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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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51:お出かけの準備

 片付けが終わり、俺とエイルは並んでソファに座った。


 エイルは俺とほぼ一緒にいるからこうしていることが俺も当たり前になってきている。


 そんな俺の空いている隣に座るのはいつも通りリリスだ。


「今日の配信なにしよっかー」


 そう話しかけてくることが増えた今日この頃。


「昨日話していたASMRでいいんじゃないか?」

「それなら機械を作ってもらわないと」

「分かった分かった」

「さっすがゆうとー」


 甘えた声色でこちらに体重をかけてそう言ってくるリリス。


 俺たち三人で固まっているからテレイアが気まずくなっていないかと思ってテレイアを見る。


 テレイアはこちらに向かって歩き出したと思えば、俺の前に来ていた。


「どうした?」

「ソファに座ってもいいですか?」

「あぁ、もちろん構わないぞ」


 もしかしてエイルの隣に座りたいのかと思った。だがテレイアのしたことは俺の想像を越えたものだった。


「失礼します」

「ぶげぇ!?」


 テレイアはリリスの上に押し潰すように座った。


 リリスの膝の上に座るとかじゃなく、殺意マシマシでリリスをソファに押し潰すように俺の隣に座った。


「えっと……テレイア?」

「なんですか?」

「リリスが下にいるんだが……」

「あぁ、気がつきませんでした」

「さっきまで優斗と話していただろ!」

「ここは私が座っているので、ここに座るのは遠慮してください」


 あたかも先に座っていたと言い張っているテレイアに少し笑いそうになる。


「もー、仕方がないなー」


 だがここで言い合わないのがリリスだ。


 誰もいない方向に移動して、俺の隣はエイルとテレイアになった。


 テレイアは分かりにくいが満足げな表情をしているのが分かる。本当にどういう思考なのかが分からない。エイルが好きならエイルの隣に座ればいいだけの話だからな。


 どうして俺の隣に? リリスを押し退けて。


 俺への警戒心が薄くなったとしても、一夜経って消えるとは思えないからなー。


 そう思っていれば、テレイアに俺の隣を譲ったリリスが俺の目の前に来た。


「あたしはここだねー」


 リリスは俺の膝の上に座ってきた。しかもめっちゃ背中をもたれ掛かって俺にすべてを預けてきている。


「優斗の上には毎日乗っているから違和感ないなー」


 そうだな、確かに毎回どこかで騎乗位の時間は入っているから毎日乗っていることになる。


 ただそれをテレイアがいる場で言うのかとは思った。


「乗せてもらっているから、あたしもお返しをしないと」


 リリスがそう言えば後ろを見ずに俺の手を探し当てて手首をつかんだと思ったら、自身の胸に持っていく。


 うん、いつも触っている極上の胸ということが少し触れているだけで理解できる。


「ふん!」

「いたぁ!」


 だがそれを邪魔したのはリリスから隣を勝ち取ったテレイアだった。


 テレイアはリリスの腕をいい音をさせながら叩いて俺の手首を解放させた。


 ……本当にどういうことだ。もしかして本当にリリスが嫌いとか? いやそれはさすがにないとは思うが……。


「もー、さっきからなんだよー。あたしのことが嫌いなのか?」


 ここまで来たらさすがにリリスもテレイアにそう聞いた。


「別にそういうわけではありません。そもそも好きとか嫌いとか思うほどあなたのことを知りませんから。ただ、エイルさん以上に優斗さんに近づかないでください」


 ん? 何だか変な感情を持ち合わせているな。どうしてそうなった?


「どういうこと? 優斗に近づくなとかではないのか?」

「そんなことを言う資格は私にはありませんし、優斗さんたちで納得しているのならそこに介入しません。ですが、エイルさんが優斗さんの一番であることは間違いないことだと思っています。……それなのに、あなたがエイルさんと同じくらい近くにいるのが心底気にくわないです」

「おー、すごい感情だ」


 リリスの言う通りすごい感情だ。


 テレイアは俺とエイルのカップリングを推しているというわけか。一夜が経ってその感情を一瞬で持つとはかなり拗らせている。


「テレイアさん、私は気にしていませんから大丈夫ですよ」

「エイルさんは気にしてください。それに、これは私個人の感情です」

「エイルといい、テレイアといい、貞操観念が高いんだよねー。人生一度きりなんだからもっと低くいかない?」


 今のところリリスしか許可していないエイルであるが、テミスのこともあってかキッパリと否定している顔ではない。


「あり得ないですね。そんなに言うのなら、リリスさんが他の男たちと乱交すればいいのではありませんか? とても私は耐えられないですが」


 あー、地雷が近くにあったのを忘れていた。


 一番貞操観念が低そうなことを受けたのがテレイアだからな。しかも不本意だからこそ尊厳を踏みにじられた。


「え、無理。あたしは優斗以外と一生やることはないから」

「……それはそれで貞操観念が高いのでは?」

「そうでもないでしょ。だって結婚している男を人妻と一緒になってセックスして、他の女も食べさせようとしているんだ」

「は? 他の女? ……貞操観念が低いとかではなく、ただの悪者ですね」

「サキュバスだからね」


 リリスとテレイア、こうして話を聞いていると相性はよくなさそうだなー。二人の性格では喧嘩には絶対にならないとは思うが。


「なんなら、テレイアもあたしたちに混ざってやってみれば?」

「おい」


 リリスがかなり不味いことを言っているからさすがに止める。


「大丈夫だよ。そういう話をしてもテレイアは気にしないし、かなり気になっているみたいだ」


 リリスの言葉でテレイアを見れば、かなりの動揺が見てとれた。


 ……カプ厨がその中に入れると思って動揺しているみたいだ。


 まあこんなことを考えれるということはここに来るまでのことは表面上では克服できたのか。


「それに、こういうことは上書きしないとね」


 ……こういう話になったら絶対に主導権を握るリリスを、改めてサキュバスであると認識させられるな。無駄な説得力がある。


「それでテレイア、どうする?」

「……結構です」


 リリスの提案にすごく悩んだ末、断ったテレイア。


 ……これは、リリスがペースの主導権を握ってテレイアが混ざってくる日が来るかもしれない。


 それでテレイアの傷が癒えれば文句はないのだが……リリスがいるから杞憂に済みそうだ。他の男から同じような境遇になりそうだったリリスだからこそ、そこら辺は敏感に察してくれるだろう。


「今日はこうしてのんびりするかー」


 話がひとまず終わったことで俺はそう言った。


「そうですね。特にやるべきことはありませんし、それぞれ好きなことをしましょう」

「それならあたしの配信のネタを考えてよー。ASMR以外も考えてほしいんだけどな」

「誰かをオマージュすればいいんじゃないか?」

「それよりもここでできることがしたいんだよなー。こうなったらR18に踏み込むしかないけど……」

「やめろ」


 リリスならやりかねないという謎の信頼感は置いておくとして、また難しいことを言ってくる。


 もう電脳王に色々と任せておけばなんとかできそうだけどな。


「なんの話をしているんですか?」


 全く話についていけないのが一人、テレイアだ。


「俺がいた世界で流行っているものだよ」

「どういうことですか?」


 まだ色々と話すには頭がパンクするだろうと思ったが、テレイアが興味を示すのなら話しておくのがいいか。


 俺は一から別の世界から来たことから話し始め、その世界のこと、リリスがその配信をやっていることをかいつまんで説明する。


「なるほど、意味が分からない文明もそういうことでしたか」


 何となく理解した様子のテレイア。


「これがテレイアが入ってきた場所で配信したアーカイブ」


 テレイアに前の動画を見せるリリス。


「……不思議な文明ですね。どういう経緯でこうなったのか、理解の外にありそうです」


 そうは言いつつも興味津々な様子のテレイア。


「この東京という場所も、また見に行きたいくらいです」


 テレイアは再び東京にいきたい様子だった。


 テレイアからすれば、この場所はダンジョンなのだろう。未知が溢れていて、冒険がしたい気持ちが抑えられない。


「それなら今から東京に行きましょう!」

「……いいんですか?」

「いいですよね? 優斗」

「あぁ、構わないよ。やることがなかったんだから東京に行こう」


 スローライフを送っているのだから思い立ったが吉日、やりたいことがある人に合わしているのが俺たちの日常だ。


「それなら、お願いします」

「あぁ、行こう」

「それなら適当に配信してもいい?」

「さすがにテレイアにそれを求めるのはダメだろ」

「そういうのじゃなくて、ただその日常を配信にのせるだけ」

「それ、面白いのか?」

「面白いじゃなくて、ドライブ配信的なノリだ」


 そうだとしても、さっき別の世界のことを知ったばかりのテレイアがいるから配信するのはナシだな。


「いや、今日はやめた方がいいだろ。そういうのはテレイアに詳しい事情を話してから出演するか聞かないとな」

「はーい、分かったー」


 ワンチャンを狙って言っただろうからリリスはすぐに引き下がった。


「それでは準備をしましょうか。あ、どうせだからお弁当を持っていくのはどうですか?」

「あぁ、ピクニック的な感じでもいいな。色々と準備をするか」

「お、車で行くの?」

「あー、そうだな。車で行くか」

「やった。車に乗るの好きなんだよねー」


 リリスはたぶん乗り物全般が好きなイメージだ。


「くるま、とはなんですか?」

「出る時になれば分かるよ」


 車が分かっていないテレイアだが、説明するよりも見る方が早いからな。


 まだまだ残っている食材で俺とエイルは弁当の準備をして、リリスはテレイアに声をかけた。


「テレイア、着替える服を見繕うよ」

「別に、あなたにしてもらう必要はありません」

「服ないでしょ」

「……この服で十分です」

「そう言わず、こっちに来な」

「ちょっと……!」


 テレイアを連れていったリリスだが、そのセンスはこの家の誰よりもあるからな。


 だけどテレイアのサイズに合う服なんてあるのかと思ったのだがリリスがそれを分からないはずがないから任せていいか。


「この可愛いお弁当箱をようやく使えます!」

「そうだな。あまり使う機会がないからな。その可愛いお弁当箱のためにももう少しお出掛けを増やしてみるか」

「はい!」


 俺の力で家にすぐに帰ることができるし、遠出をする機会なんてありはしない。


 気分によってはお弁当を作って出掛けることはあるものの、その機会は滅多にない。


 でもエイルやリリスとショッピングに出掛ける時に見かけた可愛いお弁当箱とか水筒とかを使いたいねと持って帰るから、遠出の機会を増やしてもいいのかもしれない。

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