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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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63:一階層「ストーンアントの巣」

 光が収まればそこは小さな村だった。


 文化レベルが低い簡素な家が五軒建っているだけの村だ。


「……ここがダンジョン?」


 テレイアがそうつぶやくのも無理はない。


 何せ小さな村は外にあったのだから。


 上を見れば青空があり、小さな村は森に囲まれている場所にあった。


「ここは一階層のセーフエリアだ。階層の最初には必ずこのセーフエリアがあるようになっている」

「へぇ、最近のRPGに合わせて難易度を下げてるのか」

「それもあるし、セーフエリアでやりたいこともあったからな」


 リリスの言う通り、昔のゲームよりかは現代のゲームに寄せている。


 そもそも昔のゲームをあまりしたことがないから分からないが、昔のゲームをしている人からそういう話を聞く限りでは人を選んでいたそうだ。


 コアなファン、それから真のゲーマーでしかクリアできないような難易度だとは聞く。


 それに俺が子供の頃していたゲームよりも今のゲームが簡単になっていることは分かるから年々難易度は下がってきているんだろうな。


『ワンダー村』


 俺たちの目の前には村にたどり着いたことでその地名が表示された。


「ここはワンダー村という名前の村なのですね」

「そうだよ。地名が分かりやすいように違う場所にいけば分かるようになっている。ちなみにこのセーフエリアにはゲーム性が含まれているけど、やらなくてもあっちにあるダンジョンに行けるようにもなってる」


 俺が指差した先には一階層のダンジョンである洞穴の入り口があった。


「逆に帰りたいときは反対側にある光の壁に触れれば元の東京に帰れるよ」


 俺たちが入ってきた場所には扉型の光の壁があった。


 そこに触れれば戻ることができる。


「この服装はダンジョンから出たら元の服装に戻るのですか?」


 エイルが言うように俺たちはここに入ってから服装が変わっていた。


「ホントだ、服装が変わってる」

「……初期装備が配布されているわけですか」


 エイルは弓使いとして弓に緑のマントをつけた動きやすい装備に。


 リリスは大剣使いとして防御重視な装備に。


 テレイアは剣士としてリリスほどではないが鎧を身にまとった装備に。


 そして俺は刀使いとして着物を着ていた。着物なのに動きやすいから俺自身の力に驚いてしまった。


「元に戻るようにできるし、その状態のままにでもできるよ。この服装のままだと着ていた服装はちゃんと手元にあるから安心していい」

「それならよかったです」

「ダンジョンに入ったらダンジョンの時に着ていた装備にもできる?」

「それもできるぞ」

「おー、その手間が省かれているのはデカい」


 それを思うのはリリスくらいだろうと思いながらも話を進めることにした。


「それでダンジョンに行くか? それともワンダー村を探索?」


 このダンジョンを楽しみにしていたのはテレイアだからテレイアに聞いてみる。


「ダンジョンに言っても探索には支障はないんですよね?」

「ここは俺たち専用のダンジョンだからな、ないぞ」

「それならダンジョンで」

「分かった。エイルとリリスもそれでいいよな?」

「もちろんです」

「意義なーし」


 ひとまずはダンジョンに行くことになった。


 システム的にはどちらでもよかったが、俺のゲームスタイルではダンジョンに行く前に村や町で探索する。


 だってまたダンジョンに行かないといけないかもしれない可能性があって面倒だから。


 でもそれは俺の問題であるから三人には関係のない話だ。


「困ったなー」

「……は?」


 ダンジョンに向かう村中で、テレイアはある光景を見て足を止めた。


「困ったなー」


 ずっと同じことを言いながら悩んでいるそぶりを見せている、小さな子供サイズのピンクのウサギの人形がいた。


「あれなに?」

「見ての通りNPCだ」

「いやー、予想外過ぎでしょ。なんで人形なんだ?」


 なんでと言われてもエイルたちのためだ。


 エイルたちが変に気分を悪くしない方法をとった結果がこれだ。


 これなら見た目も可愛いし害もなさそうだからな。


「こっちの方がかわいいだろ?」

「かわいいけど……変な部族の格好をしているよりかはマシか」

「暗いところで見たら怖そうですけどね」


 とりあえず納得してもらったから俺たちは先に進む。


 ただ隣にいたエイルがコッソリと俺に話しかけてきた。


「私たちを思って変えてくれたのですよね? ありがとうございます」

「まあ、楽しく遊んでほしいからな」


 こういうところを変えたらモンスターはどうなんだと思ったが、そこは最初から敵だと思っているから平気らしい。


 五軒の家にそれぞれ人形が一体ずつおり、五体のうちの四体の頭上にビックリマークが出ていた。


「もしかしてあのビックリマークってクエスト?」

「よく分かったな」

「いやー、困ったな―とか誰か……! とか言っているんだからさすがに分かるよ」

「それもそうか。そうだ、あのマークはサブクエストマークだ」


 オーナーに説明させればいいかと思ったが、まあ一々呼び出すよりかはいいかと思い直す。


「サブ? メインもある?」

「ある。でもどういうものがあるかはお楽しみだな」

「絶対に言わないでよ。楽しくなくなるから」


 メインクエストは進めないとダンジョンが進行できないというものだ。


 ただそういうのは極力少なくなっているから純粋にダンジョン攻略ができるようになっている。


「サブクエストはお金でもゲットできるのか?」

「色々だな。お金とか、経験値とか、アイテムとか。それにこの村で便利な状況になるかもしれない。だからやってもいいかもしれないな」


 サブクエはやらなくてもいい、でもやったらその分快適になるよね、というコンセプトのもと成り立っている。


 便利なものだとその階層で便利なスキルや魔法を得られるサブクエもあるからサブだからといって侮れない。


「へー。でもこれってクエストは共通? それとも個人?」


 こういう手の話はリリスが得意だからリリスからの質問がすごく来る。


「共通だ。だから受けた人がお金や経験値を得ることになっている」

「共通なんだ。めずらしー」


 ここでは言わないが共通になったのはセーフエリアやダンジョン内に変化があるからだ。


 変化するから共通にしないと変なことになるし、そういうリアルな変化はつけたいと思って共通にした。


 そこら辺も含めて色々とダンジョンを楽しんでもらいたいわけだ。


「ダンジョンに行った後にでもクエストを確認しようか」

「それがいいかもしれないな」

「ゲーマーならやるのは当然だからなー。それに、こういう場なら必要だからおいている可能性があるし」


 やっぱりリリスは鋭いなと思ってしまう。


 ちなみにそういうことがチンプンカンプンなエイルは何も分からずにいる。その顔もまた可愛いと思ってしまう。


「それよりもダンジョンです。行きます」


 ダンジョンに入りたいテレイアがそう言いながらダンジョンに入っていく。


「はいはい、分かってるー」


 俺たちもテレイアに続いて一階層のダンジョンに入る。


『ストーンアントの巣』


 ダンジョンに入ればその文字が出てきた。


 洞穴型のダンジョンは暗いが見えないほどの暗さではない。


 ただ見えやすいと言うわけではないから潜んでいたら分かりにくい状況にはあった。


「少し暗いなぁ。視聴者は見えてる?」

「その点は大丈夫だぞ。アラギがちゃんと調整して見やすいようにしてある」

「さすが優斗、分かってる」


 さすがに配信で使うものにその機能を付けないわけがない。


「私が前衛に立ちます」


 テレイアは初期装備である剣を抜きながらそう言った。


「それならあたしもー」

「俺はエイルの護衛になるよ」

「ありがとうございます優斗! 私は二人が逃したモンスターを倒します」


 俺が魔法職になればちょうどいいパーティ構成になりそうだ。


 でもヒールはエイルができるからな。魔法使いが一番いい感じで回りそうだ。


 ただ今回は刀を使いたいから刀使いをやめるつもりはない。


 まあ俺のステータススタイルだとよくはない。


 俺のステータススタイルはフリーダムステータス。だから自由にステータスを割り振ることができるからこそ、一つの武器を決めておいた方が確実に強くなれる。


 その点、ジョブステータスが優遇されていると言える。


 ジョブステータスはジョブを変更させればレベルは戻るもののジョブごとにステータスがあるということだ。


 それだけ多くの状況に対応することができる。


 だからこそステータス面で言えばジョブステータスは弱いようには作っているがジョブステータスでしかできないことがダンジョンの中に存在しているから一番優遇されているのは間違いなくジョブステータスだ。


 そんなことを今更思っても仕方がないし、フリーダムステータスはランダムステータスよりかは多くはないが増えるステータス値はジョブステータスよりも多い。


 だからバランスよく割り振ったとしても問題ないようにはしてある。


 一点に突き詰めた方が圧倒的に強くなるのはフリーダムステータスだけど。


「いるね」


 最初に気が付いたのはテレイアの隣で歩いていたリリスだった。


 テレイアは分かっていなかったがリリスが見ている先を探して見つけた様子だ。


 リリスの視線の先には蟻を大型犬のように大きくしたようなサイズのモンスターがいた。その蟻は足以外の場所がゴツゴツとした岩のような質感があった。


 あのモンスターがストーンアントだ。


 五体のストーンアントがダンジョン内に集団で固まって存在していた。


「テレイア、行ける?」

「……当然です」


 テレイアは呼吸を整え、ストーンアントに向かっていく。


 それをサポートするようにリリスも前に出るし、エイルも弓を構えていつでも撃てるようにしていた。


 俺は刀だからテレイアをサポートすることはできないが、大丈夫だろうという確信はあった。


「はぁ!」


 何せこの中で一番今持っている武器を使いこなせるのはジョブステータスを選んだテレイアなのだから。


 近づいたことでストーンアントに気が付かれたテレイアだが一体のストーンアントの頭を切り落とし、流れるように二体目の頭を切り落とした。


「ほい」


 続いてテレイアに襲い掛かろうとしていたストーンアントを大剣で叩き潰したリリス。


「不要な支援です」

「それは悪かったね」

「はい」


 残りの二体のストーンアントは同時にテレイアに襲いかかる。


 またリリスが一体を引き受けようとしたがそれよりも前に一体に目掛けて矢が当たったことで刺さりはしなかったが動きが止まった。


 矢を放ったのはもちろんエイルだ。


 エイルが作り出した隙を見逃さずにテレイアは一体を落ち着いて倒し、矢を受けた方が続けて倒した。


「支援ありがとうございます、エイルさん」

「これくらいはお安いご用です」

「えー、なにこの差」

「好感度の差だろうな」

「それもそうだ」


 好感度の差もあるだろうが全部倒したいという気持ちがテレイアにあったんだろうな。


『レベルアップしました』


 戦闘が終わったことで俺たち全員の目の前にその文字が表示された。


「……私だけではないんですね」


 俺たち全員がレベルアップしたことにテレイアがそう口にした。


「あぁ、そうだよ。俺たちはパーティになっているから経験値は同じように得ることができる。だからなにもしていない俺にも経験値が入ってレベルアップしたんだ」

「これって経験値が分けられてるの?」

「いや、一人でやっても四人でやってももらえる経験値は一緒だ」

「つまり人数が多い方がお得ってことか。パーティは最大何人で組めるんだ?」

「八人だ」

「八人が最大効率か」

「俺たち以外にいないんだから四人が最大効率だろ」

「それはどうかな? もしかしたらまた人が入ってくるかもしれないよ?」

「それはないだろ」


 それはないだろうと言ったが絶対にないとは言い切れない。


 むしろ神たちの都合でまた来そうな予感がするから怖いところなんだよなぁ。


 いや、テレイアみたいな人が悪いわけではない。それにテレイアを助けることも嫌ではないのだが……だからこそあの女神たちを処すことができないんだよなぁ。

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