09:神殺しの武器
どうして心配していないのか聞き返す前に女神から切りやがった。
……意味不明だ。そもそもいつからここの存在を知っていたのかも分からない。
あー、でも何だか神って感じがするなー。こういうこっちの疑問を答えずに言いたいことだけを言ってどこかに消えるって神って感じだ。
まあ聞けないものは仕方がない。今は俺がやれることをやっておこう。
まずはこのチートな箱庭を外側から入れないようにしたい。
どんな神がいるのか分からないのにポンポンと人を連れてこられては困る。
今までは意識を向けていなかったこの箱庭の外郭を意識する。そして完全に閉じようとした。
「できない……!?」
完全に閉じることはできなかった。
なんだ、どうして閉じれない。……未踏だから、完全に閉じてはいけないということか……?
まあ理由を考えても分からないのだから仕方がない。
もう一度やろうとしても外からの侵入を完全に防ぐことは叶わなかった。
たぶん俺の能力は俺の知らないところで制約があるのだろうと納得するしかなかった。
ただこのままでは神の気まぐれで人が入ってきてしまう。そんなのは無理だ。エイルさんはまだよかったが悪い奴が相手ならとんでもない。
入ったら入ったで神だろうが何だろうが俺の手中だが、その手間をかけたくない。
というかその場合俺の能力が変質してしまいそうで怖い。
だからこそ、ここは抑止力を作っておかなければいけないと思った。
抑止力として思いつくのは神をも殺す武器。神殺しを作っておくのはありか。
今のところ神がどういう感じなのかは分からない。不滅なのか死ぬのか。前の世界の神話なら神は死んでいたが、ファンタジー作品なら不滅の存在が多い気がする。
でもまあ、そうだとしても俺の思い通りになるのなら神をも殺す武器はできるはずだ。
俺は家を出て表で武器を作り出すことにした。
家を出る時に思わずカギをかけようとするがここには今のところ俺とエイルさんしかいないのだからそんな必要はないのにな。
まあまた誰か増える可能性があるからその癖はなくさなくてもいいか。
それはともかく、俺は神殺しの武器を作る。
形は剣。効果はもちろん神殺し。それからできるのなら一撃で殺せるような威力にしたいところだ。
そう思ったところ目の前にはかなり強そうな刀身まで真っ赤な剣が現れた。
装飾も特に思っていないのに勝手にやってくれるのは正直ありがたい。
俺は浮いているその剣を持てばどういう効果なのか伝わってきた。
が、えっ……すべての生物を一撃で殺せる剣になっている。こんなすごい剣も簡単に作れるのか。
まじで魔力が減っているように感じないし簡単に作れるのなら……作ってためておくのもありか。
もしもの時に一斉に射出して俺の力を示さなければいけない。
いや待て、俺はこのチートな箱庭があるだけで外に対してはどうしようもないんじゃないのか?
……違う。この箱庭は俺の世界で世界のどこにでもつながるどの世界にも属さない世界だ。
俺が外にいれば箱庭から自在になんでも取り出せるし、中にいたとしても自在に異世界を攻撃することができる。しかも相手は神が味方にいないとこちらの妨害すらできない。
ということを俺の能力は伝えてきた。
つまるところ……俺自身は弱いけど俺の箱庭がチート過ぎて総合的に見れば最強ということか。神だろうが敵ではないのだから。
しかもこの箱庭にいれば俺は死にはしない。
えっ、そんな化け物どうやって攻略するのか聞いてみたいな。俺だけど。
まあ俺は争いごとを起こすつもりはないからもしもの時には覚悟をしておいてほしいな。
魔力を半分まで使い果たすまで神殺し以外の武器を作ったが結局一億本の武器を作ったところでようやく半分を使い果たした。
最初は神殺しを大量に作っていたがそれ以外の特攻武器や純粋な力の塊を持つ武器も作った。
もう一生分の武器を生み出したと思いつつも箱庭の地下に収納した。
俺の力ならどこにあっても関係なく取り出せるから地下で問題がない。
そしてその日の最後にサブスクが見れるテレビにして、ついでに俺が持っているスマホもその機能を付けた。
晩御飯を軽く食べてから俺はエイルさんが寝ている部屋の隣に入ってサブスクで見れていなかったアニメを見ながらその日は寝落ちした。
翌日、俺が目を覚めた時にはすでにエイルさんが起きてリビングでテレビを見ていた。
「おはようございます、エイルさん」
「あっ! おはようございます優斗様!」
元気な様子を見せてくれるエイルさんだが、一応聞いておく。
「体調は大丈夫ですか?」
「はい、もう大丈夫です。それも優斗様のおかげです」
「特にすごいことはしていませんよ」
「いいえ、優斗様が優しくしてくださったおかげです」
まあそう言われるのなら胸を張っておこう。
「それよりもごめんなさい!」
「えっ、どうしたんですか?」
急に謝ってくるエイルさんにびっくりしてしまう。
「その……黙ってテレビを見てしまって……」
エイルさんは少し恥ずかしそうにそう言ってくる。
可愛くてついつい笑ってしまうがそんなこと気にならない。
「大丈夫ですよ。テレビが好きならいくらでも見てください」
「いえ、その……洗濯や掃除をしようと思ったのですが……分からなくて」
分からないし触ってもいいのか分からなくて、やることがなくてテレビを見ていたわけか。
まあ一言で言うなれば可愛い。しかもそうしたことが悪いと思っているから純粋で、滾ってくるな。これから自堕落にさせていくという気持ちが強くなる。
「今はしっかりと休んでください。家事については俺がしますよ」
「い、いえ! そういうわけにはいきません! こんな素敵な家に住まわせていただいているので家事くらいはさせてください!」
元が真面目な性格だから簡単に自堕落にはできないか。
「いえいえ、今は大丈夫ですよ」
「いいえ、させてください!」
さすがにここは譲れないだろうな。真面目だから。
「分かりました。それなら洗濯機の使い方を教えます」
「洗濯機?」
「自動で洗濯してくれる機械のことです」
「そ、そんなものもあるのですね……」
俺は洗濯機がある洗面室にエイルさんを連れて向かう。
「エイルさんが着ていた服はどうしますか?」
あの服をどうするのか聞きそびれていた。だがボロボロになっているから捨てた方がいいような気はするがエイルさんがどうするかだからな。
「……残しておきます。これまで一緒に戦ってきた仲間ですから」
「分かりました。それなら綺麗にしておきますね」
新品にするのは簡単だけどそういう思い出の類は人が直した方がいいだろう。
「さすがに優斗様にそのようなことをしていただくわけにはいきません。私がやります」
「裁縫とかできるんですか?」
「……その、たぶん、できると……」
あっ、これはできないやつだ。
えっ、それじゃあ家事もできないんじゃないか? 真面目な性格だけど今までやったことがないものでもやろうとしているわけか。
「……もしかして家事をしたことがないですか?」
エイルさんは気まずそうに頷いた。
「やりたいというのなら止めません。一から教えます」
「ありがとうございます……!」
教えるって言ってもなー。ここのことを教えたら絶対に異世界に戻った時に不便で大変だと思うはずだ。
でも異世界の生活のものに合わせるわけにはいかないからな……まあその時考えるか。
いざとなれば家電をエイルさんのところに送ればいいし。




