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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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42/45

42:今後

「お父さんへのお土産はこれで十分ね」

「いや……十分というか、ご近所さんに渡して回る量だろ」


 大量のお土産袋をひっさげた母親は満足した顔をしていた。


 母親が持ちきれない分を俺が持っていたから相当だ。


「いいのよ、お土産なんだから」

「そうか……」


 お土産だからすぐになくなると言いたいのか、それともお土産は賞味期限まで十分にあると言いたいのか。


「あ、みなさんで写真を撮りませんか?」

「いいわね。温泉旅館を背に、写真を撮りましょう」


 エイルの提案で並んで写真を撮ることになった。


「あ、それならあたしが撮りますね」

「そうしなくても優斗なら何とかできるんでしょ?」

「できるぞ」


 言われなくてもリリスも一緒に四人で写真を撮ろうとは思っていた。


 今はリリスの近くにアラギがないようだから、俺専用のアラギマークⅡをすぐに作り出して前に出す。


「お、アラギだ」

「マークⅡだ」


 マークⅡが浮いて俺たちの前に出たことに、母親は不思議そうな顔をしている。


「写真の準備はできたよ。並びはどうするんだ?」

「それはもちろん、エイルとあんたが真ん中よ」


 俺とエイルがまず並んだ。


 エイルは俺の腕にそっと絡めた。


「あたしは優斗の隣で」


 俺の反対にはリリスが来てギュッと距離を詰めてきた。


 エイルとは違い、俺の腕を抱きしめている。


「お、おい……」


 居候なのに距離が近くないか、という意味での「おい」を言った。


 これではリリスの方が恋人に見えてしまう。


「いいじゃん、写真なんだから」


 チラッと母親を見ても特に気にしていない様子だったから、これでよしとした。


 最後にエイルに寄り添うように母親が立ち、四人が並んだことでマークⅡは意図をくみ取ってシャッターが鳴った。


 シャッターはあった方が写真が撮ったと分かるからつけた。


「撮れたな。それぞれに送っておく」


 すぐに俺のスマホにその写真が送られてきていた。


「メッセージアプリでグループを作ればいいじゃんか」

「いや、うちの母親はそれをしていないんだよ」

「え、まじ?」


 なんで? という表情で母親を見るリリス。


 エイルとリリスはあまり使うことはないが、メッセージアプリを使っている。


「お母様、やっていないのですか?」

「だって……分からないし」

「それなら私がお教えします」

「それなら……」


 どうして異世界人に教えてもらっているんだこの母親は。


 とりあえず速攻でどこでも電波が届くように母親のスマホを改造した。


「あれ、ここって電波があるんだ」

「俺がそういう風に改造した。だから電波が届かないところだろうと届くようになったよ」

「へー、ありがと」


 かなりすごいことをしたのだが、あまり認識していない様子なのがまた母親らしい。


 エイルが母親にやり方を教えること十分ほどで、ようやく母親のアカウントができた。


 すぐに俺と友達になって、すでにエイルとリリスを招待していた『神室家』というグループに母親を招待する。


 母親が入ってきたことでさっき撮影した写真をグループに張った。


「はい、できたぞ」

「綺麗に撮れてるわね」

「はい! アカウントの画像にします!」

「それ、いいわね」

「あたしはいいかなー」


 母親とエイルはこの写真を設定するようだ。


「母さん、一応言っておくけど他の人と友達になるときは、その画像を外してくれよ」

「分かってるわよ」


 俺は行方不明だが、今はリリスの件もある。


 その面倒ごとに巻き込まれることになるのは両親に他ならない。俺たちは別に別次元にいるからそこが騒いでいてもどうでもいいんだ。


「やりたいことはそれなりにできたし、もう帰るわね」


 写真を見て満足した母親はそう告げた。


「はい、またお待ちしています」

「今度はエイルがこっちに来ればいいわよ」

「次はぜひ!」


 何だかんだ相性が合っているようでよかった。


「リリスも来ればいいわ」

「はい、エイルと一緒に行きますね」


 リリスともそれなりに仲良くなっている感じかな?


「それじゃあ、優斗よろしく」

「分かった」


 どうせすぐに会えるから手っ取り早く、俺と母親は元の実家の玄関に転移した。


 とっとと母親に帰ってほしいわけではない。たぶん。


「お土産、リビングに入れておく」


 靴を脱いでリビングに入ろうとする。


 だけど母親は俺を無視して不意に玄関を開けて外を見た。


「……不思議な感じね。いつも通りの場所だわ」

「そうだな」


 俺も外を見れば、久しく見ていなかった光景が見えた。


 あまり特別珍しい光景ではないが、それでも玄関を開けた先の光景は特別なものだ。玄関を出ればいつも見える、家と同じくらいに懐かしさがある。


 俺と母親は家に上がってリビングに大量のお土産袋を置く。


「これでいいな。俺は戻るよ」


 母親の顔も見れたし、実家に帰ってきた気分にはなった。


「優斗、エイルのことを大切にしなさいよ」

「分かっている」


 言われるまでもないし、言われたら言われたでムッとする気持ちは何だろうな。


「それから次はお父さんにも会いなさいよ。あれでも心配しているから」

「そうか? でも次は急じゃなくて予定は立てるよ」


 今回は色々と急すぎたからな。


 とっても疲れた。


「あぁ、たぶんすぐに野菜を送るから」

「すごく待ってる」

「じゃ、帰る」

「気を付けて……は違うわね」

「帰るのは一瞬だからな」


 ようやく母親イベントを終わらせることができたと思いながら、俺はチートな箱庭に戻った。


 ☆


 テミスと母親の件があった日からひと月が経った。


 ひと月経ったことで二つの変化がこの家で起こっていた。


 一つはエイルが俺の母親と仲良く電話することが増えたということ。


 エイルから電話したり、母親から電話したりと色々なことを話していた。


 その電話で、俺の好物を母親から聞いたエイルがそれを料理に出すということをするほどに、母親から色んなことを聞いている。


 それに母親に野菜の仕送りして、親孝行をしていると思っている。


 もう一つはリリスのチャンネルがかなり伸びているということだ。


 第一回目の配信をしてすぐにバズってから、配信を重ねるごとにチャンネル数は伸びていった。


 やっぱりリリスの容姿が強すぎるのだろう。


 それにあっちの世界では決して三次元のサキュバスを見ることができない。だから、サキュバスのエロさがあっちの世界ではかなり刺激が強いのだろう。俺も最初見たときはヤバかったし。


 さらに言えば、たぶんリリスの体質が画面越しでも効果を発揮している。


 そうじゃないとリリスがこんなに爆伸びすることなんてないだろうし、リリスからもそうじゃないかと言っている。


 そういう気配を感じるそうだ。どんな気配だと思ったが、ネット世界でもサキュバスの力が通じるのなら、そういう気配も分かるのかと納得した。


 それから困っていることがある。


 SNSに送られてくるダイレクトメッセージには、常日頃から気持ちの悪いものが送られてくる。


 言葉だけならまだいいが、自撮り写真を送ってくることもある。


 俺が最初に確認しているからリリスに見せたことはないが、これもリリスの体質のせいなのか、それともこいつらの本質なのか、よく分からない。


 ネット世界は気持ち悪いからなー。


 ただ、リリスが厄介なやつらにネット以外で被害を被ることはない。なぜなら異世界だから。そこは安心できる。


 でも配信とかで『裸見せろ。どうせ平気だろ』とか『家教えろ、無茶苦茶にしてやる』とか言葉が行き過ぎているやつらはブロック、ではない。


 乱している時点で速攻<ぼくのかんがえたさいきょうのでんのうおう>が動き始める。


 まずはそいつの端末をハッキング。個人情報を抜き取ってからの、そいつらの家族にこういうことをしていましたよ、って丁寧に教えてあげる。


 それから二度とそんなことができないように、ウイルスを流して全部ぶっ壊す。情報ももちろん漏洩させる。


 法的な手段はこちらからは取れないからな。こっちの手段でやるだけだ。


 それを電脳王がやってくれているが、伸びれば伸びるほどそういう輩は増えているから電脳王じゃなければ大変なことになっていた。


 そんな変態や豚どもと会話して頑張っているリリスには、お酒を好きなだけ飲んでもいいことになった。


「ぷはぁ! おいしー!」


 今までは一本を大事に飲んでいたが、今のリリスはがぶがぶと好きなだけ飲んでいた。


「おつまみも置いておきますね」

「ありがとー」


 エイルはリリスの好きな酒のつまみ、ちくわやら枝豆、明太子、料理で言えば魚の煮つけを用意している。


 今までのリリスの頑張りを俺と一緒に見ていたエイルだからこそ、こうして振る舞っている。


 エイルも配信のコメントを見て理解したのだ、ネットがどれだけ魔界かということを。内なる魔物を放出させる場所がネットなのだと。


 今までエイルの興味を示すものはテレビもしくは知識系だったから、エイルはこういうジャンルに触れることはなかった。


 だから深淵を覗き込んだ瞬間には、あちらもまた見ていた。狂気の目で。


 そのときのエイルは少し怯えていて可愛かったし、それを忘れるように求めてくれたから悪いことだけではなかった。


 だからこそ、エイルはリリスが頑張っていることに敬意を表している。


「いっぱい、食べてくださいね」


 ネットの魔人たちもこういうところで役に立つんだな。


 エイルとリリスの友情が深まっている気がする。


「あ、これ飲みやすいです」

「そうだな。おいしい」


 俺とエイルもリリスほどではないが、お酒を一緒に飲んでいる。


「優斗は何年物のワインとかも出せる?」

「出せるぞ。ちゃんとその年数まで熟成させたものとして出せる」


 チートな箱庭ならそんなこと余裕でできる。


「それができたら、優斗がいる世界のワインの値段は大暴落だな」

「ワインに限らないけど、金とかでも大量に出して世界に満たせば価値はなくなる」


 チートな箱庭の動力である俺の魔力は俺が休めば回復する。


 しかも回復するのにエネルギーを大量に必要と言うわけではない。だからコスパがいいのかな?


 俺がいた世界の経済を壊すことが可能なのが俺のチートな箱庭だ。


「こういう晩酌は配信でしないのか?」


 俺は不意に気になったことをリリスに聞いた。


 ネタになりそうだからやってみようかと思っているのかもしれない。


「えー」


 だけどリリスはそう思わないらしく、嫌な顔をした。


「お酒は二人と一緒に飲んだ方が楽しいじゃんかー」

「そうなのか?」

「ご飯を一緒に食べるのといっしょー。そうだよね、エイル?」

「はい。お風呂を一緒に入るのと同じことで、ご飯は全員で食べた方がいいです」


 エイルはお風呂を一緒に入るのが好きだよなー。


「それもそうだな」


 今でこそ一人で食べることがなくなったし、たぶんこれからも一人で食べることはほぼないだろうな。


 それに一人で食べていると違和感がすごそう。もうエイルもリリスも俺の生活の一部だからな。


「配信のネタってことならさ、優斗とエイルが一緒に出てくれるならできるな」


 リリスにそんなことを言われて俺とエイルは見合わせる。


「エイルならともかく、男の俺が出たら荒れるぞ」


 エイルが出ればそれはそれで人気が出そうだな。


 リリスとは方向は違うものの、エイルは人気が出る美貌を持ち合わせている。


「荒れてたらいい」

「いいわけがないだろ。何も思っていない人たちが、荒れている光景を見て不愉快になるぞ」

「そうか? 変なの」


 まだネットに触れて日が浅いから分からないのだろうな。


 ぶっちゃけ俺はそういうのを見るのが苦手だから今まで配信を見ることはなかった。


 リリスの配信はちゃんと見ているけどな。

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