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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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29:解決策

 俺がやろうとしていることは創造。


 銀髪の女性がまだ眠っているから承認は得ていないが魔神病を治せるのなら大丈夫だろう。


 今までの俺は色々な創造をしてきた。


 家から始まり様々な果物、畑、建物、神を殺す剣。


 今回やろうとしているのはそれらを総集したものと言ってもいいかもしれない。


「できた」


 何となくでやったができてしまった。


 俺の手の中には手のひらサイズの正方形の箱があった。


 確かに今までも何となくでできていたからできないわけがないか。薬の時もそうだし効果を怪しむこともない。


「なにそれ」


 俺の手にあるものを覗き見るリリス。


「これは神殿が付いている領域を作り出す魔道具だ」

「領域を? 何のために?」

「領地を守るためだな。俺はこれしか思い浮かばなかった」

「神殿ですか。その神殿では何ができるのですか?」

「神殿では魔神病を治す薬が無限に湧き出る魔道具が設置されてある。だけどこの領域の中では魔神病はすべて消え去るんだけど」

「おー、すご。でも領域を守るためってどういうこと?」

「この領域では仮想の神を設定してある。それを信仰すればするほど力が得られるようになっている。逆に信仰しなければこの領域では一切の争いができなくなっている」


 ルールとしてやってもよかったが神がいるこちらの世界ならそっちの方がいいだろうと思った。


「仮想の神ですか……」

「それまた随分と罪深いことをするねー」


 こちらの世界の住人である二人は訳ありなことを言ってくる。


「ダメそうか?」

「あたしはいいと思うよ。でも神がいるのに仮想の神を崇拝するのは神的にも面白くないんじゃない?」


 言われてみれば確かにそうか。


 ただ俺が今まで聞いた話だと神は気に入った人間に加護を与えている。それならその他の人間には力を与えているのかって話になる。


「加護を与えられた人間以外は神を崇拝していてもあまり関係ないのか?」

「関係ない。神は気まぐれで加護を与えてくるだけ。でもエイルがいたアイテル聖王国の神はそこら辺はちゃんとしていたと思う」

「はい。パナケア様を含めたアイテル聖王国の神は善神と呼ばれる神様です」


 確かにアイテル聖王国の神たちはそういうところはちゃんとしてそうだ。


「それならエイルはこのシステムは反対か?」


 俺はド直球にそう聞く。


 エイルは少し悩んだあとに答えてくれた。


「私は……すみません。反対です。仮想の神はあまりいい印象は受けなくて……」

「そうか。それなら少し変えようか」

「エイルは真面目だねー。でもそこが可愛いんだけど」


 さて、どうしようか。


 基礎的なものは変えなくていいだろう。


「あっ、それならアストレアに任せればいいな。こんなことをお願いしてきた神に尻拭いさせるのがいいな」

「いえ、それはできないと思います。神は加護以外に人間世界に干渉することはありませんでしたから」


 え、めっちゃここに導いてきているんだが。


「そういうルールがあるってことか?」

「ないと思うけどなー。でも神が直接手を下すことはないか」

「……どうなのでしょうか」


 エイルとリリスが分かっていないのならどうしようもない。


「でもルールがないと魔神病を対処するか」

「残念ながらそれはできません」

「できない?」

「魔神病は神すらも殺す病気だからねー」

「マジか!」


 え、そんな病気の奴をアストレアは箱庭に導いたのか? それはヤバすぎる。


「……聞いてみるか」


 こうなれば聞いてみるしかない。


 アストレアができるのならそれに越したことはない。ていうかそっちの方が楽だ。


「どのように聞くのですか?」

「スマホで連絡する。いつもあっちから連絡してくるからな。今度はこっちから連絡する」


 元々持っていたスマホを改造して今までかけてきた女神の連絡先が出るようになった。


 でもこうして女神の連絡先があるというのは優越感があるな。この世界と元の世界で俺だけだからな。


 俺はアストレアを指定して電話をかける。


『はーい、こちらアストレア! 優斗くんから連絡が来るなんて思わなかった』

「一つ確認したいことがあったので連絡しました」

『うん、何でも聞いて、の前にテミスは大丈夫?』

「テミスって言うと、送られてきた銀髪の女性のことか?」

『そう』

「それなら大丈夫だ。魔神病をすべて取り除いて寝ているところだ」

『……よかったぁ! 本当にありがとう!』


 こうしてお礼を言われると気分は悪くない。しかも事前に連絡を入れてくれるから女神の中では一番好きかもしれない。


 次はパナケア。最下位はフレイヤ。たぶん最悪なものが来ない限りはフレイヤが最下位を独占するだろうな。


『それで確認したいことって何かな?』

「神のことで聞きたいことがあります」

『うん、いいよ』

「神は加護を与える以外は手出ししてはいけないっていうルールはあるんですか?」

『あー、そのことかー』


 アストレアは電話口で少し悩んでいるうめき声をあげ、少しして口を開いた。


『優斗くんなら大丈夫か。あまり言ってはいけないんだけどね、大っぴらに神が干渉することはできないようになっているんだ』

「できないんですか?」

『そうだよ。できない。ただ少しのことなら干渉することはできるんだよね。例えば優斗くんのところに導く、とかはね』


 ぶっちゃけそこも干渉できないようにはしてほしかったが、エイルとリリスがここに来れているから完全否定はできないんだよなー……。


「それはどれくらいできないんですか?」

『どれくらい? うーん……あんまりそこら辺は明確になっていないんだ。やってみようとしてできた、みたいな感じだね。パナケアちゃんも最初優斗くんの領域に導けるか分からなかったけど、やってみてできたみたいな感じだと思うよ』


 くそ、これだからアナログなタイプは困るんだよ。そういうのは明確にして穴をふさいでおくのが定石だろうに。


『優斗くんがやろうとしていることを言ってみて?』


 逆にアストレアからそう言われたから説明する。


「テミスがいる領地に神殿付きの領域が作り出される魔道具を配置しようとしています」

『ほおほお、どんな?』

「領域は魔神病が存在できず、神殿には魔神病を治す薬があります」

『そんなものができるんだ! やっぱり優斗くんはすごいねー』


 心からの称賛だと分かるから気分がいい。


「それでです。その領域に崇める対象を設定して、その対象を信仰すればするほど力を得て、信仰していなければ戦うことすらできない、というルールを敷こうと思っています」

『あー、その崇める対象を僕にできないかって話だね?』

「そうです。どうですか?」

『感覚的に言えば、できると思う。僕は何もしていないからね』


 おぉ、それは嬉しい知らせだ。


『でも確証をもって言えるわけではないから他の策も考えていた方がいいかもしれないね』

「……あの、その投げやりな感じやめてくれませんか?」


 今回の薬のこともそうだがかなり他人事な感じで言ってくる、この女神は。


 そういうところで言えばまだパナケアの方がましだな。


『だって僕たちは何もできないんだからしょうがないよね!』


 それでも言い方というものがあるだろうに……! やっぱり神という感じがしてしまう。


『でも僕は優斗くんに期待しているんだよ? 神は何もできないけど神以上の力を持つ優斗くんは何でもできる。この世界をより良いものにできるって思っちゃうんだ』

「……俺は別にあの世界を救おうとは思っていませんよ」

『うん、それでいいんだ。世界のためなんかで動くとろくなことが起きないからね』


 ……正義の女神なのにとんでもないことを言っている気がする。


『それじゃあね。その神器を使う時はまた連絡して』

「あっ、はい……」


 神器? 魔道具って説明したはずだが。まあいいか。


「どうでしたか?」


 通話が切れてスマホを耳から離せばエイルが問いかけてくる。


「分からないけど感覚的にはできるみたい。そこにアストレアを添えるだけで何もしていないからっていう感じだ」

「へー、それならやっぱり干渉してはいけないってルールがあるんだ」

「みたいだな。しかもルールが明確になっていないらしいから今回の件も分からないって感じだ」

「……それならどうしてパナケア様は私を導くことができたのでしょうか……?」

「そういう軽い感じはできるみたいだ。それもやってみてできたらしい」

「そういうのはちゃんと明記してくれないとねー。でもあたしは規約は全く見ないけど」

「それはちゃんと読め」


 元の世界の文化に触れているリリスは規約というものにも触れている。でも意味をなしていないようだが。


「ただ絶対できるわけじゃないからもう一つ策を用意しておけってアストレアに言われたからな。どうしたものか」


 代替案としては一からルールを設けるようにする。だがそれだと穴を突かれる可能性があるんだよな。


 信仰という生きる道筋になるような感情以外は扱いづらい。


「一からルールを設けるということにするか。俺以外の人がいれば穴を突かれないようにはできるだろう」

「そういう難しいことは領地の人がやればいいでしょ。優斗は領民でもなければ王でもない。それこそあの世界の住人ですらない」

「それでも優斗はやろうとしているのです。私たちが支えましょう」

「うん、分かってる」

「……二人とも、ありがとう」


 こんなに支えられるとは思わなかった。


「気にしなくていいよ。その代わり今日は配信記念でご馳走にして」

「あぁ、そうしようか」


 リリスはさっきまで配信をしていたからな。色々なことが起き過ぎている。

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