#20読書感想「コンビニたそがれ堂」(村山早紀)
本の題名:「コンビニたそがれ堂」
著者:村山早紀
出版社:ピュアフル文庫
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【 第一話の感想 】
クールで寡黙な硬派になりたい小学生の雄太くんが謎のキツネ風なかっこいい若者が店番をしているコンビニで、見つけた『お気に入りの猫の雑誌』を見て、笑ってにやあっととろけたような満面の笑みになるところが、ぶっきらぼうそうに店員さんと喋っていた冒頭の印象に対してとてもかわいらしいので、意外さを感じて雄太くんが主人公として少し好きになりました。
猫可愛いですよね。
また、雄太くんがみんなの前では『クールでかっこいい男』を演じていて、周囲の小学校の同級生男子とかからも雄太くんはそう思われているからこそ、『ほんとうは猫好きで、繊細で、かわいいものが大好きな少年』であることを知られたくないと強く思っているところに、強く感情移入しました。わかる。私だって知人に成人女性向けの恋愛小説を書いていることを知られたくない。――本当の姿って、誰しもが知られたくないものだったりしますよね。
皆、仮面をかぶって生きている。だからこそ、この雄太くんがどうなってしまうのか読んでいる時とても気になりました。
読者と共通点のあるキャラクターは見守りたくなるものなのだなと発見がありました。
また、おじいさんの着たセーターの色や形が、なんだか見覚えがある。似ている。それだけで泣きそうにさせられるとはつゆほども思っていなかったので、作者さんの技術力の高さに圧倒されました。あたたかな展開には胸がぎゅっとなりました。
【 第二話の感想 】
お人形の話なんですが、読んでいて泣いてしまいました。なんとなく、主人公の父がもうすこし上手に娘さんに対応してあげられなかったのかなあとか、思う気持ちはありつつも……まあ、完璧な育児なんてできる人はなかなか居ませんよね、という気持ちもあります。
主人公の女の子のお母さんの過去。それがどれほど辛く苦しいものだったのかを考えると、切ないです。
――優しくされたことがないから優しくすることができない。
そこに深い、深いリアリティを感じました。
魔法みたいなコンビニが出てくるし、人形が喋ったり猫が人の姿になったりしても、人間心理はどこまでもリアルで地に足がついている。だからこそ、こんなにこの現代のおとぎ話のようなファンタジックな物語に心が動き、切なくなるのだと思います。ラストシーンに泣きました。
【 第三話の感想 】
むしろ私は主人公の桜子さんにこう言いたいです。
「いやいやいやいや、一人の女性である前に一人のアナウンサーである、という生き方はめちゃくちゃかっこいいじゃないですか」と。
本心から私はそう思うのですが、主人公の桜子さんは周囲の親などのプレッシャーで苦しんでいます。
けれど、ラジオの放送局で喋る人をしている桜子さんは、不思議な出来事にまきこまれ、いくつかの不思議な体験をします。
――誰かのささいな一言で救われる人だっている。
そんなメッセージ性を私は確かに感じました。
【 第四話の感想 】
星が見守ってくれている、とあんずちゃんが亡くなった家族のことを思い出すところは涙が止まりませんでした。切なくて愛おしい。
【 第五話の感想 】
主人公のテレビが必死になっていろいろな映像を所有者である女の子のために映そうとして、最終的にもっと本格的にテレビが壊れてしまうところが、ほんとうに、切なくて、愛おしくて、仕方ありませんでした。
【 全体を通しての感想 】
読みながら、すべてのエピソードで1回以上泣かせてくるというとんでもない感動ジャンルの本です。
この小説には、力がある。
温かい、力がある。
そんな気がしました。
とげとげした、冷たい日常を、あたたかな紅茶でそっと温め、いい香りがするような小説でした。まあ、作中の設定的には、紅茶というよりもアツアツの美味しいおでんかもしれません。
あたたかくて、やさしくて、切なくて、どこまでもいじらしい、愛おしい話でした。
また近日中に21冊目の本も読みたいです。
そちらも感想をアップする予定ですので、ご興味があればまたnoteのアカウントを覗いていただければ嬉しいです。
読んでくださり、ありがとうございます……!




