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異世界交信 〜元の世界とつながるトランシーバーで異世界を攻略します〜  作者: のる
2章

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47話:五人で行動

 石室へ、重い沈黙が落ちた。

 カイルは荷物から折り畳んだ紙を取り出した。そこには複数のダンジョンの簡単な見取り図と、異形の姿が細かく描かれている。

 獣に似たもの、人の腕を持つもの、黒い鉱石に半身を覆われたもの。形は違っても、体内に一つのコアを持つという記述は共通していた。


カイル「黒鉄の迷宮でも凶暴化が起きたと聞き、ここへ来た。七層までの死体を見る限り、君たちも異形の倒し方は知っているようだな」


アリア「六層で偶然コアを壊した。それからロイが、体内の魔力を探って位置を見つけている」


セラ「へえ。魔力を感じるだけで、身体のどこにあるか分かるの?」


ヒロ「まだ、何となくです。数が多いと見失うこともあります」


カイル「それでも大したものだ。俺たちは何体も戦い、傷の塞がり方からようやく気づいた」


 カイルは見取り図を畳むと、今度はヒロたちへ視線を向けた。


カイル「俺たちの事情は話した。そういえば、君たちのことは名前しか聞いていなかったな」


ヒロ「俺はロイ。剣と重力魔法を使います。レナは剣と雷魔法、リゼットは魔力銃で後方支援をしています」


セラ「重力魔法!?」


 セラが驚きの声を上げ、カイルも僅かに目を見開いた。


カイル「重力属性の使い手なのか。存在は知っているが、実際に会うのは初めてだ」


 カイルは興味深そうにヒロを見たあと、話を戻した。


カイル「それで、なぜ三人で八層まで来た?」


 ヒロは一瞬だけ言葉に詰まった。

 アリアとリゼットを見る。二人とも何も言わず、ヒロへ任せるように小さく頷いた。


ヒロ「俺たちは、冒険者になったばかりです。金を稼ぐために、この迷宮へ来ました」


セラ「お金稼ぎで八層まで?」


ヒロ「最初から来るつもりはなかったんです。戦っている途中で、大切な道具を猿みたいな魔物に奪われて……追いかけていたら、ここまで来てしまいました」


 すべてが嘘ではない。だが、トランシーバーの役目と、自分たちが追われていることは隠した。


カイル「大切な道具とは?」


リゼット「私が作った試作品。魔力蓄積石を使ってるから、それに引かれたんだと思う。代わりはないの」


 リゼットが即座に説明を加える。

 カイルは追及せず、顎へ手を添えた。


カイル「その魔物は下層へ向かったのか?」


ヒロ「足跡は八層まで続いていました。ここから先は途切れていますけど、上へ戻った形跡もありません」


アリア「ゆえに、さらに下へ進んだと考えている」


セラ「なるほどね。異形を調べたい私たちと、魔物を追いたい君たち。行き先は一緒ってことか」


 セラが兄を見る。それだけで考えを察したのか、カイルも静かに頷いた。


カイル「どうだ。この先は五人で行動しないか?」


ヒロ「一緒に?」


カイル「下層へ行けば、敵はさらに強くなる。互いに目的を邪魔するものでもない。人数が増えれば、生きて戻れる可能性も上がる」


アリア「戦利品はどうする?」


カイル「俺たちが欲しいのは異変の情報だ。通常の素材は働きに応じて分ければいい」


 条件に不自然なところはない。

 アリアはなおもカイルの目を見つめていたが、やがて警戒を解くように細剣から手を離した。


アリア「分かった。こちらからも頼みたい」


リゼット「私は賛成。二人がいてくれたら、さっきみたいに囲まれても少しは安心できるし」


セラ「少しどころか、かなり安心していいよ」


カイル「油断させるようなことを言うな」


 セラが笑い、カイルが小さく息を吐く。

 ヒロも二人へ手を差し出した。


ヒロ「よろしくお願いします」


カイル「ああ。こちらこそ」


 短い休息を終え、五人は石室を出た。

 先頭に立つカイルとアリア、その後ろにヒロ、リゼットとセラが続く。

 三人だった足音は五人分に増え、静まり返った八層の奥へ進んでいった。

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