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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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40:母親訪問

 俺と母親は世界を渡ってチートな箱庭にある家に立つ。


 母親が世界を渡れば空間は閉じ、母親の視界にはエイルとリリスが入っていた。


「初めまして、お母様」


 エイルは母親の姿を見るなり、頭を下げて挨拶をする。


 ちなみにだが、ちゃんとこの世界ではどの言語でも意思疎通が図れるようにルールをつけている。


 だからどんな暗号で喋っていたとしても、それは包み隠さず漏れていることになる。そんなやつがこの世界に入れるわけがないけど。


「え、えっと……ど、どちら様……?」


 いきなりエイルに挨拶されて困惑している母親。


「私はエイルと申します。そして、優斗の妻です」

「……え」


 いきなりのことで母親は固まった。


「ど、どういうこと?」


 母親はエイルが聞いたことを俺に確認してくる。


「言ってなかったんだが、俺結婚した。エイルがお嫁さんだ」

「え……えぇーーーーーー!?」


 俺が今まで見てきた母親の驚く顔の中で、一番驚いていた。


 そんな顔だから面白くて吹き出してしまう。


 何だかこんな顔を見たら緊張なんて一気になくなってしまった。


「ほ、本当に!?」

「本当だ。つい最近だけど」

「え、え!?」


 本当にめっちゃ驚いているな。俺も結婚するとは思っていなかったから、母親もそう思っていたのは間違いない。


 そもそもだ、母親にエイルとリリスのことを伝えていなかったから、より驚いているのだろう。


「どうぞ、お茶です」

「あ、ありがとう……」


 困惑している母親にエイルはお茶を出す。


 母親はソファに座ってお茶を飲み、しばらくして落ち着いた様子を見せた。


 L字のソファで母親は短い方に、俺は長い方に座っている。俺の隣には母親側にエイル、その反対にリリスが座っていた。


「ビックリした……まさか、あんたが結婚するなんてね……」

「俺もビックリしている」


 情報過多になっていたが、なんとか母親は整理した様子だった。


「それで、そっちの……角をつけてる女性は?」


 次に見たのは俺の隣にいるリリスだった。


 リリスがどう答えるかは少し不安なところではあるが、まともな服を選んだから大丈夫だろうという確信は持っていた。


「あたしはここの居候でリリスです。優斗に助けられてここに住まわせてもらっています」


 かなり普通なことを言ってきたからリリスのことを少し疑ったことを恥じた。


「それからこの角は本物ですよ。あたし、サキュバスなんで」

「え、ホント?」

「はい。触ってみますか?」

「それなら……」


 リリスは母親に近づいて頭を差し出せば、母親は恐る恐るリリスの角に触れる。そこから頭の付け根まで触れて、本物であることを確信した様子だった。


「ほ、本当ね……」

「異世界には人間以外の種族もいるんだ」

「へー、そうなのね」


 異世界のことはあまり母親に伝えていなかったし、母親はそういう創作作品を見たりしないから異世界にこういう種族がいるかもしれない、という先入観もない。


「それで、お母様。優斗と私の結婚を認めていただけますか……?」


 リリスが俺の隣に戻ってから、緊張した面持ちのエイルが母親に向かってそう言った。


 俺の母親と会いたいと言っただけでこの状況が実現しているから、エイルが何を言うのか分からなかった。


 こういうのは俺が言うものではないのだろうか? 女性陣がたくましい気がする。あの世界に生きていたからだろうか。


「認めるもなにも……むしろ優斗でいいの?」


 エイルがこんな絶世の美女だから母親はそう言ったのだろう。


「優斗でなければいけません。私は優斗に助けられました。優斗に色々なことを教えてもらいました。優斗に安らぎをもたらされました。優斗以外と結婚するなんて、考えられません」


 ……うわぁ、母親相手にそんなことを言って、俺はめっちゃ恥ずかしいんだけど……!


「へー、そうなんだ」


 しかも母親がニヤニヤとしてこっちを見てくるから、かなり恥ずかしくなる。


「いかがでしょうか……?」

「いかがもなにも、優斗は二十歳を越えてるんだから誰と結婚しても何も言わないわよ。むしろエイルみたいな子がお嫁さんに来てくれるのなら大歓迎。これからよろしくね、エイル」

「はい!」


 何が起こるわけでもないと思っていたが、こうもあっさりと済ますことができてホッとしている。


「孫の顔は見れないと思っていたけど……仲がよさそうだから大丈夫そうね」


 母親が見たのは俺とエイルがつないでいる手だった。おまけに指を絡ませている。


 それに俺とエイルは気が付いたが今更ほどくつもりはない。


「は、はい……」


 ただエイルは少し顔を赤くしてうつむいた。


 そういう話は全くしたことがないからな。でもこれからは母親からそういう話が出そうで怖い……。


「優斗、結婚式はどうするのよ」

「あー……やるとしてもこの箱庭でだな」

「どうして? 親族にあんたの晴れ姿を見せないと」

「いや、俺はあっちの世界で行方不明になっているんだぞ。あっちでできるわけない」


 あっちではまだ俺たちのことは行方不明になっている。そもそも世界が違うのだから見つかるはずがない。


 やろうと思えば異世界に送られた全員を元いた世界に帰すことはできる。


 でもそれを送られた人たちが望んでいるとは限らない。


 ……いや、あの真っ白な空間で帰りたそうにしている女の子はいたな。でももしかしたら異世界が気に入って永住したいと思っているかもしれない。


 とにかく、俺が何でもかんでも救うつもりで動く人間ではないということだ。


 そんなことをするようなら俺は世界から争いがなくなるようにするぞ。


「そう言えばそうだったわね。こっちで結婚式場を作るわけ?」

「そう。俺はこの箱庭なら何でも作り出すことができる。だから結婚式場でも作ることができる」

「へー、何でも……」

「この家も何でもできる能力で作り出したんだ」

「だからそっくりだったのね。少し違うけど」


 少し違う部分は家電とか家具だ。


 二人に合わせてそれらを変えている。


「お母様。ここに来るのが初めてなら、外を見ますか?」

「いいわね」


 あー、この展開は……嫌な予感しかしないなー。


 俺は普通の靴で、他三人はそれぞれに合わせた靴を俺が作り出して外に出た。


 そのときに母親が何もないところから出てきた靴にまたしても驚いていたが、母親の驚きようはマジシャンの種も仕掛けもあるようなマジックを見ているようではあった。


「本当に違う場所ね……」


 玄関から出たら違う景色があることに母親は驚いている様子だ。


 この箱庭は俺たちしかいないから他の家はなく、エイルのための図書館、アパート、周辺にある畑という田舎の光景が広がっている。


「あそこにある畑で採れたての野菜を食べています!」

「へー、見てもいい?」

「はい!」


 エイルは嬉しそうにしながら母親を連れていく。


「いい顔だね」

「そうだな」


 俺の隣にいるリリスもエイルの笑顔を分かっている様子だ。


「エイルはさ、たぶん母親って存在を知らないんだと思う」


 エイルの生みの親が亡くなってから、エイルは育ての親がいたようだがその親と絆を育む前に聖女としての加護を得た。


 だから母親という存在を知らないのは当然と言えば当然か。


「でも優斗の母親は、ちゃんと繋がりがある母親。母親ができたことが嬉しいんだろうね」

「……そうか」


 それなら母親がこっちの世界に来て、エイルと会うことができてよかったと本当に思えてくる。


 ……さっきまで嫌だと思っていたから罪悪感というものが出てくるな。


 そう言えば、リリスの父親は殺されたと聞いているが、母親のことは聞いたことがないな。


 いや……父親が殺されているから、あまりこういうセンシティブな問題は話題にしないようにしよう。


「あたしの母親のこと、気になった?」


 話題にしないと思ったら、リリスからその話題を振られた。


 他の人ならこう言われても少し気遣うが、リリスがこう言ってきたのなら気遣うことはしない。


「あぁ、少しな」

「それなら聞いてくれたらいいのに」

「さすがにセンシティブだろ」

「それもそっか。でもあたしは大抵のことは気にしないな」


 だろうなとは思っている。でもそれでズカズカと踏み込むのは違うからな。


「こっちが気にする。それで、リリスの母親は?」

「追ってきているアダムが言っていたんだけど、父親が殺されたあとに殺されたんだって」

「……そうなのか」

「そ。凌辱の限りを尽くして殺したらしいよ」


 ……やっぱりセンシティブじゃないか。ていうかめっちゃセンシティブ。


 こんなことを何ともないような顔で話しているリリスが気にしなさすぎなんだよ。


「でも全然気にしなくていい。だって、母親とは全く面識がないんだから」

「ないのか?」

「ないよ。だから見ず知らずの母親が死んだって、何も気にしない。何より今のこの環境がとても好きなんだからもう気にならない」


 ……今日はたくさん心を揺さぶられるな。


 エイルから愛を伝えられ、リリスからここが好きだと言われる。


 悪くないな。


「あれ、もしかして照れてる?」


 ニヤニヤとしているリリスに顔を覗き込まれながらそう言われた。


「あぁ、照れてるよ」

「照れてる割にはちゃっかり精液も溜まってるみたいだねー」

「おい、それを母親が聞こえるところで言うなよ……」


 そんなことを聞かれたら何も言われなかったとしても嫌だし、怒られそうだ。


「この精液のにおい……かなり美味しそう……」

「おい、さすがに我慢しろよ」

「あー、頑張ってみるー」


 さすがに大丈夫だよな、と思いながら先に歩いているエイルと母親を追いかける。


「ここにある畑は優斗が作り出してくれたものです。ここから必要な野菜をとって食べています!」

「すご……え、でもここにある野菜を全部食べれるの?」

「ご心配なく。この空間では優斗がルールを定めることができます。それでどれだけ時間が経っても野菜が無駄になることなく食べることができます!」

「へー」


 母親が意味深な視線を俺に向けてくる。


「ここにある野菜、少しくれる?」

「あぁ、いいよ」


 何を言われるかと思ったが、そんなことで安心した。


「少しと言わず、お母様に定期的に野菜をお送りします! 優斗、大丈夫ですか?」

「そうだな。それくらいなら大したことではないからね」

「まじ? 最近野菜も高いからラッキーね」


 母親がそう答えるのは分かり切っていた。


「どんな野菜があるのかお見せしますね」


 エイルは畑を紹介していく。


「こんなに広い畑を作って、無駄じゃない?」


 紹介していく中で俺が広い畑を作ったことに母親はそういう反応を見せた。


「この箱庭? の広さは分からないけど、狭くならない?」

「この箱庭はいくらでも大きくすることができる。だからそんなことを心配する必要はない」


 魔力があればいくらでも大きくすることができる。


 そしてその魔力はいくらでもある。


 エイルやリリスが来たときに神殺しの武器を作るように意識したが、それも十分に作ることができたから魔力を貯蔵する魔道具を作った。


 巨大な聖杯を作り出し、魔力が余っていればそれに注いだ。


 それがいっぱいになればまた巨大な聖杯を作り、というのをやって今は四個目だ。


 よほどの大きな魔力を使わないのなら手を出さないが、それを使っていくらでも大きくすることはできる。


 ちなみに一つの巨大な聖杯で、俺のフル魔力百人分だ。


 超強い武器一億本を作っても半分しか使用しなかった俺の魔力がそれくらいあれば、まあ心配はないだろう。


「それなら温泉も作れるってこと?」


 かなり期待した顔でそんなことを言ってくる母親。


 ……こんな能力を持っているんだから、何かしらは言ってくるとは思っていた。


 ただ、エイルが楽しそうだから付き合うか。


「できる。俺は何でも作れるからな」

「最近温泉旅行とか行けてなかったなー」

「分かった分かった。作っておけば俺たちも入れるから無駄じゃないし」


 こういう遠回しな言い方もしてくるからな。


 俺はチートな箱庭のフル活用して久しぶりに建物を生み出した。


 家とは少し離したところにある場所に一瞬で温泉旅館を作り出した。


「はい、できたぞ」

「それじゃ、入ろ」


 この母親、いつまでいるんだろうか……。でもエイルが笑顔だからそんなことを口にはできないんだよなぁ。

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