだ!?知っているんだろ!理由はきかん、教えてくれ!』

その声に、俺はみんなに聞こえるようにして・・・残酷な現実を教えるた。



『あの機体の名はメテオブレイカー。マナを集めて複数の層を壁のように作って機体の周りにまとい・・・目標地点に突撃する「特攻兵器」です。あれがぶつかった時、集めたマナが一気に爆発します。その衝撃は中規模の基地の7割を壊滅させるほど。


そして・・・搭乗者の生存は・・・ありません』



その言葉に、全員から息をのむような音が聞こえた。


そう、あの機体はゲーム内ルートでも最悪なルートに行く場合に登場する起動鎧。

運用方法は、かろうじて起動鎧を動かせる騎士が搭乗して、前線に迫る敵軍に特攻をかける。

ぶつかった衝撃で、集まっていたマナがはじけ飛ぶことで大打撃を与えるのだ。

最も・・・その衝撃は特攻をかけた起動鎧にも襲い掛かる。無事では済まない。

ぶつかる直前に脱出すれば?

あのマナの層は機体「全方位」を包んでいるんだ。できるわけがない。



つまりあの機体に乗ってすること・・・そしてその目標地点は

『ギガフォートレスに、突撃を・・・する?』

ライムの発言に、頷こうとしたとき


その起動鎧は、光をまといながら真っすぐに進み始めた。

『あれは、どうすれば止めれるのですか!?』

ユフィのその発言に、首を横に振るしかできなかった。

『生半可な攻撃では、あの層を貫くことはできない』

『・・・じゃあ、彼は』

リースの発言に、何も返すことができなかった。





「まさか、最後の時にあいつに会えるとはな。・・・そういえば、謝るの忘れてた」

シップは搭乗席に座りながら、迫ってくるギガフォートレスを見ながらそんなことを思っていた。

「・・・次は、もう記憶を引き継ぐことはないだろうな」

自分の第二人生は一体何だったんだろう・・・そんなことを考えながら、彼は静かに目を瞑った。




「なんだあれは!?さっさと撃ち落とせ!」

ギガフォートレスからその迫る光を見ながら、バルガス皇帝は大声を上げていた。

だが、いくら撃っても帝国の長距離砲撃の命中率はあまり高くない。しかも当たっても、効果が見られない。

(・・・まさか、あの機体が存在してたなんて。情報にはかからなかったから、あれだけなのかもしれないな)

ウッド・カラーは、その光を見ながら諦めた顔をしていた。

(あれを止める武器は・・・ない。恐らくこのギガフォートレスでも耐えれないだろうな)

事前に情報を知っていたなら用意できたかもしれないが・・・そもそも、どれくらいの威力をぶつけたらあの層を突破できるのかは不明だった。

今なお、逃げることもせず声を荒げている皇帝を一目みて、すぐに視線を正面に向けた。

(やれやれ・・・ゲームみたいにセーブしたところからやり直しみたいに、この世界で生まれた時に戻れたらいいな)

そんなことを考えながら、目を瞑った。





そして


その機体は、その名の通り1つの隕石となったように・・・帝国の指揮車に突撃をした。


閃光と轟音、そして衝撃波が周囲に巻き散らかされる。


指揮車のそばにいた起動鎧はその衝撃をもろに受けて吹き飛び、その機体特性故に耐えれたのは1機もいなかった。

少し離れて密集していた部隊も、衝撃に耐えれなく飛んできた機体にぶつかられて倒れていく。


王国側にも衝撃が迫ったが、盾を持った起動鎧の後ろに隠れるなり這いつくばるなりで被害を抑えた。

最も無傷とはいかず、それでも多くの起動鎧がダメージを受けていた。中には動けなくなっている機体もあった。



しばらくして収まった時、ギガフォートレスの待機していた場所には大きな穴ができていた。

その周囲には、バラバラになった機体の残骸。

後方にいた部隊も飛んできた機体やそのパーツによるダメージを受けて大きな被害を受けていた。

それ以上に、無人機として運用していたのが仇になっていた。

ギガフォートレスからの指示が飛ばなくなったことにより、全機動きを止めていた。

さらに、それの下敷きになった有人機も身動きが取れないようになっていたり。

結果、帝国側の進軍は完全に止まった。



その間に、中央防衛拠点にて出撃準備をしていた王国騎士団が準備を整え出撃。

残存勢力との戦いのため、制止を振り切り敵中枢に特攻をかけた騎士のため。

彼らは、わき目も降らず突撃をかけていった。




なお、ダイスの機体は盾で防ぎはしたものの衝撃波をまともに受けており起動不能。

その陰に隠れるように待機していたユフィの機体も武器や片腕を失って戦闘不能。

ライムとリースに回収されるまで、彼らはそのままの状態で戦場にとどまっていた。



ただ・・・いい記憶とはいえなくも、一緒に同じ時を過ごしたクラスメイトの死を悼んでいた。


「特攻兵器メテオブレイカー」


敵の大群に向けて等間隔で機体を配置、特攻することにより敵軍を一掃することができるだろう威力をもつ。なお、搭乗者の安全は皆無。


ゲーム内でこの機体が登場するルートはただ一つ「バッドエンド:この戦いに勝者はいない」


ヒロインとの交流もほとんど行わず、イベント戦闘全てに敗北することで到達する。

同年代の騎士にも負け、護衛騎士にも負け、ヒロインからのフォローも受けれなかった英雄。彼にこの戦いの行く末を託すのは不可能と判断した上層部が立てた作戦。

「メテオブレイカーの大量投入による、帝国の壊滅作戦」である。

文字通り、帝国は首都を含めて全てをこの機体の特攻により壊滅させられることになるが、王国も数多くの騎士をこの作戦で失うことにより国力が大きく損なわれることになる。

また、この非道な作戦を実行したことによって国民からの信頼も失い・・・その後、騎士を目指す者たちが激減したことによって徐々に衰退していくことになるという話で終わる。


ぶっちゃけ「普通にやっていたら、確実に開放されないルート」と言われている。

それくらい、英雄の機体のゲーム内スペックは突出しているのである。

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