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#18読書感想「猫のお告げは樹の下で」(青山美智子)

本の題名:「猫のお告げは樹の下で」

著者:青山美智子

出版社:宝島社


あらすじ:ふしぎなタラヨウの葉を落としていく猫ちゃんのミクジと、7人の迷える人間たちと、ときどき宮司さんの話。


●  ●  ●  ●  ●  ●  ●  ●



 この本の最後のページで明かされた言葉に、えっ宮司さん……!? まさか、まさか……!? となりました。ずっと宮司さんは普通の神主さんみたいなものだと思っていたので、えっ、どういうこと、もしかして……!? となりました。

 

 でも、やっぱりただミクジが特別な力があるだけで、彼はふつうの宮司さんかもしれない。

 どちらにも取れる書き方が好きです。

 

 そして、7人の人物が神社にやってきて、名前がミクジという猫ちゃんと出会い、タラヨウの葉にお告げのようなものが書かれているという話なのですが、面白いのが「お告げが具体的でない」ということです。

 

 たとえば、チケット、とか、ニシムキ、とかタマタマ、とか、スペース、とか。

 だからお告げの内容がよくわからない。

 

 でも半信半疑で人々が、自分の人生の状況を変えたくて神社に来て願い事をしているわけですからそのお告げの内容に従って、失敗したり、転んだり、勘違いしながらも悩み事を解決しようとあがきます。

 

 人と人との温かな繋がりを感じたり、ちょっと寂しく、切なくなったり。悩む7人の年齢も違う男女の心理描写は現実の瞬間を切り取ったように生々しさのある小説なのに、とても読後感が、じんわりとほのかに温かい感じで好きでした。

 

「オラッ!! 感動する設定だろ!? 感動しやがれ(ドガッ! バキッ!)」みたいな押し付けがましさが一切なくて、ストンと胸の中に温かい希望が灯るような、そういう読後感が楽しめました。


 青山美智子さんの本は、「木曜日にはココアを」だけ読んだことがあるのですが、個人的にはこの作家さんのデビュー作の「木曜日にはココアを」も良かったけど、どちらかというと圧倒的に「猫のお告げは樹の下で」が好きです。なんというか、すごく、言葉にできないけど好きです。

 

 ファンタジックな設定を、現実的に見せる能力の巧みなところが凄いと思います。

 

 というわけで、温かい小説でした。

 個人的に一番共感したのは漫画家志望なんだけど、もう諦めたいけど諦めたくなくて苦しんでいる30代女性のキャラクター。神社に漫画家セット(つけペンとか、そういうの)を持っていって、宮司さんに「プラスチックは有毒な物質が燃やすと出るのでちょっと……」と断られるのですが、夢を諦めたいくらい苦しいのに、ゴミ捨て場にかつての夢だったものを捨てたくないという気持ちが、なんか、ほんとうに、必死に夢を追いかけてきたんだろうな、と思って、目頭が熱くなりました。

 

 私も、小説家にいつかなれたらいいなと思っているので、作家志望という意味では漫画家志望だった彼女(千咲さん)と同じだな、と思いました。

 

 千咲さんが漫画家の夢を諦めるのか、それとも追いかけるのか、どうなるのかはネタバレになるので語れませんが、とにかく彼女のもう大人だし……と焦る気持ちや、周囲の人からばかにされるんじゃなかろうかという不安や、卑屈になってしまうところが、等身大の夢を追いかけている大人という感じが凄くして共感しました。

 

 というわけで、18冊目の本を読み終わりました。

 19冊目も近日中に読みたいです。目指せ、100冊読書~!

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