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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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80:二人の異能

 俺たちを包んでいた光が収まれば、無事に一階層のセーフエリア、ワンダー村にたどり着いた。


「おぉ、本当に奇妙な人形がいるね。配信で見た通りだ」


 そんなワンダー村にいる動物の人形を興味深く見ている美琴は槍使いとして動きやすい装備になっていた。


「本当だね。……でもよく見たら不気味さもあるかな……」


 一方人形たちのシュールさに恐怖を覚えている天音は魔法使いらしくローブを身に着けていた。


「全員の足並みをそろえるために、一階層で二人のレベルを上げながら行こうか」


 俺たちは一階層ではレベルはほぼ上がらないからな。


「そうしてもらえると助かるよ」

「美琴と天音もキチンとパーティに入っているみたいだな」

「あぁ、入る時にパーティを組んだからな」


 俺たち六人は同じパーティに入っている。


 昨日よりも二人多くなったがそこは気にならないような文字の大きさにはしているし、その調整は自動でやってくれるようになっている。


「じゃ、行こうか」

「あぁ、そうだね! 共にダンジョンに踏み入ろう!」


 リリスの言葉に美琴が答えて俺たちは一階層のダンジョン、ストーンアントの巣に入る。


「美琴は異能でどんなことができるんだ?」


 とりあえず視聴者が知りたがっているであろう美琴のツイン・ドラゴンがどんなものか聞いてみる。


「使うまでのお楽しみ、と言いたいところだけど使う時が来たようだね」


 すぐにストーンアントが来たことで美琴は昨日見た二体の龍をそばに出現させた。


「僕の円環の双龍(ツイン・ドラゴン)は基本こうして敵を攻撃させることができるよ」


 四体のストーンアントは双龍によって体当たりやら尾での攻撃によって簡単に倒された。


「へぇ、その双龍結構強いんだな」


 何だかんだ漫画とかアニメでも使役する系は強いイメージがある。


「強いよ、赤がエンで、黄がダイって言うんだ。よろしく頼むよ」


 紹介されたエンとダイは俺に向けて頭を下げているような仕草をする。


 もしかして知能もあるのかもしれない。それはそれですごいな。


「本当にドラゴンですね……」


 双龍を見てエイルがそんな言葉を漏らす。


「ん? エイルはドラゴンを見たことがないのか?」

「はい、ありません。そもそもドラゴンは希少種ですから見かけることが少ない種族です」

「へー、そうなのか。それならリリスもテレイアもないのか?」

「あたしはないな。外に出る機会もなかったし」

「私もありません」

「そうだったのか……」


 意外だ。ドラゴンなんかそこら中にいるものだと思っていた。


「意外だよね。僕もそこまで珍しいものだとは思っていなかったから変な目で見られることは多いよ。それに、敵対心を持たれることもある」

「敵対心? ドラゴンがいるからか?」

「うん、そうなんだ。ドラゴンはある地域では神の天敵とされている。昔話には神々とドラゴン族の争いがあると聞く。だから神を信仰する者にとって、ドラゴンは恐怖の象徴になるようだ」

「ドラゴンがねー」

「あ、その昔話あたしも聞いたことがあるな。その戦争でドラゴン族も数を減らしたんだっけ」

「そう言い伝えられていますね。遥か昔の話です」

「冒険者にとってもドラゴンは恐怖の存在ですね。遭遇したら逃げるのが鉄則でした」


 なんか……こうして異世界人の現地話を聞いてそれを現地民がそれについて答えるって面白い感じがしていいな。


 俺だとずっとチートな箱庭に引きこもっていたからこんな話はできやしない。美琴と天音をここに連れてきて結果的にはよかったな。


 ……視聴者からしたらホントに俺はいるのかって話になってしまうな。ま、俺は気にしないけど。


「それから、このエンとダイはこんなこともできるんだ」


 話が盛り上がったところで五体のストーンアントを前に美琴はそう言った。


 双龍はオーラのようなものを体から出した。それぞれ自身の色と同じ、赤と黄のオーラのようなものだ。


 そして双龍が吠えればそのオーラは双龍と全く同じ姿になり、ストーンアントに向かった。


 そのオーラに当たったストーンアントは当たった部分が丸ごと削り取られた感じになって消えた。


「ドラゴンスターと名付けたこの技はエンとダイが持っているエネルギーを自在に操ることができるんだ。今みたいにモンスターに放ったり、攻撃を相殺したり、エネルギーを僕に与えて僕を強化することだってできる万能なエネルギーだ」


 自慢げに言っているだけはあって、かなり便利な能力だ。


「便利だな。異能ツリー付きでよかったのか?」


 一応異能が強ければ異能ツリー付きにはする必要はないと言ったが、聞いていたのだろうか。


 いやそれでも異能ツリー付きにすると決めたのかもしれないが。


「うん、大丈夫。僕だけが強くなっても意味がないんだ。僕はこの子たちと強くなる」

「そうか」

「それに、優斗が僕と天音のために作ってくれたんだから利用しない手はないよ」

「別に気にしなくてよかったのに」


 ていうかこれを作ったのは天音のためだが、それを言うのは野暮だ。


「んー? たった今、美琴の異能を聞いたんだよね?」

「あぁ、今聞いたな」

「それなら異能を強化するって単純な強化になるのかなー?」


 まあ普通はそう思うよな。


「それはこのチートな箱庭をなめすぎだな。優斗が知らなくてもチートな箱庭がやってくれるんだぞ?」


 俺の代わりにリリスが自慢げに答える。


「そうです、優斗はすごいのです!」


 さらに続けてエイルが俺の力がすごいと言ってくれる。


「そ、そうなの……?」


 少しエイルに苦手意識があるようで俺に顔を向けて聞いてきた。


「そうだぞ。俺が知らなくてもこの箱庭が俺の要望に応えてくれる。だからダンジョンの大部分も知らないし、美琴と天音の異能強化も多岐に強化できるようにしてくれているだろう。まあそこはお楽しみだな」

「あぁ、楽しみにしておくよ!」

「……うん、そうだね」


 とりあえず美琴が信じているからこの場は信じることにした様子の天音。


 これでドンドンと強くなった時、天音がどんな顔をするのかが楽しみだ。


 ふとコメント欄を見る。


『美琴さんの異能かっけー!』

『これならミカエルの名前が付いた天音の異能はさらに強そうだなー』

『美琴さまー!』

『天音の異能を教えろー!』

『やっぱドラゴンっていいな……』

『天音さんの異能を見たいです』

『次は天音の番だね』


 アラギの上にあるコメント欄を見ていればかなり天音の異能を見たいってコメントが流れていた。


 でも……天音がそれを許すかどうかが分からないからなー。むしろ内心嫌そうにするだろうけど、配信の場だから自虐気味に答えてくれるかもしれない。


 ただそのあと爆発を受けるのが誰かって聞かれたら俺が最有力候補なんだよな。


 ヨロズ帝国にいればそっちだろうがこのチートな箱庭にいれば間違いなく俺になると予想できてしまう。


 視聴者はそんなことを知らないからこうして言っているんだろうな。さて、どうしたものか。


 と悩んでいるところを余さず人のことを見ている天音にはバレてしまった。


「何か悩んでいるの? あたしでいいなら相談に乗るよ?」


 今まさに君のことで悩んでいるんだけどね。


「あー、こういうことね……」


 そのことを俺と同じようにコメントを見ていたリリスが理解したようだった。


「ま、このまま進んでいいんじゃない? 美琴風に言えば、使った時のお楽しみだな」

「それもそうだな」


 ここはコメントを無視して進んだ方が物事が円滑に進む。だからコメントを無視しようとしたが天音にコメントを見られてしまった。


「……あー、これで悩んでいたんだね」

「まだその時じゃないから明かさなくていいぞ」


 こう言えば天音も逃げ道ができるだろう。


「ううん、大丈夫だよ。どうせだから最初がどれくらいなのか知ってもらっていた方がいいよ。ありがとう、優斗くん」

「天音がそう言うのならいいけど……」


 え、絶対にコメントから不必要なことを言われるぞ。考えなくても分かってしまうが……天音がこう言っているんだからやってもらうしかないか。


「それじゃあ美琴の次はあたしの異能を見せてあげる!」


 そう言って天音は剣を出現させた。


「あたしの異能はさっき美琴が言った通り、光輝なる天剣(シャイン・ミカエル)。こうして洞穴を照らせる剣だね」


 そう言った天音は剣を光り輝かせる。


「言っておくけど、できるのはこれだけなんだ……」


 天音は自虐気味に視聴者に向けて言った。


『え、本当に?』

『まじ!?w』

『ミカエルとはw』

『まさかギャグ要因だったとは……』

『え、本当に光るだけ……?』


 視聴者が困惑しているのが分かる。


 ……うん、本当にどうしてこんな名前になったんだろうな。


 名前と能力のギャップがすごすぎて気を失いそうになるレベルではあるからな。


 よし、ちょっと気になるから全知の具を使って天音のことを調べてみよう。もちろん誰にもバレないように使うことがこのチートな箱庭でできるから使ってみる。


 使ってガッカリさせる結果になれば天音に大ダメージを与えかねないからな。


 ……お、へー、そうなのか。結構しっかりとした理由だな。


 天音の異能を調べた結果、名前がすごいだけではなく、能力も強いということが分かった。


 本来ならミカエルという熾天使の力を使うことができる能力だ。


 すべてを燃やし尽くし、その威光でモンスターを滅ぼすことができるかなり強力な異能。それこそ美琴のツイン・ドラゴンと同じくらいの強さを秘めている異能だ。


 ただ強力故に、天音の体では満足に引き出すことができないようになっている。だから強力な異能なのに天音は光らすだけしか能力を使えていない状態だ。


 だからこそ、おそらく異能ツリーじゃない方が天音は早く異能の力を満足に引き出せるようになっていた。


 異能ツリーは異能を強化する分、その自身のステータスの上がりが遅くなる。


 天音自身のステータスが上がった方が異能を使えていたのだろうが、今さらの話だな。


 これは今じゃなくて後から言うことにしよう。


「うーん、どうしてこんな名前なんだろうねー」


 少し困った表情をしながら天音はコメントに返事をする。


 だがコメントが配慮がないことはよく分かっている。


『ミカエルw』

『異能の名前だけを言われたらすごさNo.1の天音』

『このまま洞穴を光らせておいてくれw』

『うわー、かわいそーw』

『それ、異能を強化させてどうにかなるのか?』


 表向きには天音がそれほど気にしていなさそうな感じだからか、コメントは遠慮なく言っている。


 いや気にしていたとしても遠慮ないやつは遠慮ないか? そういうやつはネットでは無敵かなにかだと勘違いしている感じがあるからな。


 ただ、天音はコメントを見て非常に苛立っているのがよく分かる。腹黒なだけはあってそれを見せないが。


「まあ、そのための異能ツリーだ。これから強くなればいい」


 一応フォローを入れておく。


「そうです。そもそも見ている人たちは雑魚なんですから笑う資格はありません。笑っていいのは優斗さんだけです」


 テレイアもコメントに苛立っているのが分かる。


「いや笑わないから」


 いやでも天音と出会った最初はバカにしていたような気がする。


 そこは天音もこちらをバカにしていたからおあいこだな。


 結局こちらがすべてにおいて勝っていたから天音が一番ダメージを受けていたけどね。

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